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『ふしぎ駄菓子屋銭天堂12』(廣嶋玲子・jyajya)(毎日読書メモ(405))

1ヶ月ぶりに、廣嶋玲子・jyajya『ふしぎ駄菓子屋銭天堂12』(偕成社)。前巻でよどみとはお別れ出来たようで、この巻ではよどみも怪童も現われず。平和な日々?、と思ったら、紅子の痕跡をつけ狙う謎の紳士六条登場。SNSとか口コミとかをつてに、銭天堂の商品を使って何か超常的な効果を得た(良くも悪しくも)幸運のお客さまから、買ったものについての聞き取りを行っている。でも本人は銭天堂にもたどり着けないし、紅子にも会えないでいる。
よどみと対決していたときみたいなダークな商品は出てこない。ほら、表紙の紅子の顔だって、11巻のような恐ろしい顔つきはしていない。相変わらず、包み紙に書いてある説明をきちんと読まず、痛い目に遭うお客さま多数。魅力的な味でむさぼり食べてしまうお菓子、注意深さがないところまで含めてお客さまは幸運と言えるのか?
きちんと指示を守らなかったゆえのバッドエンド、本人が改めて説明書きを見て納得する場合もあれば、六条が現れて解説してくれることも。
両方のおじいちゃんおばあちゃんが近所に住んでいて、お休みの時に旅行して帰省することが出来ないのがつまらない幼稚園児の紗耶が、銭天堂で「田舎もなか」を買って食べたら、突然、どちらのおじいちゃんおばあちゃんも田舎に帰ると言い出して、実際に帰ってしまったら、寂しいし、GWに行っても愉しいことは何もなかったし、で、怒ってもなかの包み紙をビリビリに破いたら、もなかの効果が消えてしまっておじいちゃんおばあちゃんもやはりUターンはやめて東京に戻ってきた、というエピソードとか、盆栽が趣味の小学生昴が、同好の士を探したくて「お仲間まんじゅう」を食べたら、盆栽好きの友達を見つけられた、とか、探し物の達人になれる「ホームズビーンズ」食べて、あまりにも悟りがよくなってしまったので、一旦は不幸せになるが、ビーンズの力で探偵として大成する古石(これまでの巻にもあったが、銭天堂の商品は、効果をうまく維持させることができれば何十年もずっと特殊能力を発揮することが出来る)(まぁその結果として、六条のアンテナに引っかかってしまうのだが)。
こうしたほのぼのしたエピソードもあれば、「インココイン」の指示を守らず変な声になってしまって戻らなくなった少女、「楽だおふだ」で勉強もしないで試験を突破したがしっぺ返しが来た高校生、「なつかれナッツ」で小さい子どもたちに好かれたが、最後に指示を破って効果が消えてしまった少女、バッドエンドもこの巻では比較的ライト。
改めて、紅子の忠告も聞かないあなたたちは本当に幸運のお客さまなんですかい、と問いただしたくなるよ。
そして巻末、六条教授が収集したデータをもとに何か次の動きに出ようとしている不穏な終わり方。
どうなる13巻? 続けて読むか?

過去の感想:1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻 10巻 11巻

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