【生存者バイアス】その社内インタビューは意味あるのか。
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『まずは社員にインタビューを取ってみよう!』そんな言葉が今日もどこかの会社では言われている気がします。例えば、『離職率を下げたい』という人事上の課題があったとします。そこで今いる社員に『会社への不満がないかをインタビュー調査をしてみよう』ということになりました。社内のことをよく知っている10年目の社員にインタビューを取っていきます。
さて、これはどこまで意味のあるインタビューになるのでしょうか。
このnoteでは、『生存者バイアス』という観点を元に、企業でよくありがちな社内インタビューについて考えます。
✅1、そのインタビュー、意味ありますか?
先ほどの例について考えてみましょう。人事担当者は自社が抱える離職率を高める要因を特定しようとしています。その方法として、社員に対してインタビューを考えています。生の声を集めたいとき、自社の社員はインタビュー対象としてハードルがとても低く、すぐにインタビューを行いやすいかと思います。
まだ、数年しか働いていない社員ではなく、会社のことが良く分かっている10年選手の社員を中心にインタビューをしようと計画したとします。さて、このインタビューの有効性はどれほどのものなのでしょうか。
たしかに、その社員が抱える会社への不満に関する情報は溜まると思います。もしかしたら、その中に離職率を下げる画期的な意見があるかもしれません。しかし、おそらくこのインタビューでは有効な対応策は出てこないのです。なぜなら、この例は完全に『生存者バイアス』にかかってしまっているからです。
✅2、『生存者バイアス』
皆さんは『生存者バイアス』を知っていますか?ググってみると以下の画像が多く出てくると思います。
赤い部分は、この戦闘機が銃弾を浴びた箇所を示しています。戦闘機の帰還率を上げるために戦闘機を補強するとします。皆さんはどこを補強しますか?先頭のコックピット部分と機体中心部以外はほとんど赤くなっています。そこで、銃弾を浴びることが多い赤い箇所を中心に補強したとします。これは正しいでしょうか。
答えはノーです。このデータは帰還した戦闘機から得たものです。つまり、赤い箇所は銃弾を受けても撃墜されにくい部分を示しているのです。逆に白い箇所を攻撃された戦闘機は撃墜されているのです。この場合は、白い部分を補強していくのが正しいのです。
このように『生存者バイアス』とは、何らかの選択過程を通過した人・物・事のみを基準として判断を行い、その結果には該当しない人・物・事が見えなくなることです。
✅3、退職者・転職者の意見こそ価値がある
先ほどの社内インタビューの例に戻ります。つまり、先ほどの例において真にインタビューすべきは退職者や転職者なのです。10年選手の社員は、今の会社環境でもそこに残ることを選択し続けている人なので、その人の不満は離職率を低下させることにつながらない可能性が高いのです。
退職者や転職者に『なぜ会社を辞めてしまったのか』インタビューしていくことが、離職率低下につながります。この例は割と分かりやすい例なのですが、普段仕事している中でも『生存者バイアス』にかかってしまっている例はよく見かけます。
例えば、採用においても、自社の社員に自社の情報発信の改善点を求めてもあまり意味がないのです。なぜなら、自社の社員は現在の情報発信のやりかたでもその会社に入ってしまった人達なので、特に不満はない可能性が高いのです。
✅4、まとめ
仕事における『生存者バイアス』の例について書きました。バイアスは無意識における思考傾向なのでなかなか自分では気づきづらいものです。一度『これって意味あるんだっけ?』と自問してみることもバイアス解消の一助になるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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