林修・小池百合子著(2013)『異端のススメ』宝島社
今でも注目される人の特異な生き方を知ることができる
なんとアマゾンで2016年の6月に購入したまま、随分長い間、わたしの本棚の突っ張り棒代わりとして、本棚と天井との間に力ずくで横たわっていた本でした。
昨今、小池さんが国政に返り咲くのか、次の都知事選に出るのか、はたまた噂がでてきた学歴詐称問題がどうなるのかわからないのですが、とりあえず読んでみることにした。
実はわたし自身もキャリアという面では、かなり異端に近い働き方をしていますので、お二人の異端ぶりがどのようなものであるか興味を持っておりました。
小池さんもドラッカーが好きなようで、日本の経営者や学者も含めてドラッカー好きは多いですね。本書ではマーケティング関係でブルーオーシャンやレッドオーシャンの話が出てきます。どちらかというとご両人ともにブルーオーシャン狙いのようで、その狙いと異端というところが緩やかに同質性のあるものとして語られている印象を持ちました。ブルー・オーシャン話から林さんのシャンパン話や小池さんの泡盛話に行くところは面白い。
また情報ツールのはなしで、特にSNSの利用に関しては双方の利用が正反対で、これも情報をどう見るか、どう扱うかという点で個性の違いが見えました。さらに男女の違いという点で、ダメ男はどん底に落とせという論点もユニークではある。
本書で注目したところは、「目利き」に関する後半部分である。目利きの文字が最初に登場するのは大学教育に関する点なのですが、わたしも実のところは学歴に関してはあまり重要視はしていなかったのですが、ほぼ全入で、かつ全員卒業のような現在の大学教育には疑問を感じる点は、ご両人と同じである。大学生を採用する企業側に目利きできる人材が乏しく、結果的に学歴、日本で言えば学歴よりも学校歴重視なところがありますね…
まあ異端と言えども、ご両人とも時代の流れに上手く乗れたからこそ特異なキャリアにそれが現れただけなのかも知れないと、本書を読んで思った次第です。その意味では、ご両人とも運が良いのかも知れませんね。まあそこそこ著名な人は、各々に独特の運をお持ちなので、生粋の異端なのか結果的に異端のようなキャリアになったのかは微妙な感じだと思う。
本書の発行から10年を経過しているので、今のご両人の異端ぶりを続編として語っても面白いかも知れませんね。