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グッチとバレンシアガのコラボで、クリストバルを想う

昨日のイタリアの夜のニュース番組で、グッチがバレンシアガとコラボレーションしたという話がでていた。夕食の準備をしながらの“ながら見”であまりニュースには集中していなかった私だが、一瞬考えて「え? アナウンサーさん、間違えた?」とテレビを凝視してしまった。グッチがドラえもんとコラボとか、バレンシアガがキティちゃんとコラボというのはよいとして、2つのファッションブランドが協業するというのには、結構びっくりした。それって、エスビーとハウスが一緒にカレー作ったって感じ? 少年ジャンプと少年マガジンの合併号みたいな感じ?・・・あ、でもそれってかなりオイシイ話か。

でもそういうことがこれからどんどん起こったら、ファッション界はどうなるのだろう。各ブランドのアイデンティティがなくなって、共倒れしたりはしないのだろうか。長年のファンはどう言うだろう。グッチはデザイナーが作ったブランドではないからよいのかもしれないが、バレンシアガはクリストバル・バレンシアガというデザイナーが作ったブランドだ。クリストバルはココ シャネルをもってして「ドレスのデザイン、裁断、縫製を一人ですべてこなせる本物のクチュリエは彼だけ」と言わしめた、完璧主義の孤高のデザイナーだった。草葉の陰でクリストバルはどう思っているのだろう。

昨今、なんでもコラボの時代だが、私はコラボの意味や価値がイマイチよくわからない。もちろん販売戦略的、話題作り的には大いに意味も価値もあるのだが、製品としてのよさがコラボによって倍増するとはとても思えない。そのブランドがやっていない領域をカバーするためのコラボ、というのもわかるが、それなら世界にごまんといる無名の新しい才能をそのブランドのブレーンとして取り込めば済むことだ。全く違った業界同士だとかアーティストとのコラボ、というは確かに面白いとは思うが、果たしてブランドの質やデザインにほれ込んでいる本当のファンはそんなものが欲しいのだろうか?

でも私はただのミーハーなので、グッチとバレンシアガのコラボに関しては、ちょっと欲しい。ただ、これが今回限りのコラボなら、の話だが。

(写真は「Made in Italy」 という、イタリアファッション界を描いたドラマシリーズのHPより拝借しました)


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