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「燕は戻ってこない」

桐野夏生さんの小説おもしろすぎ。時代を書かせたら一流です。新作はバブル期が舞台だそうでこれも読みたい!

ラストのぶん投げ感も、「え…?」で終わっちゃうけど桐野さんの小説らしく、くせになる。

桐野さんの小説のラストのぶん投げに慣れた身としては「こう来たか!わはは」って感じ。その先を妄想して愉快になってニヤニヤしてしまった。

いつも通りぶん投げほっぽり出しの桐野さんらしいラストだけど、今回ばかりは、「お金節約してるのに高そうな店しかおごってくれるわけでもなく、誘うってなんだよ」みたいのも、実はだいたいの女性も薄々感じていることかと。
特に、まだ社会的の地位の低い若い女性なんか感じている気がする。特に貧困でなくても。なんでも値上げしたし、なにも若い女性は喜んでスタバやオシャレなカフェなんかに集う訳では無い。華やかに見える高校生の姪もバイトを何ヶ月してやっとワンピース買えるとか言ってたし。

あと地方に生まれただけで負け組になっているつらさも、私も、関西ではあるが「首都圏で生まれた女って生まれた時からレール敷かれてて金持ちだな」ってうすうす思ってたし、その点もリアリティあったけど、ふわふわした物語(他の女性作家ならシスターフッドで片付けそう)にならないのが、女性作家がキライな私でも桐野さんは好きだと思える理由。

いつも通りぶん投げほっぽり出しの桐野さんらしいラストだけど、そこがユーモアあるんだよね、「もう終わりだよ〜ん」って言われてるみたいな楽しさ。

しかも今回ばかりは、弱者女性のリキが、目覚めていって、独りで自力でしぶとくなっていくのが、「どんどん、やっちゃって」と言いたくなった。逆に読者の私が、何も関係ない、しかも架空の人間の背中を押してやりたくなる、こんなことも読書の醍醐味ですよねぇ〜。

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