見出し画像

日報 11月8日(火)「日々のまにま」


目を覚ましているとき、ほとんどの時間、思考を巡らせている。
これから手をつけんとする家事の順番、考えてもしょうがない過去の後悔、さっきまで会っていた友達のこと。泡のように涌いた思考は、頭や、胸や、心のあわいを漂うけれど、やがて蒸散するようになくなっていく。
日常の些細な考え事は、時間を経るごとに、文章に仕立て上げることがどんどん難しくなる。そこで今回は、短いテキストを寄せ集め、なんとか一塊の記事にしてみることにした。

1 旅と朝食
旅先で食べる朝食が好きだ。ある時は、その土地の喫茶店、あるいはコーヒースタンドを尋ねる。丁寧に淹れられたコーヒーと、トーストなどごく軽い食事を頂く。店のマスターとの会話も一興だ。
宿の朝食バイキングも捨てがたい。ほぼ無味のスクランブルエッグ、回転式トースターで焼かれる小さなパン、具が選べるおみおつけなど、朝食会場には誘惑が満載だ。
昼と夜の食事は、私にとってバリエーションがありすぎる。一人のときなど、何を食べるか迷いに迷って、結局なにも食べなかったことが一二度ではない。
朝ごはんのメニューとして妥当なのは、大体がシンプルな味付けの、ワンプレートに収まる程度の食事だ。丼ものも、ステーキも、スパゲッティも、懐石料理も、朝ごはんの選択肢としてはまず出てこない。
美味しいものを食べたいという欲求は、二十代から変わらず持っているが、如何せん腹に収められる量が年々減っている。その点、朝食に好きなものを適量食すことは、三十代を過ぎた身体を満足させるには十分なのだ。日中の活動に必須の燃料補給と考えれば、カロリーや栄養面での罪悪感もやや薄れる。
一日の始まりにゆっくりと摂る食事ほど、贅沢なものはない。そう思うとき、私は自分が少しだけ大人になったような心地がするのだ。

2 「尊い」
何らかのアイドルが好きだ、という友人が身近に何人かいる。皆生き生きと推し活を楽しんでおり、見ているこちらも元気が出る。
ある日、友人が好きだというK-POPグループのメンバーを覚えようと、終日MVを見漁った。アイドルにさほど明るくない私でさえ、片足を沼に突っ込みかけた。完璧なパフォーマンスをする彼らは、豊富なコンテンツの中で、メンバー同士の他愛ないやりとりや、日常の一部を共有してくれる。マーケティングと言い切ればそれまでだが、ファンたちは、ステージ上の彼らとのギャップにより夢中になるのだろう。
2022年は傍目に見ても、アイドル激動の年だと感じた。当たり前のことだが、彼らも一人間だったのだと、強く実感させられる出来事が多かった。
「自分の推しがアイドルを辞めちゃったら、死んじゃうかも」と、ジャニーズタレントを推す友人は、消えそうな声で呟いた。いつか表舞台を去るかもしれないという不安に耐えながら、彼女は推しの立場を慮らずにはいられない。
ファンは推しを「尊い」と表現するが、ファンだって十分尊い。推しの姿を見て、嫌な仕事が頑張れるとか、生活が少し楽しくなるとか、なんて健気な感情だろう。推す側も、推される側も、それぞれの場所で懸命に日々を生きている。二者は縁遠いようだが、同じ人間であり、間接的に互いを励ましあう存在なのではないか。
自分を応援する存在がいて、自分を励ましてくれる存在がいること。その関係性を、私はまるごと箱推ししたいと思う。

C 身体と対話する
潜在的にずっと姿勢が悪かったが、転職後にそれが顕著になってきた。在宅勤務のため、通勤で歩くことがなくなり、仕事中はずっと座り姿勢。結果、体幹はすっかり失われ、猫背・反り腰・巻き肩の三重苦を背負うこととなった。
姿勢が崩れると、自律神経が乱れると知ったのは比較的最近のことだ。
確かにここのところ、呼吸が浅さや、血巡りの悪さが原因なのか、気分がすぐれない日が増えている。おまけに、以前は何時間でも続けていられた仕事や勉強が、集中力の低下で継続できない。
いつでも新しいことをしていたい私にとって、好きなように身体が動かせないことは致命的だ。本を読んでも肩がこる、旅に行っても足腰が痛む、仕事のパフォーマンスも下がる。乱高下する健康状態に、自己管理ができない自分を責めることもあった。
なので一週間ほど前から、改めて自身の身体に興味を向けてみようと思い、姿勢を整えるための運動に励んでいる。
身体は本当に面白い。少しマシになったかなと思うと、数日後にはまた姿勢が元に戻っている。長らく不良姿勢が定着しているため、改善は一筋縄ではいかない。初めはそのことに苛立ちさえ感じ、何度も心が折れかけたが、ここで諦めてしまっても、誰も私の身体を変えてはくれない。できなくても大丈夫、少しずつ続けてみようよと、自身に優しく話しかけながら、何とか継続している。
興味分散型なので、やりたいことは他に山ほどあるが、取りあえず体調のブレが収まるまではお預けである。
noteの執筆も、身体の機嫌を伺いながら、細々と続けていこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?