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知識がないから「おもしろい」と思えない


2023年7月30日(日)朝の6:00になりました。

常識と非常識がぶつかたときに、イノベーションが生まれる。

どうも、高倉大希です。




音楽に造詣が深くなくとも、音楽を楽しむことはできます。

医療関係者ではなくとも、医療関係のドラマを楽しむことはできます。

多くの作品は、知識がなくても楽しめるようにできています。


コード進行に関する知識があれば、その曲を構造的に捉えることができます。

病院での勤務経験があれば、その脚本の再現度を判断することができます。

知識があれば、感動できるポイントが増えるということもまた事実です。


象について調べているうちに、数学に関心を持って、パリの大学につながって、現地でファッションの勉強をしている女性と恋におちました......なんていう、「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな、はじめっからは想像できない連鎖がほんとうにできるのが、「リンク」というものの面白いところです。

糸井重里(2014)「インターネット的」PHP研究所


村上春樹さんの『ノルウェイの森』の中に「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好きだ」というセリフが出てます。

当時は「なんだこの言い回しは」と思っていたのですが、のちに『ちびくろ・さんぼ』という絵本のオマージュだということを知りました。

この瞬間に、まったく関連性のなかった『ノルウェイの森』と『ちびくろ・さんぼ』というふたつの点が、一本の線でつながりました。


自分の知識不足のせいで、楽しめないのはもったいない。

このころから「パロディやオマージュの元ネタがわかるようになりたい」と思うようになり、いわゆる王道作品と呼ばれるものを手にとるようになりました。


「どれくらい私のこと好き?」と緑が訊いた。「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好きだ」と僕は言った。

村上春樹(2004)『ノルウェイの森』講談社


前述のとおり、多くの作品は知識がなくても楽しめるようにできています。

これはあくまでも、つくり手の親切心によるものです。


もし、とある作品を「つまらない」と感じたのなら、それはあなたの知識が足りていなかっただけなのかもしれません。

つくり手の用いる言語と文脈がわかる。

そこではじめて、わたしたちは「おもしろい」と思うことができます。


かなり稀ではありますが、単純な関係性を理解するだけで、すべてを「わかった!」と感じることができるような発見があるのです。それは、科学者にとって一番楽しい瞬間であり、セーラー服の薬師丸ひろ子が機関銃を撃ちまくるような“カイカン”を科学者にもたらしてくれます。

近藤滋(2019)「波紋と螺旋とフィナボッチ」KADOKAWA


対象のせいにしてしまうのは簡単です。

ただ、対象のせいにしつづける限り、その場をおもしろいと思えるかどうかは、運任せになってしまいます。






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