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遠藤良二の短編小説集

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短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
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2022年4月の記事一覧

寄り添い、生きる

寄り添い、生きる

 ここはちいさな村。人口は約800人。すこし下調べをしたから僕と香苗は夫婦でこの村に引っ越してきた。もともとは東京に住んでいて、妻といずれ田舎暮らしをしたいねと話していた。なぜ、田舎に住みたいと思ったのかは僕は妻の気持ちと同じで、東京にいた時のように、あくせくしないでゆっくりと過ごしたい、と思ったから。

 僕は鈴木義人、40歳。職業は東京にいた頃は、サラリーマンをしていた。道路工事の現場で使う重

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優しい父と、わがままな母

優しい父と、わがままな母

 僕は母が嫌い。あの人は性格が悪いから。意地が悪いし、人の悪口を言う。それが、本人の耳に入るので、自然とその人は母から離れていく。母がその人に電話をしてもつながらない。それに腹を立てる母。馬鹿じゃないのかと思う。自業自得だろう。  逆に父は性格が良い。優しいし、気が利く。人からも好かれる。母はそれを見て、「あんたは良いわね、人当たりが良くて。ワシなんか友達が減る一方よ。何でこうなるのかしら?」父は

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人格と風俗

人格と風俗

#風俗 #霊感 #寿命 #解離性同一性障害

 僕は今日初めて風俗というものに友達に誘われて行ってみた。正直、凄かった。こういう世界があるのだと。友達の田中浩二に半ば無理矢理連れていかれた。彼は、31歳。僕は32歳。僕はこの年になるまで童貞だった。風俗で童貞を失った。

 僕の名前は日向春。仕事はしていない。心に障がいがあり、障害年金を貰っている。障害等級は2級。

 普段はあまり性欲は湧かない。

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美空(みそら)は魔法使い

美空(みそら)は魔法使い

 私の職業はハンドメイド作家。結婚をしていて、旦那と息子3人の5人暮らし。ハンドメイドで作った商品は、友達が営んでいるケーキ屋さんに置かせてもらい販売をしている。

 ハンドメイドで何を作っているかというと、レジンで作った『空玉』という作品。空を閉じ込めたもの。いろんな空がある。

 私は美空という名前で年齢は28歳。髪はロングで標準の体型だと思う。

 住まいは、自然豊かな町に一軒家を借りて住ん

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