REALVOICE(ドキュメンタリー映画)

REALVOICEという乳児院・児童養護施設育ちの監督が児童養護施設出身者を中心に被虐待者70名程の声を集めたドキュメンタリーフィルムを観た(https://vimeo.com/813504734)。
同作はクラウドファインディングを経て制作され(https://camp-fire.jp/projects/view/574891)、全編無料でオンライン公開されており、作中には加藤登紀子さん、一青窈さんの提供曲が挿入されている。

監督は一見前向きで行動力に溢れ、陽の雰囲気を持ち、被虐待の履歴がある感じにはとても見えない。施設でたくさん愛を受けたが、施設退所後、しばらくずっと死にたかったという。精神科にも通ったらしい。
福祉の専門学校に通っている20歳の時、振袖を着せてくれる人がいてとても元気づけられたことから、自身も傷付いた若者達に振袖の着付けと撮影をボランティアで提供するACHAプロジェクト(https://twitter.com/ACHA91144841)や、施設退所後の若者達の居場所を提供するまこHOUSE(https://twitter.com/macohousenakama)というプロジェクトも行なっているそうで、いずれも作中にシーンが盛り込まれている。(加えて、作中には無かったものの、おせっかいsan(https://twitter.com/osekaisan)という片付けが苦手な若者への片付け支援や居場所作り、虐待してしまう親へのサポートも行なっているらしい。)
まっすぐポジティブで利他精神に溢れ、活発に行動する力に溢れている姿を見ると、大切に育てられた、きちんと愛された記憶を持つ人なんだなと感じた。たとえそれがいわゆる血縁者でなかったとしても。

きちんと存在を受け止められること、そうして自分を肯定できるようになることはとても大切だ。

フィルム内でコメントをしている若者の多くは施設出身者だったけれども、その施設・関係者への言及内容は感謝から呪詛まで様々だった。家庭と一緒で、恵まれた環境のところもあれば、そうでないところもあるし、相性だってあるのだろう。何が正解になるのかは一概には言えないし、そもそも絶対的な正解など存在しないのだけれども、これからを長く生きる子ども達にとって、よりbetterな環境が提供されれば、必要な時には適切なレスキューが行われ、加えてその場では適切な処遇がなされればと心から願う。

メインキャストは2人。(後に)義父(になる母親のパートナー)からの身体的暴力を受けたしおんさんと、養護施設出身の母親(父親は不在がちなのか離婚しているのか不明なものの時々下に子どもが生まれている)による養育放棄を受け、極度の貧困の中で食べることすらままならなかった(加えて、施設在籍中に在籍者、では父親からも性的暴力を受けている)あやさん。
フィルムはしおんさんの20歳のお祝いー振袖撮影や誕生日会、縁の地巡りと闘病中の義父や母親との出来事を追いつつ、あやさんの単独インタビューを入れ込み、その間に様々な被虐待者達のコメントを挿入する形で構成されている。
しおんさんとあやさんも全く違うし、その他の人々の声も、先述の通り、てんでばらばらだ。

被虐待者といえど、その受けた暴力の形も、それが当人にどう影響するかもまちまちなのだ。それが実感できる。加えて、なかなか外に出てこない当事者の葛藤や声が、特にしおんさんのように矛盾を孕みながらも公開されていることが非常に貴重だと思う。

一時間半ほどの作品。オンラインで無料公開されているので、より多くの人に、せっかくあげた声が届いていけばと思う。そして、傷つけられる子ども、傷ついた人が減り、適切なサポートを行える人・場が広がっていけばと思う。
無料上映会をする場所も募集しているとのことで、環境がある方は運営までご連絡を。私も退職していなかったら上映したかった。

虐待は当該行為から切り離されれば終わるものではない。大人になっても続く、それは「後遺症」だと称されていたけれども、確かにそうだなと思った。
私がコロナが嫌なのも、「後遺症」や晩発性の問題への懸念、長期間苦痛が続くこと、その絶望への絶望があるからだ。ノーマスクが脅威であるのも、リスクを押しつけられる、危害を加えられる、危険だという感覚がフラッシュバックの引き金になるからだ。
それまで何とかだましだましやってきたけど、5類化でもうどうしても逃げきれないと思った。他人に感染を広げたいというノーマスクが積極的に感染を拡大していく。それを許容する人や社会の中で息はできない

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