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乳酸菌とDNA

最近開設したラボで、お手軽な理科実験をしてみました。ラボなのにお手軽とは如何に?とお思いの方いると思うのですが、レンタルスペースなので薬品の使用は原則禁止です。なので、ラボといっても基本的には顕微鏡による観察やPCを用いた系統解析といったドライラボとして利用となっています。てなわけで、そのレンタルスペースで”薬品”認定されなかったもので、実験してみました。

最初の実験に使用したものです。これだけです。

DNA抽出実験

DNA抽出実験は小学校の自由研究や中学校の理科実験で有名な実験ですが、ちょっと手間がかかります。有名な手法としては、「ブロッコリーのつぶつぶを乳鉢で潰して、そこに洗剤を混ぜて、茶漉しで濾過し、濾液を高濃度のエタノールに入れる」というのが手順でしょうか。これをなんとか楽してやりたいと考えて色々調べてみたところ、ジュースを使うという方法をネットで見つけました。これは目から鱗でした。先述した「ブロッコリーのつぶつぶを乳鉢で潰す」というのは、細胞膜(細胞壁)をつぶして細胞の中に閉じ込められているDNAを取り出すためにやっています。野菜をちゃんとミキサーしたジュースであれば、この過程をすでに終わらせているわけです。要は、消毒用のエタノールに野菜ジュースを入れたら、DNAが出てくるはずです。というわけで、エタノールにスムージーを入れて、DNAが出てくるまで、次の実験に取り掛かりました

原核細胞を観察しよう

原核細胞とは、大腸菌などの細菌のことです。詳しくは、最近はじめた高校生物の解説を参考にしてください(以下のリンク)。

要は、細菌を観察するだけの話ですが、細菌となれば「何の細菌を観察するの?きたない!」となると思います。身近に生物がいることにかなり許容力がある私ですが、さすがに観察できるほどの細菌のかたまりができるのは不衛生なので、そのような事態にはしません。しかし、細菌のかたまりはスーパーなどで販売されているんですよね。ヨーグルトっていうんですが。

フレーバーがあるものは良くないかも知れないと思い、プレーンなものを購入しました。ただ、大量にヨーグルトが余ってしまい後で困りました。

思った以上に小さい

観察するのは、ヨーグルトの上澄?にある液体部分です。少しヨーグルトの破片があるくらいが良いです。これを観察しても、最初はどれが乳酸菌かわからなかったのですが、小さい丸が数珠のようになっているものが乳酸菌でした。微生物の種類はよくわからないのですが、他にも細い棒状の乳酸菌も見つかるようです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌に複数種いるのは初めて知りました。

赤いまるで囲ったところが乳酸菌です。写真の目盛が1目盛1μmなので、乳酸菌の大きさも分かるのではないでしょうか?

作業的にはスライドを作るだけなのですが、工夫次第でいくらでも発展させられます。例えば、他の乳酸菌飲料などを利用するでしょうか?ヤクルトとかR1とか?他にも、パンを作る時に使用するイーストを観察して比較するのもいいかも知れません。イーストは真核細胞なので、細胞の違いが見られるかも知れないので。

乳酸菌を観察した時の動画をブログの方にあげております。興味のある方は、余ったヨーグルトの使い方ともどもご覧になってください。こちらに載せていない画像なども載せています。

なんか白いのが出た!

乳酸菌の観察前に用意したDNA抽出溶液ですが、乳酸菌を観察している間に白いのが出てきました。見にくいのですが、白いモヤみたいなのがDNAです。小さなカップみたいなので行ったので、あまりDNAが出てこなかったのかと思います。また、果肉?的なものが邪魔になっています。洗剤を混ぜたものも用意したのですが、これにはそこそこ大きなDNAのかたまりが出ていました。ちなみに、洗剤を使用するのは、洗剤に含まれている界面活性剤が細胞膜やDNAをつつむ核膜を破壊するためです。
これも応用が可能かと思います。他の野菜ジュースを利用したり、量を決めて(多めにしたほうがよいかと)行うことで、ジュースの中に含まれているDNA量(果肉量)を比較できるのではないでしょうか。原核細胞の観察ともどもいくつかのパターンを今後試してみようかな?

白いもやのようなものが、DNAです。写真の溶液には洗剤はいれていませんが、洗剤を入れた溶液の方が白いものが現れる時間が早かったです。


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