辻 笑舞 (Tsuji Emma)

ライター。新米小説家。カリグラファー修行中。イタリア在住。

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ライター。新米小説家。カリグラファー修行中。イタリア在住。

最近の記事

人の死をリア充に使うのはやめて欲しい

ファッションデザイナーのアルベール・エルバスが新型コロナウィルスで亡くなった。エルバスは2001~2015年まで務めた「ランバン」のクリエイティブディレクターとしてのキャリアが最も知られているのではないだろうか。正直なところ落ち目だった当時の「ランバン」を立て直した功労者である。その後はしばらく活動がなかったが、最近リシュモングループと共同で「AZファクトリー」というブランドをスタートさせ、今年1月のパリコレクションで最初のコレクションを発表したばかりだった。 享年59歳。

    • 意味のない規制に雨が降る

      しつこいようだが、イタリアの大部分で、明日からレストラン再開である。オープン席のみ、という制約はあるが、昨年の秋以降、閉店か、最高に規制が緩くても18時までのオープンで、晩御飯を外食するのは不可能だったことを考えると大きな進歩である。 そこで問題になってくるのが、外出禁止時間だ。色々が規制が緩んでも、夜22時から翌朝5時までの外出禁止令というのは残っていて、レストランでディナーできることになったところで、22時までには家に帰らなければならない、ということになる。そして守らな

      • イタリアの華麗なる復活劇

        色々あって、日本には(そして世界中に)イタリアのこと本当に好きでいてくれる人がたくさんいる・・・ということに、改めて気づいた。そして考えた。そんな人々を魅了してやまないイタリアについて、コネ社会だの女性殺人だのといった話ばかりして、不潔だとかジコチューだとかスケベだとか毒ばかり吐いている私は、皆様から夢を奪う嫌な奴以外の何者でもない。 だから、今日は心を入れ替えてイタリアのPRをしたい。というか、来週から予定されているイタリアの華麗なる復活劇についてご報告したい。 月曜か

        • かつては浮気、今はロックダウンで殺される女たち

          キャットコーリングやセクハラの話に続き、今日はDVや女性が被害者となる殺人事件の話。 イタリアでは「女性=femina」と「殺人=omicidio」からの造語(?)で「女性が被害者の殺人=feminicidio」という言葉が使われており、このところこの言葉がニュースで飛び交っている。というのも、昨年から断続的に続くロックダウンの影響で家庭内での女性の被害はさらに増えていて、2020年では、この手の事件発生率は前年の10%近くアップし、3日に1度は女性が被害者となった殺人事件が

        人の死をリア充に使うのはやめて欲しい

          イタリアではどこからがセクハラなのかわからない

          昨日はついイタリアのコネの話になってしまったが、本当はセクハラについて一言いいたかったのだ。残念ながらどこの国でもセクハラはある。枕営業はショービジネス界ばかりが取りざたされるが、他の業界でも仕事をちらつかせて肉体関係を迫る男はいるものだ。そこまで行かなくても、上司、またはクライアントだという優位な立場を利用した、言葉や小さなアクションによるセクハラについては、至る所で横行している。前者に関しては、ついて行った時点で女性側の同意があったことになったり、ケースごとに細かい事実関

          イタリアではどこからがセクハラなのかわからない

          枕営業と同じくらいダークなイタリアのコネ営業

          数日前に、日本でモデル&タレントのマリエの枕営業告発の件が話題になっているとネットニュースで読んだ。島田紳助が枕営業を持ちかけて、出川哲郎や、やるせなすからもあおられた、という話。そして枕営業を拒否したら番組から降ろされたのだそうだ。でもこの件、その後の話が出てこないのは何故? #Metoo運動があれだけ加熱したのに、この事件をなんでちゃんと調べないのだろう。島田紳助は今や芸能界から引退しているからか、15年も前の話だからはしらないが、もっと大きく取り上げるべきではないのか

          枕営業と同じくらいダークなイタリアのコネ営業

          日本は直ちに鎖国せよ

          両国とも新型コロナウィルスの感染封じ込めに成功したオーストラリアとニュージーランドが自由に行き来できるようになったそうだ。素晴らしい。そしてうらやましい。他の国はどうでもいいけど、日本にだけ自由に行かせてほしい。でも本日の新規感染者数12074人のイタリアと、刻々と変異株の影響が出てきている日本を行き来できるのは一体いつになることやら。 海外に住む日本人(ハーフも含め)が言いがちなことだが、日本はこのパンデミックの初期に鎖国するべきだったのだ。せっかく島国なのだから、外から

          日本は直ちに鎖国せよ

          貧乏人は小さな楽しみも許されない

          ヨーロッパでは将来的にワクチンパスポートができて、このパスポートがないと=ワクチンを打っていないと外国には行けないことになるだろうと言われている。イタリアでもすでに「ワクチン接種済か、PCR検査で陰性でないと●●できない」という方向にどんどん向かっている。すでに国内移動では規制が始まっていて、ミラノからローマやナポリに向かうフレッチャロッサ(という新幹線のような特急電車)に乗るためには、PCR検査で陰性の証明が必要。検査してこなかった人のために最近、中央駅にPDR検査所ができ

          貧乏人は小さな楽しみも許されない

          どうしてロックダウン(または蔓延防止法)をやるのか

          日本とイタリア(およびヨーロッパ近隣国)では感染規制に対する温度差が違う。緊急事態宣言も蔓延防止措置法も、イタリアのロックダウンとは全く違う。これまでもいろいろ言ってきたが何度でも言おう、ここでは、正当な理由を書いた外出証明書を携帯しなければ、外にも出られなかったのだ。感染防止のためにレストランはおろか、ショップ、映画館や劇場、ジム等が、ほとんどこの一年、休業を強いられてきたのだ(ショップはオープンできている時期も結構あり、ミラノでも先週から再開しているが)。蔓延防止措置法で

          どうしてロックダウン(または蔓延防止法)をやるのか

          署名原稿は誰もが書けるわけではない

          今ではパリと並んで世界的なファッション都市と言われているミラノだが、実はミラノでファッションビジネスが花開いたのは70年代のこと。その頃に今では世界的ブランドである、ジョルジオ アルマーニやヴェルサーチェがデビューして、ミラノをファッション都市として牽引したのだ。 その当時のミラノのファッション界を舞台にを描いたのが、昨日の投稿で写真をHPから拝借した「Made in Italy」 というドラマシリーズだ。お金欲しさに有名ファッション誌の編集部でバイトすることになった大学生

          署名原稿は誰もが書けるわけではない

          グッチとバレンシアガのコラボで、クリストバルを想う

          昨日のイタリアの夜のニュース番組で、グッチがバレンシアガとコラボレーションしたという話がでていた。夕食の準備をしながらの“ながら見”であまりニュースには集中していなかった私だが、一瞬考えて「え? アナウンサーさん、間違えた?」とテレビを凝視してしまった。グッチがドラえもんとコラボとか、バレンシアガがキティちゃんとコラボというのはよいとして、2つのファッションブランドが協業するというのには、結構びっくりした。それって、エスビーとハウスが一緒にカレー作ったって感じ? 少年ジャンプ

          グッチとバレンシアガのコラボで、クリストバルを想う

          インフルエンサーより隣のおばちゃんのほうが・・・

          某テレビ局のアナウンサーが、美容院やネイルサロンで無料にしてもらった代わりにインスタに画像をアップしたのがステルスマーケティングだと言われている、という話をネットニュースを読んだ。イタリアにいる私はもちろんこのアナウンサーさんたちは見たこともないので、個人的好き嫌いナシでまず思ったのは「なんでこの人たちが責められるのか?」。もしかしたらこの人たちはアンチキャラで何をやっても文句を言われる類なのかとも考えたが、そうでもなさそうな感じだし。 アナウンサーという立場上、その言動に

          インフルエンサーより隣のおばちゃんのほうが・・・

          公園の物乞いから学ぶ仕事の見つけ方

          昨日はこんなご時世において、「仕事は自分で作るべき」というのはきれいごとで納得できないという話を書いた。でもこの話には実は続きがある。確かに(少なくともイタリアは)すべてがコロナでストップしている状態なのに、頑張ろうにもやりようがない。現在、仕事を失っている人たちに対して「やればできるんだ」的な励ましは全く無意味だ。 だからといって、何もしないのは、(私の場合)単なる見栄と甘えなのだというのも自覚している。 ミラノには教会の前、スーパーマーケットの出口、人通りの多い道の角、

          公園の物乞いから学ぶ仕事の見つけ方

          「仕事は自分で見つけるもの」には納得できない

          世の中にコロナ禍のせいで仕事を失った人、仕事が減った人はたくさんいる。他人ごとのように言っているが、まさに私もその一人だ。そして感染の影響がひどかった国ほど、人々の収入減の状況もひどくなるのは明らかだ。そういう意味ではイタリアは世界のなかでも最悪の国の一つである。 もちろんイタリアでも、こういう状況をチャンスとして大儲けしている人もたくさんいるし、このご時世に影響されない沢山の企業で重職についていた会社員は依然として高給をもらっているはずだ。イタリアのようにロックダウンに次

          「仕事は自分で見つけるもの」には納得できない

          私の名前を呼んで

          仕事柄、ニュースレター的な不特定多数宛のメールを毎日沢山いただく。それらへの対応の仕方は①タイトルや送信先から判断してメール自体開けない②メールは開けてみるが最初の何行かを読んで削除する③興味がある内容なのでとりあえず全部読む④全部読んだ上、送り主にコンタクトする…という感じだ。実際に仕事に必要なものだけが④まで行くが、そうでないものがほとんどで、大部分は①か②である。 そんな中、最近毎日曜日に送られてくる、とある写真のコースへのお誘いのPRメールがある。それはまず「Cia

          お笑い芸人には手が届かない

          世の中にはたくさんの職業があるが、その中でもどんなに頑張っても絶対なれないのは「お笑い芸人」だろうと私は常々思っている。それじゃあ、外科医や宇宙飛行士ならなれるのかと突っ込まれたら、やはり外科医も宇宙飛行士も私の脳みそと肝っ玉では全く無理だが、その大きな理由のひとつは、私が勉強しなかったからだ。それじゃあ、子供の時からもっと勉強すればおまえでもなれたのかと突っ込まれると、私には元々の脳みそや体力も足りないので、いずれにしても無理だったとは思うが、それはさておき。 とにかく、

          お笑い芸人には手が届かない