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【読書】豊富なデータから人々の行動原理/インセンティブを理解する/「Super Freakonomics」から

ベストセラーとなったポップな経済学書籍Freakonomicsの続編。経済学的な観点から、豊富なデータをもとに売春や病院等のシステムやインセンティブ体系を紐解いた一冊。

要約

  • 前回と同様、人々のインセンティブや物事の意志決定について、豊富なデータや実験結果を使って考察。

  • まず手始めに売春ビジネスに関する分析。各種性サービスの価格や売春婦のキャリア、サービス提供に当たっての安全性確保等の実態などに迫る。

  • 正直、一作目に比べて、目新しい学びがあったかといわれれば疑問。ただ、盛り込まれたエピソードは新しいので、それに興味があれば、良い本。




1.本の紹介

本のタイトルは「Super Freakonomics: Global Cooling, Patriotic Prostitutes, and Why Suicide Bombers Should Buy Life Insurance」(2009年刊行)で、邦訳は、「超ヤバい経済学」。

Freakonomicsの続編。

共著で、著者の一人はアメリカ人経済学者のスティーヴン・デヴィッド・レヴィット/Steven David Levitt (1967-)。ハーバード大学で経済学士号、MITで博士号を取得後、現在 シカゴ大学経済学部の教授を勤める。

スティーヴン・デヴィッド・レヴィットさん

もう一人は、アメリカ人ジャーナリストのスティーブン・ジョセフ・ダブナー/Stephen Joseph Dubner (1963-)。

スティーブン・ジョセフ・ダブナーさん

2.本の概要

経済学な視点から、経済学者が通常扱わないような社会的な事象や側面に切り込むFreakonomicの続編。前回と同様、人々のインセンティブや物事の意志決定について、豊富なデータや実験結果を使って考察している。

まず手始めに売春ビジネスに関する分析。各種性サービスの価格や売春婦のキャリア、サービス提供に当たっての安全性確保や売春婦とクライアント間に入ってサービス売買を行うエージェントの実態などに迫る。冒頭で著者が読者に投げかける質問は、路上の売春婦達と年末デパートに現れるサンタさんに共通することは?答えは共に、あるいみ季節労働チックであること。holidayシーズンになると性サービスの値段が跳ね上がるらしい。その背景には、家族とバカンスに来たはいいが、暇をもて余した男が群がってくるらしい。

As for the question posed in this chapter - how is a street prostitute like a department-store Santa? - the answer should be obvious: they both take advantage of short - term job opportunities brought about by holiday spikes in demand. 

P. 43

他にも大きな事故などが原因で病院に緊急搬送された場合、そこでの生存確率がたまたまその時に居合わせた担当医によってどれだけ違うのかをデータ分析。得てして良い大学を出ていて良い大学で教えている医者の方が成績は多少良くなるが、ただ結局は10%以下の小さな差で、むしろ女性か男性か、富裕層か貧困層か、普段何を食べているかとかの方が、生存率に大きく影響する。

また、抗がん剤治療に関する記述も興味深い。統計的には生存率にたいした影響を及ぼさない、とのこと。それでも処方されているのは、医師側にそう言ったインセンティブがあるからだとのこと(賛否両論ありそうなテーマで、私も半信半疑)。

他にも色々エピソードがあったが、著者の言いたいことは、人々はインセンティブで動く、物事の裏にはインセンティブがある、ということらしい。

3.コメント

正直、一作目に比べて目新しい学びがあったかといわれれば疑問。ただ、盛り込まれたエピソードは前作とは異なるので、例えば売春ビジネスや医師の世界の実態などに興味があれば紐解いても良いかもしれない本ではある。

最後に一言

本記事は、あくまで私がポイントだなと思った部分のみ書き出しまとめているだけです。この概要記事がきっかけとなり、この本に興味を持っていただけたら幸いに思います。


併せて、他の記事もご覧いただけたら幸いに思います。


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