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ポーランドがいよいよ、ウクライナ分裂を開始したのか?果たしてうまくいくのか?

ここ数日間、露の複数の官僚・政府代表からウクライナ分断に関する話しが次々と出ている。以前もふれた内容になるが、最新情報を加味したうえで、改めて、ポーランドのウクライナでの本当の狙いについて考えてみたい。

ウクライナの分裂

4月26日、露安全保障理事会のパトルシェフ会長が「西側とキエフがとっている政策がウクライナの複数国家への分断を齎しかねない」と、警鐘を鳴らした。同日のイズヴェスチヤ紙へのインタビューで、露上院議員のツェコフ氏が「ウクライナ分裂の可能性が極めて高いのだけでなく、既に起きている事実だ。我々はドネツクとルガンスク民主共和国を独立国家として認めている。しかし、今の状況を見る限り、ウクライナの更なる分裂も時間の問題だ」と言い切ってしまっている。 

ポーランドの狙い

4月28日、露対外情報庁が「ポーランドのウクライナ西部に対する主張」ど題したプレス・リリースが出た。これを要約すると、露対外情報庁のナルィシュキン長官が『対外情報庁に入ってきている情報によると、ワシントンとワルシャワが現在、ウクライナの「歴史的にポーランド領」でのポーランドの完全なる軍事・政治統治の確立を計画している』と主張。この所謂「再統治」の第一段階として、露攻撃からの防衛(平和維持)という名目でのウクライナ西部へのポーランド軍の覇権が挙げられており、既に米を中心に細部の検討が進められている。ポーランド軍のウクライナ派遣はNATOの決議なしに実施されるが、「希望国」の参画が可能とされる。ただし、現時点ではポーランドと肩を並べる国については完全なる合意に至っていない。
 一方、ポーランド側は「協力者」の参画を望んでいない。また、ポーランドのこの所謂「平和維持軍」を、露との直接対戦の可能性が最も低い地域への覇権が想定されている。作戦の狙い(の一つ)として、派遣先地域の戦略的施設の(ウクライナ管轄から)ポーランド軍管理下への段階的な移行が挙げられている。ポーランド諜報機関が既にウクライナの「協力的な」エリートたちを探索している。
 ポーランド「平和維持軍」のウクライナ西部覇権がウクライナの分断を引き起こすという公算。結果的に、ポーランド軍が派遣された地域がワルシャワの統治下に入るというストーリが描かれている。要は、ポーランドは第一次世界大戦後に協商国と結んだ歴史的な「合意」、即ちウクライナの一部を占領し「ボルシェビズムの脅威」から守り、そしてそれらの地域を統治下にいれるという狙いを再生させようとしている。その結果はどういうものだったか、歴史が示している。
 時をほぼ同じくして、露のクリモフ上院議長や安全保障理事会のメドベージェフ副会長等も、口をそろえて米とポーランドが結託し、ウクライナを分裂させ、政府をポーランドの統治下に入れようとしていると主張。

終わりに

ポーランドがウクライナ西部を自分のものにしたいのは昨日や今日の話しではなく、長い歴史、民族・文化間交流等に由来するものだ。ただご近所だから助けようとしているという考えは(優しく言って)安易すぎる。ポーランドは明確な狙いがある。だから、前のめりになって、露を挑発し続けているわけだ。
前回の投稿で、4月20日の大陸間弾道ミサイル「サルマト」の発射実験が持つ意味について触れた際、国外と同時に国内(プーチン降しを狙っている裏切りエリートたち)にも向けられたメッセージになっていると述べた。その後、露軍がウクライナで西側から来ている武器の保管倉庫、鉄道、駅を始め、ウクライナ西部への攻撃を強めた。一方では既に10か国が露の天然ガス・原油をルーブルで買い始めているとの報道も出来てた。そして、ポーランドとブルガリア向けの天然ガスの提供が停止された。そしてナルィシュキンの報告。やはりサルマトの発射実験はプーチン大統領が狙った効果を齎したのか?引き続き注視していきたい。
 
今日はここまで。

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