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休む勇気 ~うつの時は、スキルアップや投資は逆効果~

休む勇気 ~うつの時は、スキルアップや投資は逆効果~

1 心の疲れと身体の疲れ

 心の疲れと、身体の疲れの根本は実は同じものです。
 ただ、疲労が蓄積していく段階で、心の不調を感じやすい人と、身体の不調を感じやすい人がいます。
 一般的には、まず身体から異変を感じ次第に心、考え方、感じ方、行動が変化していくようです。

 ただ、元気な人、若者、辛くても我慢する頑張り屋さんは、身体の変化が生じてもそれに気が付かないか、無視してしまうことがあります。
 このタイプの人は結果的に、心にかなり大きな変化が生じるまで、自分の行動を変えることができません。一見は強い人のように見えるが、重症になってからでないと気が付かないので実はもろい人でもあります。

 仕事を続けていくには、まだ変化を自覚できない心身の変化を、丁寧に感じなければいけないのかもしれません。
 肩が重い、胸に何かが使えている、息が詰まるなど身体のわずかな変化に注目し、そこから何が自分の負担になっているのかを探していき、自覚できなかったストレスを発見して疲労の蓄積を予防いきましょう。



2 自信回復の3つのステップ

①     蓄積した疲労を回復する
②     身体を動かして体力をつける
③     人とゆるやかに繋がりなおす。

 大切なのは、この順番通りに行うことです。
 疲労が回復しないうちに仕事に復帰すると、かえって疲れが増してしまいます。

 そして、人間関係を作っていくにはエネルギーが必要なので、身体をしっかり動かして体力をつけておく必要があります。


2-1 「蓄積した疲労の回復」について

 自信は、疲労と密接に連動します。
 ネガティブなことばかり考え始めたら、1日8時間を目標に布団の中にいましょう。もしくは、1時間でも多くの睡眠をとるようにしましょう。


2-2 「身体を動かして体力をつける」について

 自信回復には、スキルアップや投資よりも軽い運動をお勧めします。
 疲労が溜まっている状態では、判断能力も鈍っています。やることなすことが、ポイントを外してうまくいかないことの方が多くなってきます。
 スキルアップや投資を頑張ることで、ますますエネルギーが減り、疲労がさらに蓄積されて自信まで失ってきます。

 ここで、身体を動かし体力をつけることで、「自分の能力や生き方はこれでいい」「自分はこれができる」という自信を回復することができます。

 翌日に疲れが残らない程度の運動で、掃除や料理などでもOKです。


2-3 「人とゆるやかに繋がりなおす」について

 疲労がたまっていると、人と会うのが苦手になることもあります。
 疲れていて余裕がない状態だと、集団の中にいることが怖くなります。
 疲れがたまっているときは、周りが猛獣のように見えてしまいます。

 意識レベルでは、自分が自信があると思いたいのに、無意識レベルでは恐怖でいっぱいということが当たり前のようにおこります。自分の気持ちに蓋をしたまま活動続けた結果、あるときに崩れてしまうのです。

 人とゆるやかに繋がりなおすのは、自分に居場所があることを実感するためです。信頼できる人が1人でもいれば、さらに自信を取り戻せます。
 


3 自然治癒力を引き出す本能運動

 自信を回復する方法は、軽い運動がお勧めです。
 特別な運動をしなくても、身体の動きを快適にする運動は、あくびをしたり、伸びをしたり、身体をゆすったりといった、日ごろの何気ないしぐさや動き、姿勢の中に埋め込まれています。
 一見、無味に思われるようなしぐさですが、身体の動きを調整するための大切な調整機能をはたしてくれています。

 しかし、あまりにも興奮しすぎたり、疲れすぎたりしてしまうと「当たり前」さを失って機能しなくなります。そして、疲れや気分の悪さが蓄積してゆく悪循環に陥っていきます。何気なく当たり前に機能していることほど、失ってしまうとどうしていいか分からなくなりやすいものです。
 慢性的に強度の刺激が満ちる近年の環境の中では、気が休まる暇もほとんどなく、多くの人は、この強い刺激に対して隙をつくらないように身を固めています。

 だからこそ、身体は静かでささやかな心地よさをもとめているのかもしれません。これから紹介する運動は、余計な力さえ抜ければ技術はいらないという運動です。
 しかし、あえて力を抜くということが一番難しく、また最も味わい深いところです。何の心得がない人の方が無心でできるので、かえってうまくいくのも面白い運動です。

 人間生活で起きることの本質は「理論」の枠に収まらず、直感や本能的動作、あるいは人と人の間に意識以前に起きる反応の中にあります。
 その核心をつかむには直感的に捉えるのが1番です。
 のびのびとした、生き物としての身体感覚を再発見し、ゆっくり丁寧に身体を蘇らせていきましょう。

 

3-1 背中呼吸

(こんなときに)
・執着から解放されたいとき
・悩みから少しでも逃れたいとき

 必死で考えて、頭も疲れを感じたとき、鳩尾は硬くなり、足首(アキレス健)も硬くなり(押すと硬くて痛い)、顎の筋肉も硬く(口を大きく開けにくい)、首や肩も凝ります。
 さらに悩み続けていると、ひとつの考え、こだわりから逃げられなくなります。

 このとき、身体は何かに実際しがみついているときと同じ緊張をしています。
 自分自身の感覚としては、何かに引っ張られている気がするが、冷静にみれば、自分が握り締めている手を放せなくなってしまっているのです。

 第三者から見れば、手放しさえすれば楽になるに決まっている状況でも、しがみついている本人は断崖絶壁に宙吊りになっている感覚から逃げられない感覚です。

① 仰向けに寝て、背中側が床についている感覚を確かめてみる。
② 「しがみつく」緊張が強いと、背中側の感覚が薄くなってしまう。場合によっては、床についている背中の感覚が全く感じられなくなる。
③ 背中を少しずつ動かしてみる。背中で呼吸するイメージをしてみる。
④ 少しずつでも背中が床に触れている感覚を取り戻すように意識すると、緊張がゆるんで、しがみついている手を放しやすくなる。
⑤ しがみつき状態のときの意識が向かっている方向は、実際に前方・上方に、しかも中心の狭い範囲に激しく偏っている。自分の身体の下の方、後ろ側・左右方向に意識を向けるだけでもリラックスしやすくなる。

 

3-2 頭を抱える

(こんなときに)
・追い詰められて感じがするとき
・興奮しすぎたとき
・心身が不安定なとき

 困ったり追い詰められたりしたときに「頭を抱える」のは、興奮を鎮めようとする動作です。
 人が興奮しすぎたり、困ったことになると、頭のてっぺんが尖ります(頭のてっぺんを触ると少し尖った硬い感じがある)
 同時に、下顎と側頭部の筋肉が縮んで、「歯を食いしばる」状態になります。

 「頭を抱える」のは、この側頭筋の筋肉の緊張をリラックスさせて、興奮を鎮め、落ち着こうとする本能的なしぐさです。

(その結果)
・興奮が鎮まり、落ち着く
・興奮しすぎを鎮めて、適度な集中をつくる



3-3頭の後ろで手を組む

(こんなときに)
・行き(息)つまったとき
・集中しなおしたいときに

 胸の緊張が強く呼吸が浅くなると、同時に後頭部も硬くなり、平らな感じになるか、凹んだ状態になります。
 後頭部が硬く凹でいる状態のときは掃除に胸も硬く、呼吸は浅くなり「息詰まっている」状態になります。
 積極的に頭の後ろの緊張をゆるめようとすると、胸が同時にゆるんで呼吸も深くなり、気分が切り替わります。

(その結果)
・気分が落ち着き、リラックスする
・集中力を取りもどす
・免疫系の働きが安定する



3-4首をうなだれる

(こんなときに)
・どん底だと思うとき
・頑張ったのにうまくいかず、ガクリきたとき

 頑張ろうとしすぎるとき、緊張するとき、我慢するとき、顎をぐっと引いて首に力を入れます。
 情報化といわれる今日では、何事も瞬時に反応しなければいけないので、ひと時も気が抜けず、ずっとこの構えのまま固まってしまいやすいのです。
 首の力を抜いてガクッと前に曲げていると、首だけでなく全身の力が抜けていきます。

 骨盤の上部は力が抜けて広がり、骨盤の底部は頑張ってときの緊張がすぐには抜けず、後悔や口惜しさもその緊張と一体となって残っているので、うなだれて、あきらめると(開き直って)骨盤の底の塊のようなものが解けてゆるみます。
 骨盤の底がゆるんで、弾力が戻ってくると気持ちが切り替わり、さらに骨盤上部が縮むことで集中する力が自然に出てきます。

(その結果)
・心身の硬直状態から解放され、次のステップにいけるようになる。
 
 
 

3-5 首を傾げる

(こんなときに)
・納得いかない
・飲め込めない(ためらう)とき
・よく聴こう、よく味わおうとするとき
・勘が鈍っているとき

 首を傾ける動作が、疑問を感じる意識と連動しています。
 首に力を入れたまま横に傾けると、実際にものが飲みにくくなります。

 よく聴こうとするとき、首の力を抜いて少し首を傾けます。
 力を抜いて軽く首を横に傾けると、頸椎4番、胸椎4番、腰椎2番と連動して鳩尾周辺の緊張がゆるみ、胃腸の働きがよくなります。
 感情が和み、共感が生まれやすくなります。
 首の左右の傾きの中心になる頸椎4番をゆるめておくと、人との間の緊張も緩みやすくなります。
 同時にめまいや耳鳴りも和らいできます。

 
(その結果)
・直感を磨く
・めまい・耳鳴りを改善する
・肩の上のこりをらくにする
 
 

3-6 あくび

(こんなときに)
・リラックスしたいとき
・集中したいとき
・気を鎮めたいとき
・首の緊張、目の疲れをとりたいとき

 直接に緩むのは咀嚼筋と首のまわりだが、あくびをするほどリラックスし、背中や胸、さらには全身が緩んでいきます。

 緊張すると、咀嚼筋と首のまわり筋肉がすべて縮まります。
 疲れているということは、これらの筋肉が緊張しっぱなしになり、固まって緩みにくくなっています。



3-7 両手を合わせる

(こんなときに)
・気を鎮めて落ち着きたいとき

 手のひらはコントロールを意味する末端です。
 手のひらを向き合わせば、ふたつのてが響きあいコントロールに意思がとけてゆき、人に対しても、自分に対してもコントロールの意思がほどけ身構えがほどけます。

(その結果)
・胸の緊張をゆるめて、不安をやわらげる
・自律神経・免疫系の働きの安定化
・ストレスやアレルギーをやわらげる



3-8 腕を組む

(こんなときに)
・ストレスによる興奮を鎮めたいとき

 腕組みの姿勢そのものが、緊張して縮んでいる胸をすこし余計に締める姿勢になることで、無理に胸をひろげるよりも、かえって胸の緊張がゆるむやすくなります。

 腕組みの姿勢で手が触れている肘まわりには、敏感な反応ポイントが集まっているんで、そこに触れることで身体の反応を活性化することができます。

(その結果)
◆肩の上と肘の真ん中
胸の緊張をゆるめ、気分を落ち着かせる(肩先の重さ、疲れをとる)
免疫反応を最適化する(アレルギーや過剰な炎症反応を鎮める)

◆肘のすぐ下
みぞおちの周辺の緊張がゆるみ、リラックスする。
消火器の働きがよくなり、肩の上のこりを楽にする。

◆曲池
内分泌系の(ホルモンバランス)の安定
ストレスの緩和

◆手三里
肩・肩甲骨まわりの緊張をゆるめる
胸を広がりやすくし、呼吸を深くする。

 

 

3-9 貧乏ゆすり

上下方向の貧乏ゆすり
(こんなときに)
・脚を上下方向に揺する運動は、落ち着かないとき、イライラするときに落ち着かせようとするものです。
・前のめり気味の方の力が入りすぎている緊張感を、前向きに動くのと同じ動作をさせることでゆるめる。

(その結果)
・下腹に力が入りやすくなり、落ち着いて集中しやすくなる
・呼吸に連動する仙骨の前後の動きを滑らかにして、呼吸を深くする。


水平方向の貧乏ゆすり
(こんなときに)
・骨盤(とくに腸骨)の余分な緊張をゆるめ、呼吸に連動する腸骨の開閉運動を滑らかに、力強くします。

(その結果)
・結果として骨盤が引き締まり、下腹に集まる(集中力が高まる)



3-10 がんばりすぎ骨盤

(こんなときに)
・気分のアップダウンの激しさを安定させたいとき
・アレルギーや痛み、自律神経系の不安を鎮めたいとき
・つい頑張りすぎてしまうとき

 骨盤底部が縮みすぎて固まり、集中しようとするとき、骨盤上部が縮みにくくなります。
 心身のバランスが不安定になり、痛みなどを含めた心身状態に関係します。

(その結果)
・過剰な興奮を鎮める
・自律神経・免疫系。内分泌系を安定させる
・生理痛・生理不順などを緩和させる



3-11 なんば歩き

(こんなときに)
・心身を安定させたいとき

 歩くときに姿勢のバランスの安定を優先すると、左右に重心移動する動きが大きくなります。
 完全に片足に体重を移動すると、バランスを安定させるために足の内側寄りに自然に体重をかけるようになり、足全体の内側にも力が入るので、下腹(丹田)に力が入りやすくなります。
 姿勢のバランスもとりやすいが、心のバランスもとりやすくなり、リラックスします。

(その結果)
・大地をしっかり踏みしめるような安定した大勢になり、気分が落ち着く


3-11 踵で息をする

(こんなときに)
・不安なとき、落ち着かないとき
・何かに追われてるような、何かを忘れているような気がするとき

 緊張するとつま先に力が入ります。
 ストレスが続くと、つま先に力が入り放しになって、リラックスできなくなります。

 踵から息を吸うようにイメージすると、つま先の緊張がゆるみます。
 足の裏の優先あたりから、息を吐くようにイメージすると、もっとリラックスします。

(その結果)
・リラックスの基本
・自律神経系・免疫系の安定
・安心感・落ち着きを得る


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