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■『紫式部日記』を読むならここから①―『紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』』

来年の大河ドラマは平安時代中期、摂関政治が最盛期を迎えた時代を舞台とする『光る君へ』。主人公は、吉高由里子さん演じる紫式部です。

紫式部が著したもので最も有名なのは『源氏物語』です。しかし、彼女が残した書物はほかにもあります。それが『紫式部日記』『紫式部集』です。

『紫式部日記』は、紫式部の仕えた中宮彰子が敦成親王を出産したとき(寛弘五年)の記録を中心に、中宮に仕える女房たちについてや仕事における感懐などを、寛弘七(1010)年にまとめたものです。

この『紫式部日記』があったからこそ、『源氏物語』が紫式部(当時は「藤式部」と呼ばれていました)の手になるものであることが判明したのです。

また、『源氏物語』が女性たちだけでなく、時の権力者藤原道長や、この時代の文化の中心にいた藤原公任、雲の上の存在である一条天皇など男性たちにも読まれていたことが、この『紫式部日記』から分かります。

この作品は「日記」ですから、『源氏物語』とは異なり、作者自身の身のまわりのこと、考えなどが率直に語られます

もちろん、現代の「日記」のように「〇月✕日、何があった」と書かれるわけではありません。そもそもが「中宮彰子の出産記録」という中心の軸がありますから、現代で言うと「ノンフィクション」に近い感覚かもしれません。あるいは、ずっしりとした「随筆」とも。

ですが、紫式部がどのような人物であったか、どのように日常を送ったのかを知るなら、この『紫式部日記』は避けて通れない作品です。

今回は、その『紫式部日記』を読むにあたり、初めの一歩として取り組みやすい本をご紹介します。それがこちら。

堀越英美さん著、山本淳子さん監修による『紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』』(扶桑社)です。



■『紫式部は今日も憂鬱』について

■『紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』』
■堀越英美著・山本淳子監修
■扶桑社
■2023年11月
■1400円+tax

ひきこもり作家が後宮で働いてみたら……⁈

出仕したらいきなりアウェイ、
同僚はみな深窓の令嬢、
仕事相手はクセつよ貴族官僚。

30代OL風に超訳

■『紫式部は今日も憂鬱』の描きかた

本書『紫式部は今日も憂鬱』は、『紫式部日記』の全文訳です。原文(古文である元の文章)は入っていません。たとえば、こんな感じ。

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