タイプ6国民、日本人の思考停止
日本人は、エニアグラムにおいて、タイプ6の国民性だと言われています。
タイプ6はヘッドセンター(思考センター)の否定点なので、「考えない」タイプと表現できる人たちです。本人は考えているつもりです。これを読んでいる日本人である "あなた" も考えているつもりです。
そこで、日本人を説明する思考停止という言葉を説明したいと思います。
「思考停止」「日本人」で検索してみるといろいろと出ています。これらを読んでいると思考停止の中身が見えてきます。
『日本人って思考停止して何も考えてない人多い・・・ - Yahoo!知恵袋』
日本人って思考停止して何も考えてない人多いですよね欧米だとアホでもアホなりに目の前の事考えて自分の意見言ったりしますけど、日本だと「へー、そうなんだ、なるほど」の三つの言葉しか使わなくても70%の人間とは会話が成立するくらい何も考えていない人が多いです、欧米人相手には一切通用しませんが、なぜなら「君はどう思う?」とかすぐに聞いてきますから。
『【インタビュー】厚切りジェイソンが語る、多くの日本人に欠けている3つの人生観とは?-slush asia 2016-|ferret [フェレット]』
(厚切りジェイソンの発言)
私が日本人に対して声を大にして言いたいことは「あなた自身で考えろ」ということです。
(略)
具体的な例として、私が以前レストランに行った話をしましょう。
(略)
とても暑い日だったので、どうしてもアイスコーヒーが飲みたかった。ので、店員さんに「アイスコーヒーをください」と言ったら「すみませんお客様。ホットコーヒーならあるのですがアイスコーヒーはありません」と言われてしましました!氷を入れればいいだけなのに。外は40度あるんですよ。とてもショックでした。
『日本に意見したいことなんかない!? なぜ厚切りジェイソンは日本人へのアドバイスをやめたのか|新R25 - 20代ビジネスパーソンのバイブル』
新しいことに挑戦すると失敗する可能性もあるし、自分でどうすればいいかを考える必要があるんですよ。
「自分で考える」って、労力がかかるし怖い。だから、誰かに「これをこういうふうにやりなさい」と一から説明書みたいに教えてもらって、それを文字通りにこなしておくほうが、考えなくていいし、「あの人に言われたから」と責任も押しつけられるから楽なんです。
『自分の答えのつくりかた—INDEPENDENT MIND(渡辺 健介) 』のアマゾンレビューより(少し加工しています)。
(略)自分の頭でもそれなりに考えているつもりだった。
でも(略)、
今までやっていたのは「『他人の考え方(≒答え)』をたくさんコピーしていただけなんじゃないのか」ということ。
(本を読んだり、ネットで調べたり、誰かに聞いたり)
実は自分の頭で考えるなんてことはぜんぜんできてなかったんじゃないか、(以下略)
『思考停止大国、ニッポン 2012/8/1 出口汪X田原総一朗』
田原 いや、思考停止が好きなんですよ。たとえば、大企業の上層の人いわく、指示待ち社員が増えているというんです。上から言われないとやらない。なぜかといえば、自分で考えて行動したら怒られるんじゃないかと思っているから。
田原 僕は早稲田大学で講師をやっていますが、最初は誰ひとり質問もしない。講義が終わる時期になってやっと質問するようになる。こっちがさんざん挑発してやっと質問ができるという感じなんです。
出口 ひたすら一方的に、言われたことを聞くだけ。そういう教育をずっと受けてきたわけですから、質問できないのも仕方ないです。
「考えることをタブーにするな」
田原 とにかく日本人は、自分の頭で考えることが嫌いなんだ。素晴らしい会社だと思うから、あえてトヨタについて言いたい。
前社長がアメリカ市場に向けて、高級車レクサスの大量生産に2003年くらいから踏み切った。リーマンブラザーズの破綻は2008年ですが、3年前くらいからいずれそうなることはわかっていた。
専務や常務はやがて来る事態を理解していたのにストップをかけなかった。「社長が大量生産しろ」と決めたから、ノーと言えない。ここが日本の弱さ。
日本の企業は多かれ少なかれこうなんですよ。「それは違います」ということが言えないんですね。
「根拠なき言説に溢れる政治の世界」
田原 なるほど。つまり論拠であり根拠ですね。今の政治を見ているとそれがない。
例えば、野田首相が消費税を上げると言ってますが、自民党は反対しています。でも、反対の論拠がない。全くないんです。
そもそも本当なら、自民党時代に消費税は上げとかなきゃいけなかったことなんです。
(中略)
谷垣さんに至っては「民主党のマニフェストに反するから反対だ」という始末。「あんたたちは民主党を攻撃するとき、『マニフェストが破綻している』と言っている。だったら破綻しているマニフェストに反するなんて、理屈にならないじゃないか」と言ったら黙っちゃった。
出口 その矛盾に気づかないんですね。
『大学入試に「記述式」導入、全国一律では無回答が続出する(上久保誠人 2016/12/6 ダイヤモンド・オンライン)』
例えば、全国紙の教育欄を読むと、よく様々な大学で「アクティブラーニング」「問題解決型の学び」に取り組む記事が出てくる。筆者に言わせると、多くの記事は嘘ばっかりである。日本の学生の多くは主体的になど学んでいない。教員が指示を出すまで、ただ受け身に待っているし、自分で考えろと言っても思考停止して動かない。教員が全て段取りして、手取り足取りやらせて、学生が主体的にやっているフリをしているだけだ。
「それでも私は考えている」というかたへ、森 博嗣(もり ひろし)氏のものだとされる言葉(一部を抜粋したもの)を贈ります。
「考える」という言葉を非常に安易に使っている人が多いと思う。
学生に「考えてきたか?」と尋ねると、「考えましたが、ちょっと良い案を思いつかなくて」と言う。
「じゃあ、悪い案を幾つか見せなさい」と言うと、きょとんとした顔で、「いえ、悪い案も思いついていません」と言う。
「考えましたが、まだ、ちょっとまとまらなくて」と言うから、「では、まとまらないものを見せて下さい」と言っても、たいてい見せてもらえない。
こういうのは、僕の場合「考えた」とはいわないのである。
「いろいろ考えてはいるんですけどね」と言い訳する人には、その「いろいろ考えたものを見せてくれ」と頼む。
ところが、たいていは、せいぜいあっても1つしか案がない。
1つの案しかないのに「いろいろ」なんて言うなよ、と思う。
多くの人が言う「考えた」というのは、「考えようとした」のことらしい。
上から下まで思考停止、もちろん政党・政治信条問わず思考停止、これが思考の否定点「考えない」タイプ6国民、日本人の姿です。
これは性格なので、基本的には直すのは無理です。こういったものはタイプ6のハードルなので、簡単には乗り越えられないものです。例外的に、本当にレベルの高いタイプ6なら乗り越えられます(例えばアマゾンレビューで引用したかたは、自分の思考停止に気付き、乗り越えつつあります)。ですが、現状を見ると乗り越えている人も少ないようです。
ですから今は、「私たちはこういう傾向が強いんだ。」とだけ分かっていれば、それで良いです。
孫子の言うところの「自分を知る」です。
他の国にだって、その国の性格タイプ固有のハードルがあるのです。日本だけではありません。自国のハードルに気が付いているだけでも、たいしたものです。
思考停止はタイプ6の一面で、比較的悪い面です。ですが、性格タイプは、良い面悪い面がセットになっています。
タイプ6はやさしい人たちです。皆をとりまとめる能力がある人たちです。
そういう面も含めて「自分を知る」ことは大切です。エニアグラムの他のサイトを見るときは、日本の性格タイプである、タイプ6を気にかけておいてください。
なぜ悪い面を書くのか説明をると、じつは、今の時代はタイプ6国家にとって生きにくい時代となっているからです。私は、自国の性格タイプを自覚しなければ、日本はさらに生きにくくなっていくと考えています。
時代とタイプ6国家の話は、いずれ書くつもりでいます。
今回は、タイプ6の否定的な面を取り上げました。
性格タイプの否定的な面を見ていくのは、エニアグラムのワークショップでいうと、中級以降になります。これを読んでいる人の多くは、たぶん初級以前の方たちだと思います。なので読んでいてきつかったと思います。大丈夫ですか?お疲れ様でした。
明日は気分を変えて漫画の話に戻りますから。『タイプ9が描かれている漫画』という題で執筆中です!
参考
・ 性格タイプのハードルに関しては、『【エニアグラム用語】統合と分裂』に書いています。
・ 否定点の説明は、『【エニアグラム用語】否定点とは?』に書いています。
・ 「今の時代はタイプ6国家にとって生きにくい時代」の説明は、以下でしています。
2016年12月27日『農耕民族なタイプ6の性格が日本の高度成長期を支えました(そして、今は・・・)』
日本はタイプ6の国です。タイプ6を通して見た、その他の日本人論はこちらにまとめています。
2017/05/14追記
文中でトヨタの話を引用しましたが、東芝も同じですね。
ウエスチングハウスを高値で買って、後に7000億円の損失が出るストーン・アンド・ウエブスターを買って、粉飾決算をして・・・、
社長が決めたから、ノーと言えない。ここが日本の弱さ。
日本の企業は多かれ少なかれこうなんですよ。「それは違います」ということが言えないんですね。
ということでしょうね。
東芝の経緯をみると、企業自身が社員に対し思考停止を求めているようにも見えます。「余計なことは言うな、考えるな」と。
だから、思考停止をしていない考えられる社員に残された道は"内部告発"になるんでしょうね。
では、日本の国はどうでしょうか?
安倍首相は「そもそも」の意味について、「『そもそも』という意味にはですね、辞書で念のため調べてみたんですね。念のために調べてみたんですが、これは『基本的に』という意味もあるということもぜひ知っておいていただきたい」と言いました。
それに対し、民進党の初鹿明博(はつしか あきひろ)氏が質問主意書で出典の明示を求めたところ、政府は12日午前の閣議で、「大辞林」(三省堂)に「(物事の)どだい」という意味があり、「どだい」には「基本」の意味があるとの答弁書を決定しました。
「それは違います」ということが言えないんですね。
「どの辞書を調べたんですか?(辞書に書いていないでしょ)」という当たり前のことを言ったのは、初鹿明博氏だけで、安倍首相の周りを固める人たちは、そんなこともサラッと言えないくらい思考停止・判断停止しているようです。
分かりきったことですら「それは違います」と注意できない状況は、難しい判断での過ちにつながっていきます(おかしいとも感じない。誰も止められない)。
『通常のタイプ6(これで近頃の日本を説明する)』では、リソ&ハドソンが提唱するレベルの記述を引用しながら今日の日本を解説していますが、
タイプ6のレベル3(上から3つ目)では
自分のまわりで何か不適切なことが起きていることを感じ取ったり、自分が関与している組織の中で他者が力を悪用していることを察知したりすれば、怖れずに疑問を提起する
行動を取ることができます。
ですが、レベル6では
すべての人が、われわれ対彼ら、部外者対部内者、友人対敵というように遠慮会釈なく二つの分岐にくくられる。「良くも悪くも私の国(権威、指導者、信念)だ」というのが彼らの態度である。誰かが彼らの信念に異議を唱えれば、自分の生き方そのものへの攻撃とみなす
行動になります。
「良くも悪くも」ということで思考停止してしまっているようです。
まあ、世の中、レベル6社会ですからね。
参考
『【エニアグラム用語】レベルとは?』
新聞は「それは違います」と言えているようです。
『 政府答弁書
「そもそも」は基本的に 文法的にどだい無理(毎日新聞:2017/05/12:岩佐義樹)』より一部引用
大辞林で「どだい」の意味があるとする「そもそも」は名詞用法だ(文例「そもそもは僕が始めたもの」)。「どだい」も、その意味とする「基本」も名詞だが、首相の言う「基本的に」は名詞ではない。「どだい」に副詞用法もあるが、否定的な文脈で使われる。
大辞林を刊行する三省堂辞書出版部の山本康一さんは「確かに『そもそも』の説明に『どだい』を入れ、『どだい』の説明に『基本』を入れている。だがそうは言っても『そもそも』がすぐに『基本』と結びつくとは言いにくい」と話す。
「そもそも」=「どだい」=「基本的に」は、どだい無理な解釈だ。答弁書を読む限り「そもそも」=「基本的に」とする辞書はなかったのだろう。それを強引に取り繕うのはおよそ教育的とは言えず、国語への悪影響が懸念される。
2017/06/03追記
言い直したようです。
政府は26日の閣議で、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の国会答弁で安倍晋三首相が引用した「そもそも」の語意について「首相が自ら辞書を引いて意味を調べたものではない」とする答弁書を決定した。
首相が「辞書で調べたら『基本的に』という意味もある」と答弁して反論した経緯がある。
民進党の初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えた。
「辞書は引いていませんでした」という訂正では無いのですね。「私(首相)では無く、誰か別の人が辞書を引いた」と言いたいのでしょうか。
参考
他の国のことも書いています。
『エニアグラムを通して(タイプ3国家)アメリカをもう少しだけ説明します』
エニアグラムの性格タイプを通じて、日米比較も書いています。
『ネガティブ、ポジティブ、日米の違い』
アメリカのエニアグラムの指導者は自国のことをこのように書いています。
『エニアグラムの本に書かれているタイプ3国家アメリカ』
日本はタイプ6の国です。タイプ6を通して見た、その他の日本人論はこちらにまとめています。
2018/05/27追記
2018年、日大がアメリカンフットボールで問題を起こしました。
関西学院大学との定期戦で、日大の選手が関学大のクオーターバック(QB)に危険なタックルをして、負傷させた問題が波紋を広げています。
日大の選手は、指示を受けてやったと言っています。
この問題では、監督がどの程度関わっているのかも問われています。
そんな中こんなニュースがありました。
『日大監督、関西学院大を「かんさいがくいんだい」と何度も間違える』
何度も試合をしてきた相手の名前を監督が間違える。
これは、周囲が、
「それは違います」ということが言えないんですね。
という状態になっていたということです。
このことから、監督の周りが思考停止の人たちで固められていたことがうかがえます。
※ 日本はタイプ6の国です。タイプ6を通して見た、その他の日本人論はこちらにまとめています。論評や事件、ニュースなどをタイプ6の視点で見つめ直しています。
一例として、
『日本でなぜ、朝日新聞と共産党が嫌われるのか?』
『日本のITは何故弱いか』
『日本のレベルが落ちている原因』
『サッカーとタイプ6』
『答えをコピーする日本人とその弊害』
『「10年後、20年後の日本に希望はあるか?・・・ある投資家が、悲観的になってしまう理由」を読んで』
『なんで日本で問題があった組織が正常にならないのか?』
『日本はヒアリ(火蟻)を止められるのか? 日本は『混沌』に対応できるのか?』
『今できるタイプ6日本への処方箋 』
『タイプ6日本人の「健全な状態」の、たぶん実例』
2020/02/08追記
本日『タイプ6を思考停止と言っていますが 』を書いたので、それを踏まえて書き加えます。
『タイプ6を思考停止と言っていますが 』では、
「タイプ6の思考停止とは、思考において安心・安全・安定の外に出ないことを指しているのです」
と説明しました(詳しく知りたいかたはリンク先を読んでください)。
それで、
これを知った上で始めのほうで書いている引用部分を再掲載してみると、引用部分の思考停止の意味が分かってくると思います。
『【インタビュー】厚切りジェイソンが語る、多くの日本人に欠けている3つの人生観とは?-slush asia 2016-|ferret [フェレット]』より
(厚切りジェイソンの発言)
私が日本人に対して声を大にして言いたいことは「あなた自身で考えろ」ということです。
(略)
具体的な例として、私が以前レストランに行った話をしましょう。
(略)
とても暑い日だったので、どうしてもアイスコーヒーが飲みたかった。ので、店員さんに「アイスコーヒーをください」と言ったら「すみませんお客様。ホットコーヒーならあるのですがアイスコーヒーはありません」と言われてしましました!氷を入れればいいだけなのに。外は40度あるんですよ。とてもショックでした。
レストランの店員は、思考において安心・安全・安定の外に出ていないですよね。
お店のメニューという安定している既存の中から出ようとしていないです。
『日本に意見したいことなんかない!? なぜ厚切りジェイソンは日本人へのアドバイスをやめたのか|新R25 - 20代ビジネスパーソンのバイブル』より
新しいことに挑戦すると失敗する可能性もあるし、自分でどうすればいいかを考える必要があるんですよ。
「自分で考える」って、労力がかかるし怖い。だから、誰かに「これをこういうふうにやりなさい」と一から説明書みたいに教えてもらって、それを文字通りにこなしておくほうが、考えなくていいし、「あの人に言われたから」と責任も押しつけられるから楽なんです。
安心・安全・安定の外は恐いから、それで、自分で考えることをしない。だから、頼れる誰かに相談して依存する。自分で考えずに。
そうすれば、たとえ間違えても、自分に責任は無く、相手に責任を押し付けることができる。そうしておけば自分は安全だと思える。
少なくとも責任を取る必要は無いと感じることができるから安心できる。
『自分の答えのつくりかた—INDEPENDENT MIND(渡辺 健介) 』のアマゾンレビューより(少し加工しています)。
(略)自分の頭でもそれなりに考えているつもりだった。
でも(略)、
今までやっていたのは「『他人の考え方(≒答え)』をたくさんコピーしていただけなんじゃないのか」ということ。
(本を読んだり、ネットで調べたり、誰かに聞いたり)
実は自分の頭で考えるなんてことはぜんぜんできてなかったんじゃないか、(以下略)
「タイプ6の思考停止とは、思考において安心・安全・安定の外に出ないことを指しているのです」のままです。
自分から安心・安全・安定の外には出れないので、『他人の考え方(≒答え)』をたくさんコピーしています。実は自分の頭で考えるなんてことはぜんぜんできていない。安心・安全・安定だと思われる人の考えをコピーして考えた気になっています。
『思考停止大国、ニッポン 2012/8/1 出口汪X田原総一朗』より
田原 僕は早稲田大学で講師をやっていますが、最初は誰ひとり質問もしない。講義が終わる時期になってやっと質問するようになる。こっちがさんざん挑発してやっと質問ができるという感じなんです。
出口 ひたすら一方的に、言われたことを聞くだけ。そういう教育をずっと受けてきたわけですから、質問できないのも仕方ないです。
ここも「タイプ6の思考停止とは、思考において安心・安全・安定の外に出ないことを指しているのです」に当てはまります。
話を聞いているだけだと安心ですから質問などしない。田原さんに質問すれば、逆にツッコまれるかも知れなません。そうすると安全ではなくなる。それで質問をしない。
「考えることをタブーにするな」
田原 とにかく日本人は、自分の頭で考えることが嫌いなんだ。素晴らしい会社だと思うから、あえてトヨタについて言いたい。
前社長がアメリカ市場に向けて、高級車レクサスの大量生産に2003年くらいから踏み切った。リーマンブラザーズの破綻は2008年ですが、3年前くらいからいずれそうなることはわかっていた。
専務や常務はやがて来る事態を理解していたのにストップをかけなかった。「社長が大量生産しろ」と決めたから、ノーと言えない。ここが日本の弱さ。
日本の企業は多かれ少なかれこうなんですよ。「それは違います」ということが言えないんですね。
あえて、ノーを言えば、立場的に安心・安全・安定では無くなるかもしれません。タイプ6的には、そのような危険な行為などしたくはありません。
安心・安全・安定のために、不要なことは考えません。とりあえず、社長の言っていることを受け入れていれば、安心・安全・安定だと思っていて、そこからあえて はみ出すことはしない。下手に安心・安全・安定から出ると危険だと考えていて、それで思考を停止させている。
まあ、そのような形で今日も日本は思考停止なのです。
「ならば、日本の学者は考えていないのか?」
という声も出てくるかと思いますので、それについても書いておきます。
『経営学者・野中郁次郎の性格タイプ』
を書いたときに、新聞のコラムから以下の文章を引用しました。
日本の経営学は一言でいえば「解釈学」に終始してきた。海外の学問を紹介し、解釈するのが学問だとされてきた。できあがった理論や手法を「ハウツー」として吸収するばかりで、日本からはなかなか面白い概念が出てこない。
一部の日本企業は、(略)を筆頭に(略)成果を上げていたが、日本の学者はそれを概念としてうまく世界に打ち出せなかった。
※ 『概念形成者』
つまり、そういうことです。
既存のもので かつ 評価が確定していて安心・安全・安定な学問を持って来ているだけです。ここでも誰かの考えのコピーが行われています。そして、それを解釈するだけに終始してしまっています。そのほうが安全ですから。間違える可能性は低いですし。
とにかく頭の良い学者といえども、不用意に(安心・安全・安定の外の)未知に踏み出したくはないのです。
『『思考の整理学』から(日本人の学びについて)』の追記部分でも引用していますが、
『上野千鶴子氏インタビュー(英文校正エナゴ)』の中にはこういった記述があります。
70年代は、今とは全く状況が違っていました。(略)日本の社会科学は長い間「輸入学問」で、「ヨコのものをタテにする代理店ビジネス」と呼ばれていました。ひたすらウェーバーやパーソンズなどの「大会社」と「代理店契約」を結んで、ウェーバリアンとかパーソニアンなどと呼ばれて、つまり外国語文献を読んで、解釈して、専門家でございますという顔をしていれば、それだけでおまんまが食べられました。
もちろん、野中郁次郎氏も日本人ですから、安心・安全・安定の外の未知に踏み出せる人もいるにはいます。ただ、その数は少ないし、その上、その多くは、待遇も悪いものです。
→ 『日本への処方箋、湯之上隆氏(タイプ5)からのメッセージ』
ここまで、読んで、『トヨタの豊田章男社長も大変だな。と思ったという話』で取り上げた話を思い出したかたもいるかも知れません。
その中で取り上げた豊田章男社長の行動に、
「豊田綱領に掲げられた5項目について時間をかけて自分の解釈を語った」
というのがあります。
豊田綱領とは、トヨタの創業者にあたる人物の考えを後に5つにまとめたものです。
それで、たぶんタイプ6だと思われる豊田章男社長は、その解釈に終始しています。
豊田綱領をザっと読むと、創業者の豊田佐吉さんは、『思考者』タイプ5な感じがします。
「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」だとか「華美を戒め、質実剛健たるべし」あたりがそうです。
それで、思考者で変わり者のタイプ5というのは、未知にのめり込む性格タイプであったりするのです。
トヨタ社内に、創業者と同じタイプ5がいるとして、安心・安全・安定な既知に踏みとどまり、その解釈に終始している社長を見て、どういった思いを抱いているか想像してしまいます。
また豊田社長も、「私たち全員が豊田綱領の精神を忘れかけていないか」と語っていますが、タイプ6はタイプ5にストレスを感じる性格タイプですからね。どれだけ混沌を抱えているタイプ5を許容できるかというと・・・あまり期待はできないのですよね。
・・・と、話が長くなってきたので、この話はここで終わりたいと思います。
参考
『タイプ6を思考停止と言っていますが 』
『トヨタの豊田章男社長も大変だな。と思ったという話 』
『タイプ5とタイプ6の微妙な関係』
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