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句集・歌集

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手元にある句集と歌集の感想文
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記事一覧

「野球短歌」池松舞

「野球短歌」池松舞

「いつまでたっても阪神が勝たないから、短歌を作ることにしました。」
 わたしがこの歌集を知ったのは、出版が決まった頃の池松さんのTweetでした。帯にも煽りにもこのフレーズが用いられ、目に留まりました。
 わたしは今年、阪神戦をテレビで見ていました。中学の頃からホークスファンを自称していたわたしが、何故阪神戦を見ていたのか。それは2023年の春、WBCに出場した中野拓夢選手を見るためでした。中野選

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塩見恵介「隣の駅が見える駅」

塩見恵介「隣の駅が見える駅」

 塩見先生の句の感想は、以前べつのブログに書いたことがあるので、先にそっちを載せておきます。出会いやらなにやらもこちらに。
 現俳協でも関西現代俳句協会の理事になられたのが記憶に新しいですね。今後ともお世話になります(ぺこり)

 表紙の黄色が眩しく、文字の青がくっきりと浮かび上がるデザイン。ポップな印象を受けつつ、明朝体がきちんとしているのが好きですね。
 章立ては「四月のはじめ~八月のおわり」

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「サーチライト」西川火尖

「サーチライト」西川火尖

 鉄は熱いうちに打て。というわけで、いつも通りの感じで綴っていきたいと思います。
 火尖さんとはTwitterでのやりとりだけですが、とてもやさしい方だなぁと感じています。SNSはあくまでも「一片」でしかありませんが、それはそもそもお互い様。どんな人かはお互い探り探りで、それはそうとして伝わるお人柄というものがあります。総合誌やどこそこでお名前を拝見する方々と、やりとりさせていただくことことにまだ

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「サーチライト」西川火尖(虚妄Ver.)

「サーチライト」西川火尖(虚妄Ver.)

はじめにお読みください 妄想は火のないところに煙を立たせるものだと思われていると思いますし、実際、なにもないところから火柱を生み出す力があります。今回、火尖さんの句集を読むにあたって、火尖さん自身がBL俳句誌「庫内灯」に参加されていたこともあり思い切って「BL読み」をさせていただこうと思いました。もちろん、なんの邪心もない真心オンリーの感想もありますので、それはまた改めて書きます(いずれにせよキモ

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「海鳴り」藤田亜未

「海鳴り」藤田亜未

 亜未さんとは「伊丹俳句ラボ」で出会い、以来「亜未先生」と呼んで俳句を(広い意味で)教わっていた。伊丹俳句ラボで出会った講師の先生は今でも「先生」と呼びたくなるけれど、なんとなく「さん」に移行しつつある。多分、自分の中で「教わる期間」ではなくなったってことなんだと思う。ずっと「学ぶ期間」ではあるけど。まあこの話は置いておこう。
 そういうわけだから(まったく説明になってない)、この句集は伊丹俳句ラ

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「パーティは明日にして」木田智美

「パーティは明日にして」木田智美

 俳句を知って、句会に参加して、おそらくはじめに受けた衝撃が木田さんの句だったと思います。自分が憧れて、憧れて、それでも手に入れられないものが目の前に現れた、そんな感覚でした。
 句会で何度かお会いしたりお話しすることがあって、なにかのときに「同い年くらいかと思ってました」と言われて、なんかめっちゃうれしかったなぁって今思い出しました。いやあ、相変わらずどうでもいい話が長いっすね。さっさと行きまし

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「汗の果実」松本てふこ

「汗の果実」松本てふこ

 この場を借りて、というかこの場でしか言えないのでこの際言うけれども、随分前にBL俳句誌「庫内灯」を購入したとき、若気の至り(?)でてふこさんのTwitterをフォローしたところ、てふこさんにフォローバックされるという事件が起きました。それから(おそらく)数回、片手に収まる程度のやりとりをしたことはあったものの、陰から見ているだけの日々。いや、フォロワーってそういうもんやしうんうん、という自問自答

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「まがり書房の句集」小笠原克巳

「まがり書房の句集」小笠原克巳

 職場の近くに「犬と街灯」という本屋がある。Twitterで偶然見かけたその店に、勇気を出して足を踏み入れ、最初に買った本がこの句集だった。B6サイズ、56ページ、中綴じ。表紙には「開業時から書き続けた俳句の日録」とある。
 1ページあたり3句~5句。読みやすいフォントサイズ。うん、いい感じ。中綴じの本って、どこか手作りな感じがして好き。開きやすいから、のどの近くの文字も読みやすい。小笠原さんは、

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