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就活生は徹底的に「建前」を磨け!——自己分析に「本音」はいらない

こんにちは。フォレスト出版・編集部の美馬です。

いよいよ就活解禁日まであと1か月となりました。本日も就活でいち早くまわりと差をつけるスタートダッシュの方法を、ただの元人事(樋熊晃規)著『人事がこっそり教えるヤバい内定術』からお伝えしたいと思います。

自己分析の本当の使い——面接に持ち込む武器はあるか?

就活でまず始めにすることと言えば「自己分析」ではないでしょうか? ここでもまず自己分析の本質についてお伝えしたいと思います。

ひとことで言うと、自己分析とは「面接で使う武器(エピソード)探し」です。つまるところ、「ネタ探し」と考えてもらっても良いです。

就活を進める上で知っておいてほしい重要なキーワードに「原体験」という言葉があります。これは、面接官の大好物と言っても過言ではないくらい、人事界隈で認知されている有名な言葉です。

内定率を最大化する上では「面接官の視点を持つこと」が大事ですが、こういった採用側で重視されている言葉を理解しておくことも戦略の1つですね。「原体験」という言葉を調べると、「その人の人格形成や行動の方向づけに、知らず知らず影響を及ぼしている幼少期の体験」といった解説が出てくると思います。

要するに、「面接において、あなたの発言が嘘っぽくないと面接官に信じ込
ませる『根拠』」が原体験というわけです。

時に、面接官という生き物は、就活生の発言に対して「本当かな?」と疑ってしまう習性があります。人間なのでそれはどうしようもないことではありますが、そんな心配性でちょっとメンヘラ彼氏みたいな面接官に、「安心」と「納得」を与えてくれるのが、原体験ということです。

たとえば、あなたが面接官だったとして、目の前に金融業界志望の就活生が2人いたとします。2人はこんなふうに志望動機をあなたに伝えました。

 【A さん】
「私が金融業界を志望する理由は、金融という面で人々を支えたいと思ったからです。金融というものは、人々が生活をする上で欠かせない仕組みです。そして、お金は時に、命すら救うこともあると、御社のOB 訪問でお聞きしました。私は、そういった社会のインフラであり、人々の生活に深く関与している金融業界で働くことで、より多くの人に安心や価値を届けたいと強く思っています」

【B さん】
「私が金融業界を志望する理由は、金融という面で人々を支えたいと思ったからです。私は大学在学中に奨学金を借りる決断をしました。奨学金を借りるにあたって説明を受けている時に、『どんなに当たり前のことにもお金が必要であり、お金がなければできないことがたくさんある』とあらためて感じました。奨学金は、学びたいブッ人、新しいことにチャレンジしたい人を支える身近な金融の仕組みだと思います。この奨学金を借りた経験、そして奨学金があったおかげで今も大学に通うことができているという感謝の想いが強くあるからこそ、社会人になったら金融という手段を通じて、多くの人
を支えたいと考えています」

このA さんとB さんの志望動機を聞いたあなたは、どちらに良い評価をつけるでしょうか? ほとんどの人が、B さんを選ぶのではないでしょうか?
では、違う質問をしてみます。どちらの話が“嘘っぽい”でしょうか? 今度は、Aさんを選んだはずです。

この違いは、いったいどこにあるのでしょうか? 答えは、「根拠=原体験」の有無に隠されています。Aさんの文章は、最初にきちんと結論があるものの、それを補足する理由の部分が、誰にでも言えるチープな文章になってしまっています。一方、Bさんも同様に結論から始まりますが、次にくる理由の部分は、本人が実際に経験をした話に基づいていることがわかります。

このように、就活における面接では、実際に過去に経験した「原体験」を根拠として伝えることで、より話に「安心」と「納得」、「説得力」を生み出すことができます。要するに、これが、面接官から“嘘っぽい”と思われることのない文章の仕掛けというわけです。

自己分析は、面接で「○」評価をもらうための、エピソードという名の武器を増やす手段と考えてください。より多くのエピソードの引き出しがあればあるほど、必然的に面接の対応力も上がっていきます。

「本音軸」と「建前軸」の2つの軸を使い分ける

自己分析というと、自分のこれまでの人生を振り返る「モチベーショングラフ」などを作ったりする就活生もいるのではないかと思います。

もちろん、モチベーショングラフを使って自己理解を深めることも良いと思います。しかし、自己分析やモチベーショングラフの作成に取り憑かれた就活生は、等しく「自分の価値観、就活の軸にあった業界や企業はどこだろう?」と考えてしまいがちです。

自己分析を行なうのは、自分の過去の経験からのみ派生した価値観を起点にして就活を進めていくためです。ただし、様々な業界や大手企業などから内定を獲得する就活強者は、少し異なる視点を持っています。

それは「本音軸」と「建前軸」の2つの軸に分けて考えるということです。もっとかんたんに言えば、就活を「ただ行きたい企業から内定をもらうために何をすべきか?」ということを最優先にして、合理的に就活を進めるという視点です。

実際に、著者が就活生だった当時もこの視点をかなり重要視していました。当時の就活の軸は「年収」「大企業」「土日休み」。この3つの軸からブレることなく「年収が高そうだし、将来食いっぱぐれしなさそうな銀行受けとくか~」というノリでES(エントリーシート)を送り続け、一部の年収が高めのメーカー企業なども視野に入れながら就活を進めていました。この「年収」「大企業」「土日休み」というのは、心の底からの願望である、いわゆる「本音軸」です。

一方で、面接において、面接官を口説くための「建前軸」は、もちろん全然違います。たとえば、面接で、「銀行は年収も高くて、土日も休みだし、メ
ガバンクは安定しているし、将来転職とかしたくなってもここの看板があればすぐにできちゃいそうなので」などと本音を伝えてしまったら、何が起こるでしょうか? 答えはかんたん、一瞬で見送りになります。

自己分析においては「本音軸」をもとにふわっと興味、関心のある業界や企業をどんどん見つけていくことが大事になりますが、面接でバカ正直に語るのは、もちろんNGです。

見送りにならないためには、内定をもらうための「建前軸」をとにかく作り込んでいくことが必要です。これが、つまり「就活軸」になるということです。

著者が内定をもらうために徹底的に作り込んだ、実際の「建前軸」を例に挙げましょう。

「私の就活軸は2つあります。1つ目は、自分の知識や経験、成長が人のためになる仕事であること。2つ目は、困っている人の支えになるような仕事であることです」

こんな当たり障りのないような言葉です。もちろん、こんなこと微塵も思っていませんでしたが(もしかしたら当時はちょっと思っていたかも)、とにかく内定をもらうことを最優先に「金融業界、銀行だったらどんな就活軸を話せば受かりやすいか?」ということを、業界や企業の特徴からとにかく逆算していました。

もっと具体的に言えば、「金融って無形商材だし、自分が商品になるような仕事だから、『自分の成長が人のためになる』って単語はマッチしそうだな。あと銀行って、困っている人にお金を貸して、その人のチャレンジを支えてあげる仕事だよな。それなら『人を支える』って単語もあると良いかも」という思考の流れで導き出された言葉です。

こうして、内定をもらうための面接用の「建前軸」を作り込んだことで、見事内定を獲得することができました。「本音」と「建前」を明確に切り分けて就活に臨む姿勢が功を奏すと、それくらい自信をもってお伝えします。

「本音軸」と「建前軸」を使い分けて逆算!

なぜでしょうか、就活というゲームにおいては「本音」と「建前」を分けて考えることが、まるで悪いことのように考えられている風潮があります。断言します。それは間違っています。

就活は「自分が行きたい会社に行く確率である『内定率』を最大化させる行動」が何よりも正しいと考えています。そのための2つの軸「本音」と「建前」を持ち、企業選択は「本音軸」を優先、その企業から内定をもらうための「建前軸」は、内定から逆算して、徹底的に作り込むようにしてほしいと思っています。

以上お伝えした「自己分析」の方法で、ぜひ就活のスタートダッシュを決めてみてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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