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【読書感想】『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』

(このNOTEは3分で読めます。約2,200文字)
『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』という本を読んだことはありますか?行動経済学のジャンルの本です。ダニエル・カーネマンの『予想通りに不合理』など行動経済学に最近はハマっています。

『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』の著者であるオリヴィエ・シボニーは、2021年12月に『NOISE 組織はなぜ判断を誤るのか?』をダニエル・カーネマンとキャス・R・サスティーンと共著で出版しています。

このNOTEでは、オリヴィエ・シボニーの『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』についての読書感想を書きます。内容の要約でなく、あくまで私の感想ですのでご了承ください。主観的な感想も多くございますので皆さまの広いお心で読んでいただけますと幸いです。

【総評】
オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆

400ページ以上あるため読了するまでに時間がかかると思います。私の場合は3~4時間かかっていたと思います。

✅1、印象に残った内容と感想

1ー1、第1部 九つのトラップ

第1部では事例を交えてバイアスについての説明がなされています。『確証バイアス』『経験バイアス』『生存者バイアス』『現状維持バイアス』『アンカリング』『後知恵バイアス』『現在バイアス』など、バイアスについての説明が丁寧になされています。

そのほかに『過度の正確性』や『利益相反トラップ』などバイアス以外の知識も深まりました。

バイアスについての説明ではありませんが、第9章『利益相反トラップ』の冒頭に出ていたアプトン・シンクレア(米国の小説家)の言葉が印象的でした。

それを人に理解させるのは難しい。なぜなら、人の生活はそれを理解しないことで成り立っているからだ。

アプトン・シンクレア(米国の小説家)

自分自身が必要だと思っていることを他人に訴えても理解してもらえないときに、『なんでこんなことも分からないんだ。』とモヤモヤすることがあります。まさにアプトン・シンクレアが指摘しているように、そもそもそれが必要ない生活を送っている人に対してそれが必要だと理解させようとしているから難しいということが分かり、妙に腹落ちしました。

1ー2、第2部 意思決定の方法を決める

第2部では、そもそも個人でバイアスを克服するのは難しいという説明がなされます。そして、バイアスを回避するためには『協働』が必要だと筆者は説明します。

つまり、一人でバイアスの排除に対応するのではなく意思決定プロセスを組織的に構築しバイアスを排除する必要があると述べます。

バイアスの説明にとどまらず、その対応方法について言及している点が好感を持てました。しかも、『個人で頑張りましょう』というものではなく、『複数人で組織的に対応する必要がある』と述べられており、組織体系の説明が具体的で分かりやすかったです。

どのような情報を集めるのか『WHAT』が重要なのではなく、どのように判断するかの『HOW』の方が重要である、という意見が印象的でした。

1ー3、第3部 意思決定アーキテクト

どのような組織体系であればバイアスを排除することができるのか、その組織体系について考察がなされています。

経営会議の場面を例に説明がなされています。組織を経営層・マネージャー層・メンバー層の3つに分けるとすると、経営層の部分の事例しかないため、マネージャー層・メンバー層の事例を踏まえるとより読者層が広がると思いました。


✅2、総評

『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』は全3部・全16章あり400ページを超える分厚い本です。しかし、各章末にそれぞれの章の要約が記載されており大変分かりやすくなっています。

章を読む前にまずまとめを読むことによって、その章で言いたいことを事前に理解することができます。読んだ後もこのまとめを利用して復習することができます。文量が多い書籍ですが、具体的事例の掲載と構造的な工夫があり読みやすくなっている印象です。

また、バイアスについての説明にとどまらず、意思決定においてバイアスをどのように構造的に排除していくかについてまで言及しているため実務としても応用しやすいと思いました。


✅3、書籍紹介

3ー1、『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』

今回読書感想を書いたのはこちらの『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』です。

3ー2、『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』

バイアスの情報をより簡潔に、より多くまとめているのが『情報を正しく選択するための認知バイアス辞典』です。『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』に比べて事例の文量は少ない書籍ですが、その分バイアスに関する情報量が多く記載されているため、こちらもオススメです。

3ー3、『意思決定の理論と技法』

『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』の第2部・第3部でも記載されていたどのように意思決定をするかについて、より構造的・学問的に説明されているのが『意思決定の理論と技法』です。こちらは1997年に出版された書籍で値段も2,600円ほどですが、意思決定という曖昧なものをどのように構造化して実践していくか詳細に書かれているのでそれだけの価値はある本です。ぜひ読んでみてください。

また来週の土曜日に読書感想を投稿いたします。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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