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【割安で購入!?】中国の投資家が日本の不動産を好む理由

8月17日に米連邦破産法の適用を申請した中国の不動産大手「恒大集団」。

最近ニュースで見る機会は減りましたが、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。

簡単に恒大集団の破綻の経緯を説明すると、
1996年に設立され中国の不動産ブームの勢いにのり収益を増大させていきました。

急速に規模を拡大することができたのは、「不動産市場の成長」、時勢に乗って「借入金によるレバレッジを上手く活用」したことが大きいと言われています。

そこに、まったをかけたのが習近平国家主席です。

不動産業界は、「儲けすぎ」「住宅が高すぎて買えない」という国民不満から規制強化にのりだした結果、経営状況は急速に悪化の一途を辿ることになり現在にいたります。

つまり今回の破綻の要因として考えられるのは、
身の丈以上の借入を続けた結果、政府の規制強化により経営破綻(負債総額は48兆円(8月29日現在))に追い込まれたと考えられます。

また、習近平政権は格差是正を目指す「共同富裕」政策の推進、また住宅は住むところであり投機対象とすべきではないとも発言しております。

中国は共産党による一党独裁の政治体制でもあるためトップの意思ひとつで政治が変わるため中国の富裕層は、自分の資産を守るために海外への「投資」を活発化しています。

そんな中、円安の影響もあり日本の不動産を購入する方が増えてきていると思われます。


なぜ日本の不動産を購入しているのか

なぜ日本の不動産を購入しているのか、主に3つ考えられます。

ひとつずつ解説していきます。

1.資産保全のため

中国では土地は国のものなので、所有できず、建物のみの所有権となりますが、日本の不動産は永久所有できることから資産保全の対策として投資を行っています。

2.安心安全な日本

日本はカントリーリスクが低い国とされています。
カントリーリスクとは「政治情勢や経済情勢などの変化によるリスク」のことですが、日本はもっともリスクが低いとされる「Aランク」の位置づけです。

また、毎年発行しているGlobal Peace Indexレポート(訳:世界平和度指標数)から日本は163か国中で、安全な国「第9位」に選ばれています。

このレポートは、23項目から163か国を分析し、「安全・安心」「国内・国際紛争」「軍事化」の3つのカテゴリに分類され相対的に判断する指数です。

つまり、日本への投資は「リスクが低く投資に適した国」だということです。

参考元:(株)日本貿易保険「国カテゴリー表
参考元:Global Peace Indexレポート「2023 年世界平和指数

3.円安の影響で割安で利回りがよい

22日現在、1元=20.48円と円安は続いており日本の不動産はお買い得だと感じる要素のひとつとなっています。

実際、お買い得なのか日本(東京)の高級住宅(ハイエンドクラス)のマンション価格と賃料を 100.0 として中国の主要都市を比較してみてみましょう。

■価格水準の比較
まず初めにマンション価格を見ると、最も高いのは香港で日本の2.5倍。その次に上海、北京となり分譲単価の差が開いているのがわかります。

現状、中国のマンション価格は下落傾向になってはいるが日本と比較すると以前高いことがわかります。

つまり、日本の不動産は他の都市と比べ、それほど高価なわけではなく比較的割安で購入することができるため投資家にとって魅力的なマーケットと読み取れます。

出所:一般財団法人 日本不動産研究所より作成
※各都市の高級住宅(ハイエンドクラス)のマンションを前提とした分譲単価の各都市比較指数

■賃料水準の比較
そして次に、賃料を比較すると先ほど同様、香港がダントツ一位で東京の1.9倍、そして日本を下回って上海、北京となっています。

香港の賃料が高いのは、人口密集地で需要過多であること、上海・北京が日本より安いのは、実際の需要を無視して過剰に建設をしたための供給過剰が考えられます。

つまり、需要と供給のバランスが悪いため賃料が適正ではないということです。

出所:一般財団法人 日本不動産研究所より作成
※各都市の高級住宅(ハイエンドクラス)のマンションを前提とした分譲単価の各都市比較指数

この2つのグラフ(価格・賃料)から分かることは、
日本の物件は「割安で購入」でき、「賃料は比較的高く得られる」ことによって利回りも高くなる傾向があるため日本は魅力的な投資先となります。

■他国との利回りを比較
では、実際にどのくらいの利回があるのか、

少しエリアを広げて日本近辺の都市と比較すると東京の利回りは3%となり他の都市を大きく差をつけています。

つまり、日本の不動産は投資効率の優れた投資先だとわかります。

あくまでも平均ではありますが、東京以外の都市に投資しても投資的効果は非常に低いことが分かります。

出所:Numbeo Property Prices Index by City 2023 Mid-Yearより作成

日本の不動産は”20%OFF”で購入!?

なぜ、円安だと海外の投資家は日本の不動産を購入するのか、具体的にイメージしやすいように数字で見ていきましょう。

コロナ前(2019年)と現在とで比較して簡単な例を出します。

たとえば1億円の物件を購入する場合、

【2019年】1元:15.79円(年平均レート)、6,333,122元で購入
【2023年】1元:19.61円(1月~9月平均レート)、5,100,219元で購入

4年前と比べると、購入価格が1,232,903元も安くなっています。
つまり、販売価格の「20%引き」で購入できるということです。

では、ここで気になるのが ” 20%引き ” で購入できるとすれば利回りはいくらになるのか、です。

仮に投資利回りが4.0%とすると1億円のマンションでは年400万円の賃料収入となります。

400万円の賃料が取れるマンションが20%引きの8,000万円とすれば、投資利回りはなんと5.0%に上昇します。

そのため、外国人投資家の視点に立つと、割安感が増していることになるので、円安の今が不動産購入の良いタイミング(買い時)だと活発に動いているのです。

下表は5年間の人民元/円の年間の平均為替レートです。
2023年は1月~9月の平均レートとなっており22日現在「20.48円」です。

この5年間で人民元/円レートは24%上昇しています。つまり人民元の価値は日本円と比べて上昇していることが分かります。

出所:世界の経済・統計 情報サイトより作成
※小数第3位四捨五入

円安は今後も続くか

もちろん、さらに円安が進んでいけば割安で物件を購入が可能となりなす。

しかし果たして、これ以上どこまで円安が進むのかといえば、これ以上に円安は進まないのではないでしょうか。

下表は、2020年1月から2023年9月までの「中国」と「アメリカ」の2国間の円の為替レート推移(月次)グラフとなっています。

グラフを見て分かるように人民元とドルは連動する傾向が多いので、今後も1ドル=140~150円前後で推移すると考えると人民元も今の為替レートが維持される可能性が高いです。

なぜならば、昨年の円安の主因であった米国の利上げが最終局面にあると見られておりそろそろ円安が落ち着きそうな地点にきていると考えるからです。

出所:世界の経済・統計 情報サイトより作成
※小数第3位四捨五入

まとめ

日本の不動産が好まれる理由をまとめると、

  • 資産保全のため

  • 安心安全な日本

  • 安くてお得な物件を購入可能

また、円安の影響で費用を抑えられるので日本の不動産を購入しやすくなります。

利回りがアジア諸国と比較し高めであることからも、投資家にとって日本の不動産は魅力的です。

つまり、今のような円安の環境が変わらなければ、日本への不動産投資は恵まれた状態が継続することになります。

しかしながら、この円安の状況がいつまで続くか分からないため興味・関心がある方は早めに検討をすることをおススメします。



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