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聞こえる人がマイノリティ?ろうケンミンSHOWに行ってきた!

こんにちは、ゆーりんちーです。今回は、先月(2024年1月)行ってきた「第6回 ろうケンミンSHOW!:関西日本手話研究会」についての感想を書きます。地域の手話通訳者を目指して手話勉強中(勉強歴約2年)の聴者の私が感じたことを素直に綴り、最後にマジョリティ性と特権について思ったことをまとめます。


ろうケンミンSHOW!って何?

ろうケンミンSHOW!とは

「ろうケンミンSHOW!」は、関西日本手話研究会さんが開催しているイベントで、さまざまな地域出身のろうの方をお呼びして、育った地域の様子や学校の話を伺う企画です。今回は離島出身のろう者たちにそれぞれの経験を伺うということで、広島と鹿児島の離島と台湾の出身者が登壇されました。手話通訳がついており、私は、一生懸命、話者の手話を見つつも、主に音声日本語通訳を頼りに内容を理解しました。

参加の経緯と参加前のドキドキ

通っている地域の手話通訳養成講座のクラスメイトに誘われて、初めて参加してみました。離島出身の方々の手話が理解できるだろうか、通訳付きとはいえ長時間集中して話を理解できるだろうか、と内心ドキドキしながら参加しました。

印象に残ったこと

離島で漁業に従事されている話、島を離れてろう学校で寄宿舎生活をした話、台湾のろう者事情(日本より先進的!)等、ここでしか聞けないような面白い話を、本人たちから直接お聞きできて、とても楽しかったです。個々のエピソードに関して、一つ一つが興味深くて、またろうケンミンSHOW!があったら行きたいなと思いました。メタ的な部分に関して感じたことがたくさんあったので以下に書きます。

1.受付でのコミュニケーションが難しかった

ちょっとした事務的行き違いだと思いますが、友人が参加手続きで上手く行かず時間がかかりました。受付では音声日本語が通じず、行き違っている点もうまく説明できなくて、もどかしく感じました。

2.ことばがわからない、ろう者あるある?みたいなのがわからない

手話通訳の音声日本語を聞いても、理解できない言葉や、やり取りがありました。例えば、ろう学校、学園、寄宿舎、という単語を通訳の方から聞いたときに、なんとなくはわかるけど、具体的に何を指していてどう違うのか理解できませんでした。また、ろう学校あるある、のような話題で盛り上がっているときに、会場全体のリアクションについていけなかったりしました。(私は研究者なので、)研究者風に言うと、異分野の学会に初参加したような感じでしょうか。

3.質疑応答でドキドキ、結局質問できず…

最後の質疑応答で、先ほど挙げた「ろう学校、学園、寄宿舎」の違いについて質問しようかな、と思いました。私は普段から積極的に質問するタイプで、壇上に上がるのも平気です。しかし、質問者として壇上に上がった方が全員手話で質問される中、自分の手話のレベルに自信もなく、また、雰囲気的に、声で質問して大丈夫だろうか(※会場では、声で質問しても大丈夫です、というアナウンスがありました)という不安もあり、結局質問できませんでした。

気づかされた自分のマジョリティ性

(あくまでも感覚的にですが、)会場では、手話を第一言語として話している方が、音声日本語で話している人に比べて大多数を占めているように感じました。自分の日常生活における聴者とろう者の比率からすると、マジョリティとマイノリティが逆転するような経験をしました。
そして、先に挙げた3つのことは、きっとろう者の方が日々経験されていることなのかもしれない、と思いました。聴者しかいない手話が通じない受付で時間がかかったり、聴者の会話を通訳付きで聞いても完全には理解できなかったり、聞きたいことがあっても雰囲気やコミュニケーションの不安から聞けなかったり…。今までも、通訳養成講座でろう者から日常生活の困りごとを伺う機会があり、理解したつもりでいました。しかし、自分が実際に今回のイベントでマイノリティ側になって、これらを体験として突きつけられたことは非常に大きな意味を持ちました。普段は、聴者としてマジョリティ側にいるんだ、と気づかされました。

自分の特権を自覚することの大切さ

自分のマジョリティ性に気づき、特権(Privilege)を自覚することが、平等な社会への第一歩だと思います。私も普段はマイノリティ側(男性が大多数の業界で活動したり、など)を自覚することは多かったのですが、自分のマジョリティ性、特権に気づく機会が少なかったと思いました。

「特権」とは、「あるマジョリティー側の社会集団に属していることで労なくして得る優位性」と定義しています。英語では「Privilege」。ポイントは「労なくして得る」で、たまたまマジョリティー側の社会集団に属することで、自動的に受けられる恩恵のことです。

(出口 真紀子(上智大学教授)さんの記事より)http://ictj-report.joho.or.jp/2106/sp01.html

友人の話で似たような切り口の話があります。その友人は男性が8-9割を占めている業界で働いている男性です(つまり普段は性別においてマジョリティ側)。彼が、育休中に、ママがマジョリティの育児イベントに参加して、パパとしてマイノリティ側の経験をしたそうです。そして、なんとなく居づらかった、同じ業界にいる女性って普段からこんな感じなのかあ、と呟いていました。

こんな風に、マイノリティ側を経験する自分のマジョリティ性とマイノリティ性の両方に気づくという機会をたくさんの人々が得られたら良いと思います。
交差性、intersectionalityという話もしたかったのですが、長くなったので、また別の記事にします。ろうケンミンSHOW!参加して本当に良かったです。

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