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「おはよう、起きろバカ」 「バカ!」午前五時、品川駅のホーム。昨晩の浅い眠りをどうにかこ…
樹紗は今日珍しく日が暮れる前に家に帰ってきた。買い物はもう僕が済ませていたのに、手にビ…
「人多いなー、てかきったね、さすが学生街」 「でもこいつらも早稲田なんだよな」 「それを言…
「お茶の水、上陸!」 「じょーりく」終業式がいくらかおして、電車を乗り継いで駅に着いた時…
その晩イチイに浅香の話をした。もちろんチャットでだ。基本的に彼女の返信はそっけなくて、…
次の朝、駅で浅香と出くわした。向こうが軽く手を上げヘッドフォンを外した。 「昨晩は、ど…
代休明けの火曜日の朝、教室に入ると星の机の周りに何人かの女子が集まっていた。 「星君、写真上手いんだね」 「親がカメラメーカー勤めでさ、製品のチェック兼ねて色々撮りまくってんだよね。物心ついた頃には俺も触ってたよ。最近はニコラス・ニコラって人が良くて…」 「なんかかっこいい」 「今度個展でも行ってみる?サンシャインでやってるけど」 「あ、う、うん。部活なかったらね」 「そこ俺の席なんだけど。隣ずれて」不毛なやりとりを楽しんでいた星は僕に気づいて手招きをする。 「ほら、日曜の
「そこ。北口出たらアーチが見えるでしょ」 「アーチ?ああ」花壇の縁に腰掛けた僕は電話を切…
生活にはどこまでもバイトが付きまとっている。アパートから歩いてすぐのコンビニでほとんど…
アートマンが自分の背中を目にした。深い夢は鋏にかかって枕元に落ちた。もう忘れたはずだっ…
息を吐くと、指は雨曇りの朝顔のように半ばまで閉じて、掌の上で交差する幾本の澪は、少しば…
「ねえ、やっぱり友達がいい」言ってしまうと、イチイは形だけ申し訳なさそうに俯いたまま髪の…
昼下がりの空を眺めるでもなくて、僕は帰りを急いでいた。薬局を出るときに、息を切らし駆け…