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2015年9月の記事一覧

NO MAN'S LAND

NO MAN'S LAND

戦争にハッピーエンドはない。
それが映画が終わって残された私が一番最初に考えたことだった。

2001年に公開された、ダニス・タノヴィッチ監督の作品。
Wikipediaにはボスニア戦争を題材にした反戦映画とあり評価の高い作品なので借りて見たのだが、やはり非常に面白かった。
面白かった、という言葉が適性なのかすこし不安なのだが、より沢山のひとに見て欲しい映画だった。見終えたあとには、映画のメインビ

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深夜食堂

深夜食堂

ほのぼのする映画だった。
夜にキッチンでだらっと飲みながら見たい映画。

アットホームでありながら、みんなが少しずつだけど前に進むための場所。
思ったことをはっきり言い合っても許されるような空間。なぜか人を許せる時間帯。飲み屋のあのゆるい空気が好きな人はきっと好きになる。

行きつけの飲み屋さんが、ひとつくらいは、あったほうがいい。ただ寂しいから人が集まってるって訳じゃないところ。すこしだけ今日の

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時計じかけのオレンジ

時計じかけのオレンジ

無事に見終わる事ができて安心した。

大変申し上げ難い事になるが、いま、世間では元少年Aの絵や文章の芸術性がどうとか言われているが、それに似通ったものをこの映画に想像していた。

平たく言えば、暴力や痛みやグロテスク、性的倒錯が2時間続くと思っていたし、冒頭は本当にそういう感じだった。

無事に見終えた、というのは、私は暴力や痛み、グロテスクなものを見聞きすることが極端に苦手でテレビのニュ

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悼む人

悼む人

第140回直木賞受賞、天童荒太の悼む人が原作。
やっと映画になったのか…(知らなかった)

映画をよく見るようになったのは今年に入ってからなのでとても最近のことなのだけれど、この作品を見て、原作のある映画を作る場合、原作の模倣ではいけないのだなと思わされた。というより、気づいた。

至極当たり前のことなのだろうけど、作品を読み解いて新たに構築する作業はとても大変だろうなあ。

原作を読んだ人た

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ドラえもん のび太とブリキの迷宮

ドラえもん のび太とブリキの迷宮

この映画、現代人が見るべき作品第1位で間違いない。

2020年問題や、その先に待ちうける2045年問題、一言で言うと、コンピューターの知能が人間を勝っていくという話があるけれど、この映画はまさにそれを題材にしている。

ドラえもんの映画はほとんど見ているけれど、面白さはピカイチ。

いつもの5人、それぞれのキャラクターのいいところがすごく出ているし、逐一台詞がいい。
もちろん見所いっ

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FULL METAL JACKET

FULL METAL JACKET

このフルメタル・ジャケット、対訳が素晴らしかった。かなりストレートでわかりやすく、面白い。
ただこの翻訳者の原田眞人さんは、インターネット上での映画の評論は悪貨だと言っているらしい。ごめんなさい。

まず言っておきたい、と思うことがある。

この映画に道徳は存在しない。
本来現実にも道徳など存在しないように。

前半は訓練期間で、思想や疑問を持つことの自由は全く許されない。戦争行くのに本人

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太陽

太陽

終戦付近の昭和天皇を描いた作品。
まず断っておかなければならないのが、昭和天皇を描いているといっても、モチーフに過ぎないということだ。これに関しては追って話すことになる。
驚いたのがこの作品、まだ公開されてから10年程度しか経ってない。そもそも戦争に負けてからまだ100年と経っていないんだものなぁ。健忘的にも程があるかもしれない。
これが10年前に作られた意図はなんだろうと思う作品だった。世相を反

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ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜

ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜

こちらは太宰治生誕100周年を記念して作られた作品の中のうちのひとつで、もちろん太宰治のヴィヨンの妻が原作。

太宰治のファンとしては一度は目を通しておきたい。なのだが、実はあまり期待していなかった。というのも、わたしは以前この生誕100周年シリーズの人間失格を見ている。あなたはあの作品を見たことはあるだろうか。

見た事のある人ならわかるだろうが、まあつまらない。クソつまらない。原作読んだのか?

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