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#367【ゲスト/イラストレーター】「好きなことで生きていく」のリアル

このnoteは2022年4月7日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。


自叙伝『デザイン無宿』で語るリアル

今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、今井佐和です。本日は昨日に引き続き、イラストレーターのラジカル鈴木さんがゲストに来てくださっています。本日も森上さんと共にお届けしていきます。ラジカルさん、森上さん、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 
ラジカル・森上:よろしくお願いします。
 
今井:昨日はラジカルさんのイラストレーターとしてのご活躍やお仕事内容について詳しくお聞きしました。まだお聞きになられていない方は、昨日の放送をチェックしてみてくださいね。そして本日は(2022年)3月に出版されたラジカルさんの自叙伝『デザイン無宿』のお話を中心にお聞きしたいと思います。まずラジカルさんから新刊の『デザイン無宿』の内容を簡単にご紹介いただいてもよろしいでしょうか?

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ラジカル:はい。実はもう20年ぐらい前にほぼできあがっていた原稿だったんですが。
 
森上:えー。
 
今井:そんなに前から!?
 
ラジカル:はい。今回、電子書籍という形で出させていただきまして。まだ私は55歳で、たいしたことを成し遂げたわけじゃないんですけども、自叙伝というと大げさなんですが、自分が18歳から28歳ぐらいまでにあった変化を中心に、当時の世の中の背景とか、アナログからデジタルに移行した時期とかも盛り込みつつ、読み物にしました。同じ世代を生きてこられた方ならいろいろと共感していただけるんじゃないかと思っております。で、これが評判になればいずれ紙の本にもなるのかななんて。
 
森上:いやいやいや。そのときは一番最初にうちが手を挙げさせていただきたいなと思っています。
 
ラジカル:そうなれば、本当にうれしいですけど。
 
今井:こちら、本の紹介もすごく素敵で、初めの出だしが

「とにかくお金はなかった。将来の保証も何もない。しかし、好きだから続けられる。あきらめてしまうのは簡単だけど、イバラの道、道なき道を選んで行け。それでも自分の主導権は自分にある清々しさ。楽しんで行こう。やめてしまったら、続けなかったら、永遠になんの結果も出ない。唯一のライセンスと保証は、ソレが好きだということ」

『デザイン無宿』(ラジカル鈴木・著)より

っていう。これにももう私はグッときてしまいました。
 
ラジカル:ありがとうございます。
 
森上:絶好のつかみですね。
 
ラジカル:皆さん、やりたいことがあってその道を進んでいらっしゃるわけですから、誰でもグっとくるんじゃないかと思いますけどね。
 
森上:それこそイラストレーターでもイラストだけで生計を立てられている方もいらっしゃれば、そうじゃない方もいらっしゃったり、イラスト以外でもどんな世界にもありますもんね。本に書かれている内容よりもだいぶ遡ってしまうかもしれませんが、ラジカルさんは少年時代から美術の授業が得意だったんですか?
 
ラジカル:物心がついた頃から絵は好きでして、母親の影響なんですけども、全然外で遊ばないで絵ばっかり描いている子どもでした。
 
森上:お母様の影響というのは、お母様もイラストをお描きになられていたんですか?
 
ラジカル:別にプロでもなんでもなかったんですけど、普通に好きで描いていたのを見ていて、ピュアに絵が好きな母親だったので、もろその影響ですね。
 
森上:そうなんですか。なんとなく自分はイラストレーターになるんだろうなっていうのは思っていたもんなんですか?
 
ラジカル:まだイラストレーターっていう肩書きを知らなかったぐらいから、幼稚園、小学校ぐらいのときから漫画家か絵描きかわかりませんけど、そういうものになりたいなっていうのは思っていましたね。そのまま今日まできちゃったっていう感じです。
 
森上:小学校の時だったら、「似顔絵描いてあげるよ」とか、相当人気者だったんじゃないですか?
 
ラジカル:似顔絵なんかも描いていましたし、ノートに漫画を描いてクラス中に回したりとか、そういうことはやっていましたね。

フリーのイラストレーターになるまで

森上:なるほど。イメージ通りというか。そうなんですね。それで高校を出られて、美術学校とか、専門学校とかに行かれたんですか?
 
ラジカル:はい。専門学校ですね。いろいろと事情があって、大学は行ってないんですけど。塾みたいな簡単な専門学校で、そこで最年少だったんですね、僕が。
 
森上:最年少というのは、18歳で最年少?
 
ラジカル:高校を出てすぐ来る人があまりいない学校だったんですよ。だいたい社会に1回出てから、ドロップして入ってくるみたいな学校だったので。
 
森上:へー。
 
今井:そうすると年齢の離れた人たちが同級生のような。
 
ラジカル:そうですね。3、4歳から10歳くらい離れている人もいましたので、刺激はありましたね。
 
森上:そうですか。それで2年ぐらい行かれたんですか?
 
ラジカル:はい。2年ですね。
 
森上:そこでは、やっぱりイラストの……。
 
ラジカル:デザインの専門学校なんですけど、イラストの授業もあって。それまでの高校生活が灰色だったので……。
 
今井:灰色だったんですか。
 
ラジカル:体育会系高校に間違えて入ってしまいまして、そこから抜け出て、やりたいことがやっとできるっていうので、楽しくてしょうがなかったです。
 
森上:そうだったんですか。専門学校では横のつながりみたいな、でも年が違うからどうなんですかね。黙々とやる感じの学生さんだったんですか?
 
ラジカル:友達もたくさんできましたし。あと、学校から紹介されてバイトに行ったり。
 
森上:なるほど。それで、フリーになる人もいれば、どこかのデザイン事務所に入ったりとか、いろいろなパターンがあるとは思うんですけど、ラジカルさんはその後はどうされたんですか?
 
ラジカル:いきなりフリーっていうのはやっぱりまだ難しいですよね。バイトで2か所と就職を1回しましたね。
 
森上:それはグラフィックデザインとか、そっちになるんですか?
 
ラジカル:そうです。デザイン事務所ですね。僕が就職したのは、エディトリアルデザインの会社で、雑誌のレイアウトとかをやっているところでした。
 
森上:そうなんですね。
 
ラジカル:一応、イラストレーターという肩書きで入れてもらったんですけど、ふたを開けると……、その本に書いてあります(笑)。
 
森上:詳しくは読んでいただきたいんですが、ざっくり言うと、イラストの仕事よりも……っていう感じですか?
 
ラジカル:最初からイラストの仕事ができるわけでは全然なくて、ほとんどデザインばっかりやっていました。
 
森上:そうだったんですね。じゃあ、本当にエディトリアルの雑誌のレイアウトを。
 
ラジカル:ロゴマークを作ったり、あとはチラシとか、印刷物の原稿とか。
 
森上:なるほどね。でも、その経験が最終的には活かされているっていう感じですか?
 
ラジカル:一通りやって、イラストレーターになってからもその経験は活きていますね。
 
森上:やっぱりそうですか。
 
ラジカル:いろいろと知っておいてよかったですね。
 
森上:そうですか。やっぱりデザインの勉強をしておくことによって、イラストレーターとしての幅が広がるというか。
 
ラジカル:やっぱりイラストとデザインって切っても切れないと思うんですね。デザインされて仕上がるわけですから、絵画とは違って。一応、仕事は全部知っておくべきだと思いますね。
 
森上:なるほどね。じゃあ、これからイラストレーターを目指したいという方は、やっぱりデザインの勉強っていうのはしておいた方がいいよっていうのはラジカルさんからのアドバイスみたいな。
 
ラジカル:もう絶対にそうだと思いますね。やっておいたほうがいいと思います。
 
森上:なるほどね。それで、ラジカルさんはデザイン事務所から卒業されてフリーになったんですか?
 
ラジカル:デザイン事務所は半年でやめてしまったんですけど、その後ちょっと事情があって……。兄がいるんですけど、「会社をやれ」って言われて、5年ぐらい実はやっていたんですよ。
 
森上:え! 会社の経営ですか?
 
ラジカル:ところが、1人でやっていたので、ほぼフリーと一緒なんですよ(笑)。何も変わらないんですよ。
 
森上:なるほど。
 
ラジカル:5年間やっていたんですけど、それをたたみ、それから本当のフリーと言いますか。
 
森上:何の会社だったんですか?
 
ラジカル:もちろんデザインの事務所で。兄のところから仕事を結構もらっていたので。パソコンの販売会社だったんですけど。
 
森上:そうなんですね。
 
今井:ラジカル鈴木さんはいつから“ラジカル”さんになられたんですか?
 
ラジカル:その会社がラジカルっていう会社だったんですよ。
 
森上:(笑)。
 
今井:そうだったんですか!?
 
ラジカル:元々は音楽雑誌とかでよく見かける言葉だったんですよね。「革新的な」とか。かっこいいなと思って。でも60年代、70年代くらいは過激な意味も結構あったみたいなんですけど、「まあ、いっか」みたいな(笑)。
 
森上:なるほど。学生運動的な香りもちらっとしますよね。
 
ラジカル:そうなんですよね。それは後から知ったんです(笑)。
 
森上:(笑)。
 
ラジカル:紙一重で革新的なほうがいいなって(笑)。
 
森上:なるほど、なるほど。
 
ラジカル:それがいつの間にかペンネームになっちゃって。
 
森上:株式会社ラジカルっていう会社だったんですね?
 
ラジカル:そうなんです。「ラジカルの鈴木です」っていうのが、“の”が取れて、「ラジカル鈴木」になって。
 
今井:そういうことだったんですね!
 
ラジカル:そうなんです。それで、イラストレーターだったら、このぐらいインパクトがあった方がいいだろうって。
 
森上:いやー、覚えられますもんね、確かに。
 
ラジカル:そうなんですよね。1回聞いたら、忘れられません。
 
森上:忘れない、忘れない。
 
今井:しかも苗字が鈴木さんなので、やっぱりそこに付けるには少し過激なぐらいがちょうどバランスがいいかもしれないですよね。
 
ラジカル:そうですね。日本で1番多いですからね。

フリーランスとして心得ていること

森上:で、フリーになって、いろいろとご苦労が……。さっき佐和ちゃんが読んでくれた「お金がない~」っていう部分がありましたけど、フリーのイラストレーターになって、心がけられていることとかってありますか?
 
ラジカル:イラストレーターというか、フリーランスの心得としては、「受けたからにはベストを必ず尽くす」と。で、クオリティはもちろんですけど、「締め切りを必ず守る」とか。
 
森上:なるほど。
 
ラジカル:あと、可能な範囲で「個性出せるだけ出す」とか。やっぱり100点をずっと取っていないと次の依頼はありませんからね。フリーランスは厳しいですから。だから、そういう姿勢ができましたね。
 
森上:本当に締め切りに関しては、今回、ご一緒させていただいた『オネエ占い師 むらっち占い』の神様カードのイラストもすごくお忙しい中、スケジュールを結構前倒しでやってくださったんですよ。やっぱりラジカルさん、すごいなと思って。そのスケジュール感というか。めちゃくちゃ完璧で、こっちが逆に追われる立場みたいな。

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ラジカル:プレッシャーになってしまうと、また申し訳ないんですけど(笑)。早すぎてもちょっとあれなんですけどね……。
 
森上:いやいや! そういうわけじゃなくて。本当にありがとうございます。いい感じで。ラジカルさんはフリーのイラストレーターで、イラストレーターさんの他にもフリーのライターさんなど、いろんな方がいらっしゃいますけど、その方々にも参考になりそうなアドバイスですよね。
 
今井:読んでいただけるとすべてのビジネスマンにも響くんじゃないかなって、私は思いました。
 
ラジカル:そうですね。フリーの方に限らないかもしれないですね、もしかしたら。
 
森上:そうですよね。会社員、サラリーマンにも言えることかもしれないですよね。
 
今井:はい。ラジカルさんの自叙伝『デザイン無宿』のリンクはこちらのチャプターに貼っておきますので、ぜひお読みいただけたらと思います。

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イラストレーターになりたい方へのアドバイス

森上:ぜひぜひ。では、ラジカルさん、イラストレーターになりたいなと考えている方へアドバイスをいただいてもよろしいですか?
 
ラジカル:はい。僕の場合は狭い世界だけではなくて、出版の世界も見たし、広告の世界も見たし、それ以外の現場というか、クリエイティブなものも見たので、若いうちからいろいろとのぞくことができたのはよかったですね。いろんな対応力がそのときについたのかなっていう気はしますね。なので、若いときから限定せずにいろいろとのぞいてみたらいかがでしょうか。
 
森上:なるほどね。ラジカルさんは若い頃からアクティブにやられていて、最近はお年を重ねていく中で、銭湯についていろいろと取り組みをされていますよね。その件についてちょっとお聞かせ願えますか?
 
ラジカル:銭湯はほぼ毎日行っているんですけど。職業柄、肩こりがひどくてですね。もう自然と体が求めているというか。行かないと調子悪くて(笑)。
 
森上:都内の銭湯のキャンペーンとかにラジカルさんがイラストを提供されたり、そういうこともされていませんでしたっけ?
 
ラジカル:雑誌で、イラストを描いたりとか、ルポ的なものとか。あと、川崎市でちょっとキャンペーンをやらせていただいて、地図とかカレンダーとか、そういうお仕事にも繋がったりとかしまして。趣味だったんですけど(笑)。
 
森上:最初は趣味で銭湯に行かれていて、そのうちにそういったイベントとかの取り組みもされているという感じで。今は、銭湯さんは厳しいことは厳しいですかね?
 
ラジカル:そうですね。減る一方ですからね。ただ工夫して頑張っているところもいっぱいあって。そういうところはずっと続くと思いますけどね。
 
森上:なるほどね。そこは二極化しているというか。そういう感じなんですね。
 
ラジカル:はい。
 
今井:でも、イラストレーターの好きを突き詰めた結果、趣味で行っていた好きな銭湯がまたくっついてお仕事になって、いろいろと人生が面白い感じに転がっていくような感じですね。
 
ラジカル:ほんとですね。そういうつもりはなかったんですけど(笑)。気が付いたら、いろいろとやっていたという。
 
今井:道を極めると、すべてがつながってくるんだなって、お話を聞いて思いました。
 
ラジカル:点と点が線になるというか。
 
今井:先ほどのイラストレーターになりたい方へのアドバイスで、たくさんいろんな経験をした方がいいよっていう話もありましたけど、やはり専門学校を出た後にデザインを学んだからこそ、今のイラストレーターとしてのラジカルさんがあるというのもあったりするのかなあなんて思って。本当にいろんなことがつながっていきますね。
 
ラジカル:はい。
 
今井:ありがとうございます。リスナーの皆さんも勇気をいただけたのではないかと思います。
 
ラジカル:そうですね。デザイナーをやっていると発注する側のこともわかりますし。だから、いろいろと知っていた方がいいと思いますね。
 
今井:ありがとうございます。昨日と今日の2日間にわたって、ラジカル鈴木さんにイラストレーターの生き方について興味深いお話を伺ってきたのですが、最後にリスナーのみなさんへメッセージをお願いいたします。
 
ラジカル:はい。若いときは迷うのは当たり前なんです。僕も迷い悩みながら、失敗して絶望しながらも、なんとか自分の道、方向を見つけてきました。一番多感な18~28歳ぐらいまでの恥ずかしいことを美化せず、包み隠さずに書いたものを発表しました。本当に恥ずかしい内容なんですけど(笑)。そこまで書くのかっていう。でも、そのくらいの世代の人には何らかのヒントになるんじゃないかという内容になっております。同世代の方にはこんなときもあったよねって共感していただけるんじゃないかと。いろんな世代の方が楽しめる内容の本を出しましたので、ぜひよろしくお願いいたします。
 
森上:ぜひぜひ興味のある方は『デザイン無宿』、こちらはKindleで発売されているんですよね。

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ラジカル:Kindleと楽天Koboでも。
 
森上:楽天Koboでも。そちらの方はURLを貼っておきますので、ぜひチェックしてみてください。

今井:ありがとうございます。ラジカルさん、森上さん、どうもありがとうございました。
 
ラジカル・森上:ありがとうございました。
 
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)
 

 

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