VINTAGE⑪【御大の降ろせない肩書】
学園祭が終わり、どことなく年末の忙しなさが木枯らしにのってやって来る。季節の移り変わりに少し郷愁を感じるのは少し熟成した人間になったということであろうか。VINTAGEの中も秋の深まりを感じるようになった。カウンターテーブルに何気なく置いてある団栗がどうしても自分に時の経過を告げているようで、少し残酷であった。
ニット帽のSさんは草臥れた様子で、店内に入ってきた。家の掃除やら仕事やらで一日中フル稼働だったらしい。いつものように世間話をしていると、ふと窓際のテーブルに目がいく。