見出し画像

六月

梅雨、今週こそは家でゆっくりネトフリをと気合を入れていた週末に限っての快晴。さすれば外に出ざるを得ないこの病的な性格をどうにかしようと是正を試みて久しいが、結局どうにもならずただため息をつきながら玄関を後にする六月が続いている。
そもそも気合無しではネトフリで半日すら潰すことのできないほど落ち着きの無い体である。もうすっかり成人した大人として非常に情けなく思う。
あとゆっくりネットフリックスという語呂が絶妙に気持ち悪い。ゆっくりねっとりみたいな。キメ、二度と使わんでくれ。


五月はとにかく酷かった。常に体を縮こまらせていた季節がようやく明け、まるで夏のプレオープンのような気候に踊り狂った果てに酷い湯冷めをしていた。サウナ・サウナ・キャンプ・サウナの予定をコツコツと着実にこなしていたある日、サウナ後に田舎のスーパー(激寒・激安)で半袖短パンのままキャッキャとはしゃぎながら買い物かごにボスボスと食材を詰め込んでいるとレジ前のパンの最終コーナーで急激に体が冷え始め、翌日見事に風邪をひいた。興醒めに最も近い湯冷めであった。


湯冷めが治りかけたころに夢の国へ。
当日は35度越えの猛暑で朝のニュースではほぼ外に出るなと言っているような内容を繰り返し伝えていた。対策のため冷えピタや塩飴を持っていくも、まだ鼻声の残る状態で貼るのはさすがに病人みが凄かったのですぐに剥がした。風呂に入っているのではと錯覚するほど体が火照っていたので17時には退園した。湯冷めに最も近い興醒めであった。

11:00~17:00という激熱シフトみたいな楽しみ方で最高だった。




例によって先週末も雨の予報が二日前にはカラッと快晴に変わったので「いかん、これは一大事だ」と予定表を確認するがゆっくりネットリクスの予定だったので生憎のすっからかん。焦って友人に声をかけるが当然社会人の貴重な週末は既に埋まってることが多く、軒並み断られた。以下奮闘の一部である。


はぶかれてた
都合の良い時にだけ連絡しているのが浮き彫りに。そんなつもりじゃないのに。
忍者も堂々と歯医者予約して行くんだ。




週休二日ではどう考えても限界がある。土曜は掃除洗濯で半日潰れ、日曜の夜には帰宅して平日分の飯を作らなければならない。土曜日にゆっくりネットリクスが成功したとて、映画を一本見終わったら夕方でした✌️なんて考えるだけで緊張してしまう。

当たり前な話だが、限られた時間の中では限られた人しか会えない。みんなそうやってうまく調整しているのに、そう分かっているのに、今回の件は申し訳ないと思った。

ただ、予定は結局埋まってくれた。
身勝手な誘い方にも首を縦に振ってくれる友人がいたのだ。

どういう状況?


快晴の土曜日は「心」と刻まれたTシャツを着てきた友人と参拝をしていた。
私は深々とお辞儀をする彼の背中を見ながらこれは「下心」ではないだろうかと思ったのだが、神様はこれ見よがしに真心を背負っている彼のことをどう思っているのだろうか。あたかも神の使いのような顔をした猫はそんな私たちに一瞥もくれることはなかった。


お湯から冷めても、興から醒めても、六月は続いていく。早くも一年は折り返し地点を迎えようとしている。明日からはまた雨の予報で、どうやら土日まで続くらしい。ゆっくりネットリクスで今話題のお相撲さんのやつを見ようかな。見る気失せてマジで冷めるな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?