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NO MAN'S LAND


戦争にハッピーエンドはない。
それが映画が終わって残された私が一番最初に考えたことだった。


2001年に公開された、ダニス・タノヴィッチ監督の作品。
Wikipediaにはボスニア戦争を題材にした反戦映画とあり評価の高い作品なので借りて見たのだが、やはり非常に面白かった。
面白かった、という言葉が適性なのかすこし不安なのだが、より沢山のひとに見て欲しい映画だった。見終えたあとには、映画のメインビジュアルの良さが響く。

ボスニアとセルビアの中間地帯で敵対する兵士が主導権を奪いあう姿がなんとも滑稽で、自身の体で地雷を押さえている文字通り死と背中合わせの兵士が再三ふたりを咎めるが、最終的には助けが来たのにも関わらずいがみ合って両方死ぬ。どちらかが死ねば戦争が終結するでもないし個人として嫌いあう理由もないのに。
現地にいるマスコミは問題提起を行い国連に正しい行動を求めているように見えたが結局は問題の行く先などどっちでもよく絵を求めているだけ。
兵士に「地雷をしかけたのはあなた?」と聞くシーンなんかまさにふざけている。
国連は面倒を嫌がり自体を悪化させ国民に非難されることを恐れ事実を書き換える。

立場を抱えた人間たちがその立場における正義を遂行したと言えばそういうふうにも思えなくもないが、立場による正義なんて命の前ではひどく不条理だ。しかし、最初に敵兵の下に地雷を仕掛ける兵士の態度を思い返すとそんな立場上の何かがあるだけマシかと思えるほど呆れる。

そういえばフランス人やドイツ人などが登場し、ちょくちょく言語によってストーリーがつっかえるが、すらすら意志疎通したのは敵対した兵士の二人だったのが何とも皮肉だった。

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