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サイレント

音が止んだ。

気づいたら、何もなかった。

いや、あった。

”何もない”があった。

”何もない”がそこにあって、

心地よい空気が流れて、

静かに、そよ風のように、

さりげなく、

そこにあった。

ときどき、

”何もしない”をするのが忙しくて、

”何もしない”がしたくて、

時間を充てて、

他の予定は後回しでも、

”何もしない”が欲しかった。

誰の声も聞こえない、

何者にも変えられない、

広がっていくだけの世界、

失っていたみたいで、

今ここで、

迷子のように泣きじゃくっても、

手に入れたい静寂。


何もない、けど、

何もないがある。








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