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2020年1月の記事一覧

忘れ得ぬコンサート:ムラヴィンスキーの悲愴

忘れ得ぬコンサート:ムラヴィンスキーの悲愴

「行けなくなったのでもらってくれるか」という手紙が東京の友人から届いた。
ムラヴィンスキー・レニングラードフィルのコンサート。曲目はチャイコフスキーの「悲愴」。
ありがたく頂戴した。1975年の6月だった。

 当日の曲目は悲愴の他にモーツァルトの39番だったようだが(ネットで調べた),これはほとんど覚えていない。いや,悲愴にしてもほとんど覚えていないのだが,いくつかの箇所だけは鮮明に蘇ってくるの

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2つのト短調交響曲

2つのト短調交響曲

 モーツァルトの2つのト短調交響曲,第25番と第40番について考察しようというのが今回のテーマ。
 なお,25番は演奏したことがないが,40番はクラリネットで演奏したことも指揮をしたこともある。その違いで,掘り下げかたが違うかもしれないが,その点はご了承願いたい。

 楽器編成を確認しておこう。弦は同じなので,管楽器。
25番はオーボエ,ファゴット,各2パート。ホルンは調性の違うものが2つ,全部で

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モーツァルトの短調

モーツァルトの短調

モーツァルトの短調の曲,といったら,どの曲を想起されるだろうか。
交響曲第40番が得票数が一番かな。
同じト短調で交響曲第25番もある。
ピアノ協奏曲なら第20番ニ短調か。
第24番も短調でこちらはハ短調。
レクイエムはニ短調。ミサ曲ハ短調と双璧。
ピアノソナタはK310のイ短調か,K457のハ短調。
あるいは幻想曲K397のニ短調。
ヴァイオリンソナタは,K304のホ短調。
ピアノ四重奏曲第1番

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モーツァルトの倚音

モーツァルトの倚音

 まず,倚音(アポジアトゥーラappoggiatura) について説明しておこう。
コトバンクによると,「強拍に置かれて2度進行で和声音に解決するもので,自由掛留音とも呼ばれる」となっている。
 私が倚音のことを初めて知ったのは,NHKの「フルートともに」だった。講師の吉田雅夫先生は,倚音の「倚」は,「よりかかる」という意味だと言っていた。
 フルートともにのテキストは楽譜だけで,倚音についての説

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合奏はテレパシーで

合奏はテレパシーで

合奏,特に少人数の場合は,互いにテレパシーを飛ばしあいながら演奏をする。

テレパシー,信じますか。

 テレパシーのことを書いたのは,ヴィオラ奏者の浅妻文樹氏。弦楽四重奏での話である。もうずいぶん前のことで,何かの小冊子だと思うのだが,探したが見つからなかった。
 もうひとり,似たようなことをフルート奏者の吉田雅夫氏も書いている。
彼の場合は,「火の魂 飛び交うがごとく」である。

 テレパシー

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