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枕営業と同じくらいダークなイタリアのコネ営業

数日前に、日本でモデル&タレントのマリエの枕営業告発の件が話題になっているとネットニュースで読んだ。島田紳助が枕営業を持ちかけて、出川哲郎や、やるせなすからもあおられた、という話。そして枕営業を拒否したら番組から降ろされたのだそうだ。でもこの件、その後の話が出てこないのは何故?

#Metoo運動があれだけ加熱したのに、この事件をなんでちゃんと調べないのだろう。島田紳助は今や芸能界から引退しているからか、15年も前の話だからはしらないが、もっと大きく取り上げるべきではないのか? ハーベイ・ワインスタインはセクハラで有罪になったと言うのに? もっとこういう問題は敏感になるべきだ。日本の女性の権利や地位を守るための運動が、ちっとも前に進まないのは、日本に偉そうで鈍感なおっさんが多すぎるからだ。ちなみに東京オリンピック大会組織委員会の元会長・森さんの例の失言は、イタリアでも笑われてましたよ。

が、イタリアには枕営業と同じくらいダークな“営業”が存在する。それはコネ。

イタリアには新卒採用というシステムがない。大学も4年で卒業するとは決まっていないので、大学3年生→就活ということもない。つまり欠員が出たり、新規事業が始まらない限り募集はない。公務員とか教師の採用試験さえも欠員次第だ。ではどうやって仕事を見つけるか。“コネ”だ。もちろん日本でもコネは横行しているだろうが、イタリアの場合は、はっきり言ってコネが前提。募集自体しないで、コネだけで採用するのは当たり前だ。一般企業だけでなく公的事業も(いや、公的企業こそ)コネの巣窟なので、試験などあってないようなもの。そんな状況では優秀だから良い職が得られるとは限らず、そんなこんなでイタリアの優秀な才能は海外に流出し続けている。

そしてその縁故の度合いは、別に親が偉くなくても、人事担当の遠い親戚とか、下手すると友達とか昔からのご近所ぐらいで十分で、彼女とか愛人とかだったら、もう即採用、なのである。
だから、下手に上司の悪口を言ったら同僚が上司の愛人だったり、窓口の対応が悪いから責任者を呼びつけて文句を言おうにも、窓口係は責任者の姪っ子だったりして、正義がまかり通らないことになっている。
採用程度のレベルではなくて、大会社間の取引でも社長同士が幼少期からの友達だからだったりすることも頻繁で、元をたどればみんなスイスの寄宿学校でのクラスメートだったりするわけだ(イタリアのお金持ちの子供はスイスの寄宿学校に行くのだ)。

とはいえ、その気持ちはわからないでもない。知人を介して紹介された人のほうが信用できるのは確か。逆にイタリアでは(例えばネットなどで見つけた)知らない会社と仕事をすると、支払いがなかったり騙されたりすることもあるので、共通の知り合いがいることはある意味、保険でもある。
でもそんなことより、長年はびこってきたこのコネ社会では、誰しも(特にお偉い政治家は)たたけば埃が出る。そっちのほうが問題なので、結局は誰もこういうシステムを正そうとはしないのだろう。一応、イタリアには「コネ禁止法」みたいなものもあるのだが。

(omoshiroi_createの画像を使わせていただきました。ありがとうございます)

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