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ホームスクール 教養について(映画編)

「 また見つかった 」
「 何が? 」
「 永遠が 」

ジャン・リュック・ゴダール監督「気狂いピエロ」より

人生を豊かにするのものとは何でしょうか? 私は「教養」だと思っています。そして、私にとっての教養とは、本、音楽、絵画、そして映画です。

息子が2歳の時、世界半周の旅に出る頃からたくさんの映画を見てきました。私はヌーヴェルバーグやカンヌ映画祭などのフランス映画系が好きなので、それらの映画を息子と一緒に見れるまで10年ほど待ちました。幸い家にはテレビが無く、テレビを見る時間の代わりに映画を見ることに事欠きませんでした。


2歳の頃 アクション映画

まず最初に見たのが、何も考えずに見れるアクション映画です。

ジュラシックパーク
トランスフォーマー
ハリーポッター          ・・・など

思ったより残酷なシーンもあるので、次項に見る映画から見た方が良かったですね。

3歳の頃 こども向け映画

こども向けの爽やかな映画です。往年の名作が多いです。

ホームアローン
グーニーズ
チャーリーとチョコレート工場   ・・・など

5歳の頃 黒澤明

黒澤映画は、美しい映像と音楽、迫力ある俳優の演技、チャンバラ、笑いを誘う数々のシーンなど、日本が誇る素晴らしいエンターテイメント映画だと思います。それにお色気シーンも無いので、こどもと安心して楽しく笑って見れます。

七人の侍 
蜘蛛の巣城
用心棒
椿三十郎
隠し砦の三悪人
赤ひげ            ・・・など

息子は黒澤映画にかなりハマっていました。

「用心棒」を見たら「卯之助、亥之吉がかっこいい!」と言い出し、最後に絹問屋が団扇太鼓を叩くシーンのモノマネもやりだしました。

「椿三十郎」では、「椿を水に流すシーンが好き」と、おいおい渋いじゃないか。

「隠し砦の三悪人」では太平と又七がお気に入りで、終始、大爆笑していました。ちなみに私は雪姫の「だめじゃ!」のモノマネをよくやります。

息子は主役の三船敏郎も好きですが、ヒール役の仲代達也や、道化役の藤原釜足がお気に入りのようです。

「赤ひげ」だけは前から好きで、7歳までに5回は見たでしょうか。保本を見て「だんだん素直になっていくね」と言ったり、赤ひげがチンピラ共の骨を次々と折るシーン、女達が女郎屋を大根で叩いて追い返すシーンが好きだったり。5歳の時は「カマキリ女!」とよく叫んでいました。

「七人の侍」は何歳になっても「菊千代」が好きだそうです。私? 私は、七郎次の顔が好きです。

7歳の頃 ハリウッド系ドラマ

ハリウッド映画の中でも、感動するドラマ系です。

ショーシャンクの空に
グリーンマイル
レオン
ライフイズビューティフル
運動靴と赤い金魚      ・・・など

「運動靴と赤い金魚」はイラン映画なのですが、イラン映画には名作が多いです。

ここまで5年ほどで、およそ100本ぐらいの映画を見てきました。ここから先が私の好きな映画です。残酷で性的なシーンもあるので実際にこどもと一緒に見る場合は注意してくださいね。

9歳の頃 ジャームッシュなど

ティム・バートン      (シザーハンズ、ビッグフィッシュ・・・)
クエンティン・タランティーノ(レザボアドッグス、キルビル・・・)
スタンリー・キューブリック (フルメタルジャケット、シャイニング・)
ジョン・カサヴェテス    (グロリア)
ジム・ジャームッシュ    (ダウンバイロー、ゴーストドッグ・・・)
                    ・・・など

息子はジャームッシュの「ダウンバイロー」なんて、最初は「つまらない」って言っていたんですよ。「だったら2人で見るからいいよ」と放っておいたら、ちょっとずつ近づいてきて、30分後には二人の間にちゃっかり座って、ベニーニ見てゲラゲラ笑っていました。その後2日間で3回も見直すほど「ダウンバイロー」を好きになっていました。

続けて「ストレンジャーザンパラダイス」を見て、これでもう、主人公のジョン・ルーリーに虜。

Lounge Lizards Quintet - Live in Munich (1982) - YouTube

トム・ウェイツとともに、すっかりファンになっていました。

Tom Waits - Rain Dogs - YouTube

11歳の頃 ヴェンダースなど

ヴィム・ヴェンダース  (パリテキサス、ベルリン天使の詩・・・)
レオス・カラックス   (ポンヌフの恋人、ポーラX・・・)
ベルナルド・ベルトルッチ(シェルタリングスカイ、シャンドライの恋・)
ジュゼッペ・トルナトーレ(ニューシネマパラダイス・・・)
フェデリコ・フェリーニ (道、8 1/2・・・)
ペドロ・アルモドバル  (オールアバウトマイマザー、キカ・・・)
アッバス・キアロスタミ (桜桃の味、そして人生は続く・・・)       
                     ・・・など

10年間で、やっとここまできました。これから少しずつ難解になっていきますが、息子はフランス映画系への耐性がすっかりついたので、白黒映画もまるで意に介さず、一緒に楽しく見ています。

これから ゴダールなど

良き映画との出会いは、良き人生との出会いです。

フランソワ・オゾン    (8人の女たち、ぼくを葬る・・・)
ピエル・パオロ・パゾリーニ(豚小屋、デカメロン・・・)
デビット・リンチ     (エレファントマン、ブルーベルベッド・・)
ルキノ・ヴィスコンティ  (ヴェニスに死す、地獄に堕ちた勇者ども・)
クシシュトフ・キェシロフスキ(トリコロール青白赤)
アレクサンドル・ソクーロフ(太陽)
アンドレイ・タルコフスキー(ノスタルジア、ストーカー・・・)
クロード・シャブロル   (二重の鍵、青髭・・・)
フランソワ・トリュフォー (大人は判ってくれない)
ジャン・リュック・ゴダール(気狂いピエロ、勝手にしやがれ・・・)
アルフレッド・ヒッチコック(サイコ、鳥・・・)
                  ・・・など

最後に。

ある映画のラストシーンが好きなので、引用して終わります。

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40代の男とその妻と、男の友人の3人が、サハラ砂漠を旅する話なのだが、男と女は、夫婦の倦怠期と言っては陳腐な、そう、人生そのものに、飽きがきていた。

酔った妻は男の友人と夜を供にしてしまい、男は現地の娼婦を金で買う。そんないっときの刺激すら、2人の人生のカンフル剤にはならない現実。

旅がすすみ、2人は砂漠の真ん中で1つになるが、その後、男は「チフス」にかかって、苦しんで死ぬ。

そこから、女はサハラを彷徨うのである。

彷徨った果て、物語の最後に、この映画のナレーター、すなわち「神」に出会い、こう聞かれる。

「道に迷ったのかね?」
女は、「はい」と答える。
その返事に、(神)は今度は(あなた)に向かって、こう言う。

・・・・・・・・・

人は自分の死を予知できず、人生を尽きぬ泉だと思う。
だが、物事はすべて数回起こるか起こらないかだ。
自分の人生を左右したと思えるほど大切な子供の頃の思い出も、
あと何回、心に思い浮かべるか? 
せいぜい4、5回思い出すくらいだろう。
あと何回、満月を眺めるか? 
せいぜい20回だろう。

だが、人は無限の機会があると思い込んでいる。

ベルナルド・ベルトルッチ監督「シェルタリング・スカイ」より

息子と過ごすこの貴重な1日1日をより大事にしていきたいと、あらためて思い出させてくれる映画です。


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◆ 神奈川県で、妻と息子(2011年生まれ、現在11歳、小学6年生の学年)と3人で、旅と音楽と哲学を中心にホームスクーリングしています ◆

◆ 中学入学まで残り半年。親が表に出て友達を探すのは残り最後の半年のつもりで、noteで書くことによって息子のホームスクール友達を探しています。これから書くいくつかの記事を読んで、息子と遊んでみようと思った方は、是非ご連絡ください ◆

episteme-homeschool@yahoo.co.jp

私の元のブログはこちら。

ホームスクール (livedoor.blog)