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毎日読書メモ(185)『ふしぎ駄菓子屋銭天堂2』(廣嶋玲子)

前回、廣嶋玲子作・jyajya絵『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』(偕成社)の感想を書いてから(ここ)約1ヶ月、次の巻も読んでみた。
読んでしばらくたって、銭天堂のイメージとしては、ドラえもんのひみつ道具(のび太の悩みを解消するために出して、一時的には事態を改善するが、のび太の悪乗りや暴走で元の木阿弥になってしまう)とか、青山美智子『鎌倉うずまき案内所』みたいに、その人に本当に必要とされている時だけ現われ、もう一度訪れたいと願ってもそれはかなわない、とかそういう印象が残っていたが、そんなステレオタイプな印象は失礼だったね、というのが2冊目を読んでの感想。
銭天堂は、悪意を持ってお客さんの前に姿を現す訳ではない。その人の願いを解決するソリューションは、本人の志が健全であれば、効果が消えはしない。銭天堂の駄菓子やおもちゃをきっかけに、自分を取り巻く環境が改善した時に、それに感謝して、自分とその周囲をよりよくする方向に目を向けた人に対しては大きなリターンがあり、増長して黒い欲望を広げていった人には大きなしっぺ返しが来る。2巻に収められた6編のうち、ハッピーエンドが3編、バッドエンドが2編、第1巻のバッドエンドを受けたエピソード(今回の登場人物的には小さくハッピーエンドか)。性善説が先行している。
その前向きで、でも他者に依存している訳ではないところも、大ヒットの一因なのだろう。

公式サイトによると、11月3日に発表された、日経トレンディ「2021ヒット商品ベスト30」の27位に、「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」が選ばれたとのこと。ベスト30位の中で、唯一の本の入賞。
第1巻が刊行されて8年半で16冊のシリーズになっているが、毎回毎回、個人対銭天堂で売っているものでその人の悩みを解決するだけではなく、対抗勢力が出てきたりするようで、紅子万能、という展開にはならないようだ。
またぼちぼち続きも読んでみようと思う。

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