音楽家の旅行記 長野編 -Part2 食い倒れ-
信州サーモン丼
長野駅に戻ってきた。長野駅は複合施設でありながら長野地元のお土産、レストラン街にとてもよく特化されているように旅行前調べているうちに思った。長野到着最初の食事を目指しレストラン街へ目指す。目的は信州サーモンだ。なかなか普段お目にかからない代物、ましてや海なし県の長野とサーモンは今でこそ地名度は高いが少し前までは結びつきにくいものであったのではないだろうか。レストランに入り、信州サーモン丼を注文。
まずはサーモン単体で味見。最初に食べてみて驚いたのが臭みが全くない事だ。臭いがなさすぎて魚を食べている感覚さえ湧かない。そしてこの身質のきめ細やかさと滑らかさ。身全体的にコテコテしてない優しい脂が乗っていて口の中に入れ噛むとだんだん溶けてくるような上品な身質。控えめながらはっきりわかるあっさりした旨味。こんなサーモンは食べたことがない。スウェーデンを訪れた際お隣の国の名産であるノルウェーサーモンのスモークを食べたがそちらは実は生臭みが多少あった。また味は信州サーモンとは逆にはっきりと主張し押しの強い濃厚な旨味で身質はやや粗め、細胞を噛んでて感じるような食感でこちらも美味しかったが全く別物だ。本当にお国柄や風土の違いというのが現れるというのは面白い。他は味噌汁の味噌がやはり東京で慣れ親しんでいるものとは違う。信州味噌の特徴的な味の濃さと素朴さが薄味の出汁と相まって強調されている。
ご飯以上にこのサーモンはお酒との相性が良いだろうな、そんなことを閑雅ながらじっくり味わい完食。
長野ワイン
あっさりと食べてしまい次の目的のために下の階へ。バーがありそこで長野ワインをいただく。
長野は地酒も有名だが実はワインも名高い。ヨーロッパで行われた国際コンクールで最高賞に選ばれたワインもあるくらいの立派な産地なのだ。ヨーロッパにそれなりに在住しそれなりに現地のワインを嗜んだ私としては、またヨーロッパで作曲技法を学び日本を探求し日本らしさをヨーロッパの技法で表現できないか、そんなことを考えている私としては日本発のヨーロッパの名産はとても気になるところだ。
まずは白ワインと、半額になっていたサラミとチーズの盛り合わせを注文。
すっきりとした味わいにほんのりと甘い白ワイン。400円でこの味ならコスパが良い。軽くスイスイと入っていってしまうのでセルフサービスのお冷を取りクールダウンさせながら味わう。
二杯目は赤。小諸のワインだそう。匂いを嗅いだ瞬間にビクッとした。
カシスのようなベリー系の香りにスパイス系?のような香りがどんと香る。
蘊蓄を綴れるほどワインに詳しいわけではない私だがヨーロッパで飲んだワインと遜色を感じないほどしっかりとした香りに期待感が高まる。
一口煽って、ライトボディらしいのだがそれにしてははっきりとしたワインの旨味、風味が広がって美味しい。こんな本格的な日本産のワインがあるんだなあと感心しながら良い気分になっていく。アルコールは好きだが特別強いわけではない私は二杯でだいぶ良い感じに。味も良いからなおのことだ。
味噌ラーメン
お酒も回り軽い信州サーモン丼で若干物足りなかった私はアルコールで気持ちが緩くなってしまい、旅先だから良いかと締めのラーメンを求め駅を出る。歩いて5分もしない範囲に信州味噌ラーメンの名店があると事前情報で知っており1日早く食べに行くことに。一番ベーシックな味噌ラーメンを注文。
信州味噌の濃厚そうな見た目にテンションが上がる。やはりまずはスープから。一口啜って味噌の味の強烈さが押し寄せてくる。素朴ながら非常に濃厚だ。またそのベースのスープの味も濃い。濃い出汁に濃い新鮮な味噌。たまらない。それでいてどこか素朴さを感じる、懐かしい味。信州味噌はラーメンのために作られたのではないのだろうか、そんなことさえよぎってしまうくらいスープの完成度が高い。麺は極太で歯ごたえが非常にしっかりしていて伸びにくそうな小麦を感じる麺だ。これだけスープの味が強いのに麺の味もしっかり感じられる、先ほどの繊細さが売りの信州サーモンとは違い非常に力強いラーメンだ。チャーシューもバラ肉の脂の甘みと表面があぶられている故の香ばしさと一つ一つの主張がはっきりしている。札幌ラーメンも食べたことがあるが、私の経験した中で1番の味噌ラーメンだった。
次回に続く。
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