フジコ

1996/サウナ

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つぶやけ!第一回寝言選手権!

「もう食べられないよムニャムニャ」って寝言で呟きてェ〜 という願望を持ちはじめてからもうすぐ三度目の春を迎えてしまう。私が寝言で「もう食べられないよムニャムニャ」と言えずダラダラと日々を垂れ流している間にたくさんのいのちが芽生え、やがて絶えていってしまった。外はもうまったく知らない世界だ。ありとあらゆるものの細胞は全て生まれ変わり、そこにあるものは単なる私の記憶でしかない。 季節が変わるたびにそんな鳴かず飛ばずの不甲斐ない自分自身に辟易している。どこまでも続くような快晴の

    • 真昼の星

      猫が家に来る幸せな夢を見ては、起床後すぐにそれが夢であったことを自覚し絶望をすることが往々にしてある。 ペット禁止の実家を「ノーキャットノーライフ!」と泣き叫びながら飛び出して久しいが、猫が私の自宅の門を叩く(カリカリと)ことはいまだに無い。 近いうちには招き入れようと考えていたが、そんな甘い考えの私を叩き(バチコリと)直すような出来事があった。 先日、発送元が中国の小袋包が自宅に届いた。怪しげな灰色の袋には小さな文字が羅列されており、心なしか配達員も怪訝そうな顔をしている

      • 二月の中を

        誰にも頷かなくていい。誰にも頷かなくていいのにね。 連日、悪天候の予報が続いていてこれでこそ二月だと思う。 特に気も晴れることがなく、足元も悪く、やがて春を迎えれば消えていくぼんやりとした倦怠感を抱えたままの重い足取り。 イヤホンから流れるその言葉を初めて耳にした学生時代、衝撃で尻餅をつきながら「あいわかった」と爆速で頷いたと同時にこの曲を人生のバイブルにしていく決意をした。 そうして何年もの月日が流れた今の私の姿がこちら。 会津伝統工芸・赤べこと遜色ないほど私は頷い

        • つづく

          相も変わらず 実家はなぜこんなにも重力が大きいのだろうと感心しながらも、リビングのカーペットから右半身が全く剥がれないことに失望している。 つい数日前までずっとせわしなくしていて「昔は季節を追っていたはずなのに、今じゃその季節に追いかけられてるのなんでや!つらいねん!はやいねん!」とどうしようもないことにピィピィ喚いていた自分が、今では可愛いまである。たった1週間も経たない内にお前は実家に蔓延した重力に感心し、活動も思考も止めて腐っている。 挙げ句の果てには四度寝をして

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        マガジン

        • 6本

        記事

          コントのなかから愛を込めて

          新入社員「ウィーン(手で開くジェスチャー)ここが予約した居酒屋か〜幹事は緊張するな〜」 店員「あー、いらっしゃいませ」※気怠そうに 新入社員「〇〇株式会社45名で予約した△△と申します。絶対頑張ります!」 店員「(…やけに張り切ってるな)こちらの部屋へどうぞ」※暗転、宴会場へ 新入社員「恩に着ます!ところで下座はどちらでしょうか!」 店員「こちらの席だとおもいますが…(?)」 新入社員「ありがとうございます!ハンガーありますか?さきほど着た恩が暑いので一旦脱ぎたい

          コントのなかから愛を込めて

          まわるつき

          遥か昔から我々の周りを飽きもせずにぐるぐると月は回っているわけだが、頭上にくる度に毎度「月が綺麗だおね」と愛する人に伝えている我々もまた滑稽な生き物である。 綺麗な月を見ると思わずスマホを向けてしまって、それを無性に伝えたくなることがある。 何百年前の日本人が月を眺めていたら急にエモくなって歌なんて詠み始めてしまったものだから、現代人のDNAに刻まれてしまっているのだ。 それでも写真も動画もない時代「月、エモけり」の言葉だけで口説き歩いていた先祖達を逞しく思う。我々は恵まれ

          まわるつき

          微熱インサマー

          寝汗でTシャツを濡らし不快なまま起きる毎日。微熱がずっと続いていたことが分かったのはついこの間のことだった。 連日のように「ゲリラ豪雨」を警告するニュースに辟易する。もっと違う言い方はないのだろうか。 それを彷彿とさせる言葉を目にするだけで、腹痛に苦しむ人間の気持ちを考えたことはあるのだろうか。 下腹部が忘れていた痛みを思い出すことのないように、目を瞑り静かに「九段下」の駅を過ぎるのを待っている社会人男性のことを少しでも想像したことはあるのだろうか。 とかなんとか言ってい

          微熱インサマー

          まつりのあと

          遠くの方で花火の音がしていた。 昔は地を這ってでも行きたかった祭りが、今は本当に遠い。窓を開けるとおそらく遅れてこちらに届いているであろう花火がひらく音が聞こえてきて、それだけで世間から疎外されているような気分になった。 やはり行けばよかったなと思いつつ、駅前でぎゅうぎゅうに詰められ帰宅難民になっている人々の動画をSNS越しに眺めていると今綺麗な状態で干したばかりのシーツに寝っ転がっていることがどんなに幸せかを実感する。 私は平常時のこの場所をよく知っている。会場は自宅から

          まつりのあと

          嗅覚が戻りますように

          七月七日夜、日本の伝統行事「七夕」がやってくる。 織姫と彦星が天の川を渡り年に一度だけ会うことが許される彼らのタイミングに合わせて、各々短冊に願い事を書き記すイベントだ。なぜお前たちが?願いを?と彦星たちは思うのだろうが、なんか本当にそうですよね。すみません。 そういえば七夕といえば七(ナナ)ばかりですが女優・森七菜さんってモリナナナさんだと普通最初は思いますよね、ねぇ彦星さん。織姫さんにもよろしく。 七夕を楽しむ機会はほぼ無くなってしまったが、駅の改札だったりスーパーのレ

          嗅覚が戻りますように

          六月

          梅雨、今週こそは家でゆっくりネトフリをと気合を入れていた週末に限っての快晴。さすれば外に出ざるを得ないこの病的な性格をどうにかしようと是正を試みて久しいが、結局どうにもならずただため息をつきながら玄関を後にする六月が続いている。 そもそも気合無しではネトフリで半日すら潰すことのできないほど落ち着きの無い体である。もうすっかり成人した大人として非常に情けなく思う。 あとゆっくりネットフリックスという語呂が絶妙に気持ち悪い。ゆっくりねっとりみたいな。キメ、二度と使わんでくれ。

          VS運命

          祖父の似顔絵を描く時はいつも、タイ米みたいな楕円形から長い毛が一本生えているだけのものだった。 あまりにも辛辣であるが大層喜んでいる祖父を前になんの疑いもなくすくすくと育ち、彼らの世代はもれなく全ての人間の見た目が同じだと思うようになった。父方の祖父も、母方の祖父ももれなくハゲていたので偏見はやがて確信へと変わっていく。 そんな少年は先日また一つ歳を重ね、いよいよ将来のことに頭を悩ませる時期へと突入する。誕生日を迎える数日前の話。亡くなったはずの祖父に夢の中で出会う。夢の自

          2023春レポ

          一年生になったら友達が百人できるらしい。 中学生になったら部活が始まるらしい。 放課後は夕方過ぎに家に帰ることもあるらしい。 高校生になったら学校に自販機があり好きな時にジュースが飲めるらしい。寄り道を繰り返した末、カラオケに転がり込んでもいいらしい。 大学生になったら基本的に何をしてもいいらしい。ヨッ友という新たなジャンルが確立されるらしい。サークルとやらの顧問にもう大人はいないらしい。 社会人になったら程よくお金があるらしい。有給で賃金が発生しながら旅行に行くとい

          2023春レポ

          白昼、夢の話

          どちらかというと猫にはなってみたいがそこまで熱望するほどではないので、一緒に散歩をしていた後輩の「猫になってそのまま退職したい」という寝言には特に何も答えなかった。 暖かくなってきた新宿のはずれのこの場所では耳がギザリと欠けた地域猫の姿をちらほら見かけるようになった。少し足を伸ばせば人々が常に賑わっている喧騒の繁華街だというのに、猫達はゆったりとくつろいでいる。ここに住む彼らの足は本当に短い。 例えば今ここで私達が猫になってそのまま退職を試みたとして、今ゾンビのように腹を

          白昼、夢の話

          Re:vaundyのチケットが用意できました。

          いつも大変お世話になっております。 表題の件、確認致しました。 チケットご用意いただきありがとうございました。 大変有意義な時間を過ごしました。 以下当日の内容でございます。お手隙の際ご確認いただけますと幸いでございます。 —————————————————————————- 近すぎて申し訳ない。 近すぎて申し訳ない。 隣にいる後輩に向かって私は二度伝えた。 その後輩はまさか自分が当てたホールワンマンで前から二列目の席を勝ち取ったことが信じられないような表情で、開演

          Re:vaundyのチケットが用意できました。

          来年も宜しくお願い致します

          ドアが開くたびに「良いお年を〜」と浮ついた声のあとに人が乗り降りしてくる。 それぞれ帰る場所は全く違うのに、ここにいる全員が電車に揺られながら着実に年越しへと向かっている。フン、おもしれー世の中。 SNSや街中でそんな報告が上がっているが全ての人がそんなに綺麗に納まっている訳がないと思っている。いるんだろう、出てきてくれ。仕事を(まるく)納めてきたと本当のことを言ってくれ。そして同じ境遇の私と握手。もういっそのこと一緒に暮らしちゃおっか。 時代は変わってゆく。実家に帰ると

          来年も宜しくお願い致します

          夢を見ている

          ディズニーランドのことを素敵だなと思える感性のまま親が生んでくれてよかった。 素直に夢の国と言える感性のまま生まれてよかった。 そもそもディズニーランドでなくても、みんなが素敵だと思うものを素敵だと共感することができて本当によかったと思うのだけれども。 ミッキーに、会いたい。 12月某日、日本で一番の漫才師を決める戦いが繰り広げられようとしている中私はひたすらにミッキーを探していた。これは所謂M-1と呼べるだろうか。 ところでミッキーの職業は「映画俳優」だそうだ。人々を楽し

          夢を見ている