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毎日読書メモ(156)『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』(廣嶋玲子)

しばらく前から、本屋に行くと、結構目立つ場所に『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』という児童書のシリーズがずらーっと並んでいるのが気になっていた。新聞記事とかでも紹介されていて、ちょっと読んでみようと思って、図書館で予約したら、めっちゃ待たされた。廣嶋玲子作・jyajya絵『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』(偕成社)、ソフトカバーで1冊1000円しなくて、幾つもの魅力的な駄菓子が描かれた物語が一冊におさめられていて、あーこれは子どもたちを惹きつけてやまないね。現在16巻まで刊行されていて、9月から、NHKでアニメもやっているらしい。

枠組みは単純で、インパクトのある店主紅子がやっている駄菓子屋銭天堂ぜにてんどうは、何かソリューションを求めている人の前にふっと現れる。小銭で支払われた対価として与えられる駄菓子は、不思議な効果を持っているが、付された説明書を守らないと、消えてしまったり効果を失ったりする。銭天堂にもう一度行こうとしてももう行けない。枠組みは昔話とかメルヘンのようで、でも、登場人物たちの悩みや、それに対する解決策は今風。その今風のリアリティが、子どもたちを惹きつけてやまないのだろうな。第1巻の末尾の「閉店」というあとがきのようなエピソードで、紅子さんは「不幸は幸に、幸は不幸に。銭天堂は、お客をえらぶ。お客が幸せになれば、銭天堂の勝ち。不幸になれば、銭天堂の負け。はてさて、明日はどんなお客さまが、銭天堂にやってきますかねえ」とつぶやく。これが究極。

駄菓子を買いに来る人たちは、子どももいれば大人もいる。苦しんでいる人、悩んでいる人、邪心の多い人もいれば、純粋に苦しんでいる人もいる。そして、与えられる駄菓子たちの魅力的な描写。ネタが続く限り、子どもたちを魅了し続けることがよくわかる。

子どもが大好きなシリーズものの本というと、原ゆたかの「かいけつゾロリ」(既刊69巻)を思い出すが、全然機軸の違う、新しいベストセラーが出たんだな、と思いながら読んだ。


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