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ずっと分からなかった、「お前は本を読め」という問い

数年前、人生の恩師とも呼べる人に言われた言葉があります。

「吉田、お前はもっと本を読め」
「いや、読んでますよ」
「…そうじゃないんだよ…もっと文学とか、そういうものを読んだほうがいい」

当時の私は仕事が世界の中心で、もっとうまく、はやく、仕事をやるためには…ということばかり考えていました。だから、読んでる本もいわゆるビジネス書。

だから当時はその言葉を投げかけてもらった意味がよく分かりませんでした。文学って娯楽だし、明日の私が生きるための糧にはならない。こんなに時間がないのにどうしてそんなコトに時間を取れるだろうか?

久しぶりの小説が教えてくれたこと

あれから5年くらい経ったでしょうか…ようやく、その言葉の意味が分かりかけてきた気がします。

最近、「マチネの終わりに」を読みました。本当に久しぶりの小説です。ストーリー自体もとっても良くって単純に楽しませてもらったのですが、それ以上にこの1冊から深く教えてもらえる事がありました。

・哲学的な考えを、人の感情のリアリティと共に教えてくれた
誰か1人の人生・ストーリーを追いかける小説は、その物語を通して何かしらの哲学を訴えて来るなと思いました。しかもそれを、すごくリアルな感情と共に。自分の人生でもそれって出来るけど、本を読めば読んだ数だけリアリティを伴った哲学が生まれるものだなと実感しました。

・表現の繊細さを教えてくれた
マチネの終わりには、当然ながらネットの記事、ビジネス書と比べ物にならないくらい繊細で美しい表現がそこかしこに散りばめられていました。言葉の紡ぎ方ひとつでこんなにも受け手の感情の色を変えることができるのか…こういう言葉を私も紡げるようになりたい…!

役に立つわけじゃないけど、生き方が変わる

文学・小説はビジネス書みたいに明日使えるスキルじゃない。何かに役立つ情報でもない。でも、人が生きていく時…自分の人生の切り口を考える上で、言葉を紡いでいく上で、とても大事なものが詰まっているなと思いました。

きっと読めば読むほど、色んな人の人生の感情や哲学を自分の中に抱えて、私の中が豊かになっていくから、自分の人生を考える時や人に何かを伝える時に全然違うものが出てくる気すらします。

結果、そういう素地がなかった私は、恩師からうすっぺらく見えていたんだろうなとも思いました。

最近はこういった遠い昔の問いに対して、ふとした瞬間に自分の納得解がストンと落ちて来ることがあるので、人生っていいなぁ〜こんな事がこの先もたくさんあるなら、これからめっちゃ楽しいじゃん。という気持ちになってます。

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