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【売上を減らそう】読者に問う:佰食屋、チェーン展開を、あなたはどう読む。

“わたしはこの「働き方のフランチャイズ」を、全国に広げていきたい。-“

と、本書後半で経営者の中村氏は宣言しました。


さてさて、先日は佰食屋が示す新時代ビジネスモデルと、働き方について執筆させていただきました。

本日は、後半戦。

佰食屋のフランチャイズ化。

ここをどう読むか。

これが、めちゃくちゃ本書のおもしろいところなんです。


フランチャイズ化=拡大=成長。


あれ、、これって。
否定されていた資本主義の活動そのものじゃないの??

“もう売上を追いかける必要なんてない”

だったら、これ以上チェーン店拡大する必要なくない?

このひっかかりをどう解釈するか。読者の皆さんは、佰食屋チェーン展開をどう捉えていますか。

佰食屋の未来を見据えることは、資本主義社会の未来を見据えることにつながります。

本日は、そんなことを読者のみなさんと考えていきたいと思います。

■佰食屋の危機とチェーン展開

“この3カ月、赤字が積みあがっていくことがどれほど心理的にしんどかったことか。こんな思いは、もう二度としたくない。”


と、中村氏は述べています。

そう、佰食屋は2018年6月18日に起きた大阪府北部地震、同年西日本を襲った豪雨、そして台風21号と立て続けてに起きた自然災害により、

売上が急降下。

3カ月連続で赤字を計上、3店舗中1店舗を閉鎖する決断を実施。
1日50食しか販売できないなかで、社員の解雇も真剣に検討したそうです。

“しかし、1日限定100食を「2分の1」にする。“

1日50食限定の超絞り経営。さらには、役員賞与の放棄。により、従業員の解雇を免れます。


この経験を通じ、中村氏は一つの決断をします。

佰食屋1/2の働き方のフランチャイズ化です。

月に25日営業するとして、月商125万円。そうすると、原材料費や家賃、光熱水費などの必要経費を差し引いて、残るのが50万円。これが、給与となるのです。

なるほど、10時から16時まで働いて夫婦で手取り50万円。
確かに、働き方としては悪くないかもしれません。

フランチャイズ化によって、佰食屋の働き方、価値観を受け継いだ人が増えていくことで、
穏やかな成功と幸せのサイクルを生み出す。

それがフランチャイズ化の背景です。


さて、読者のみなさんは、


佰食屋のフランチャイズ化についてどう思われますか。


佰食屋のフランチャイズ化は、

新しい働き方のカタチなのか、

従来の資本主義活動の延長なのか。


ここは考える価値があると、僕は思います。


■軍隊アリ戦法に潜む、違和感。

“目指すのは、軍隊アリ戦法”
“集客、人手不足、赤字。この3つの悩みはすでに克服しています。佰食屋が挑もうとしているのは、「小さくても向かうところ敵なし」の戦いです”


と、中村氏は述べています。

ここで僕が感じたのは


一体、何と戦っているんだろう。


そして、

敵って、誰なんだろう。


という疑問です。
少し善悪論が入っている、と感じたのが事実です。

確かに、飲食・小売業で売上拡大に伴う長時間労働、低賃金に苦しまれている方が多いのも事実でしょう。

一方で、売上予算達成のために、チーム一丸となり、みんなで売り込む。
そんな働き方もかけがえない経験です、そのすべてが悪いってわけじゃない。

僕も新店を開けたことがあるので、よくわかります。
今でも、オープン日のことはよく覚えています。

広告は確かに打った、金も使った。
でも、その日はお客様への感謝と、売上必達に全員で取り組みました。


売上を拡大したい経営者は拡大しても良い。
成長加速させたい経営者は成長に集中しても良い。


僕は、そう思います。
当然、社員と従業員は大切にするべきです。

ただ、売上を拡大しても、従業員がやりがいを感じる企業なんていくらでもあります。


あくまで、佰食屋の働き方は選択肢の一つです。

つまり、本来的に敵はいないですし、戦う必要すらないのです。
その考え方と、働き方に賛同した人が、働く。

社会に対して提案されるべきものでありますが、強要されるべきではない。

選択肢のひとつとして、佰食屋の働き方が社会に受け入れられる。
その選択肢としてのフランチャイズ化は、社会にとって大きな価値を生み出すかもしれません。

そこで、中村氏が提案するのは「持続可能な働き方です。」


■持続可能な働き方とは、何か。

どんな働き方が、一番幸せになれるでしょうか。それは、人によっても違うでしょう。「穏やかな成功」ができればいいと思う人もいれば、「いやいや、もっとバリバリ稼ぎたい」という人もいる。
けれどもたしかに言えることが、1つあります。どんな人生を望む人も「持続可能」な働き方をした方がいいということ。


要は、どんな状況になっても稼げる仕組みを作ること。
それを無理のない、勤務体系や勤務形態の中でおこなうこと。

それが、持続可能な働き方であり、佰食屋のフランチャイズ化によって広めたい価値観。


これ以上は売らない、これ以上は働かないと決めること。


しかし、フランチャイズ化によって、オペレーションも増え、従業員もどんどん増えていくのに、


これ以上働かないと決める。


そんなことは可能なのでしょうか。


本書では、佰食屋の採用方針は、

“「どんな人も即戦力になる」やる気に身に溢れている人なんていらない”

と書かれています。
佰食屋では、積極的で、意欲的なアイデアマンは採用されないそうです。

採用方針は、今、働いている従業員とマッチするか否か。


でもね、
仮にチェーン展開となったら、今までは経営者自身が全て意思決定をしていた商品開発にも、
いわゆる優秀な方を採用せざる得なくなるのではないでしょうか。

仮にチェーン展開となったら、経営者と現場で働く従業員の皆さんの距離が遠くなり、
地域ブロックリーダーのような方が、100食から200食にしましょうと、提案することはないでしょうか。

その結果、佰食屋が大切にしてきた採用方針や理念が揺らぎ始める。
経営者と現場の意思の疎通が効かなくなる。

結果、
「持続可能な働き方。」という目指すべき理念が、かすみ始める。


「災害の影響で、ブロック内店舗の50店舗が売上不振、200人が雇用の危機です!社長、広告を打たせてください!社長、1日限定200食まで引き上げて、200円だけ値引きしましょう!!」

と、人数の増えた部下に要求された時に、


「いいえ、ダメです。売上は追いません。1日50食、もしくは50食以下にして、早く帰ってください!」


と、それでも信念を突き通せるのか。

拡大する、チェーン展開するとは、
そういうリスクを受け入れることです。



結論を言います。



大事なのは、人です。

企業の栄枯盛衰も、結局は人です。

経営学の名著『ビジョナリー・カンパニー』にもありますが、大事なのは企業理念。
それを、どこまで従業員、働く一人一人に沁み込ませられるかどうか。


それが、佰食屋のチェーン展開が成功するか否かの試金石です。

働き方を改革を推進したい佰食屋が、どこまで従業員一人一人にその理念を、沁み込ませることができるのか。

僕は、そんな佰食屋の取り組みとチャレンジを応援したい。



■僕が、応援する理由。

それでも、僕は佰食屋のチェーン展開を応援します。

まずは、何よりも働き方改革、新しい働き方の提案という意味で、社会的に価値があると僕も思うからです。

世の中には、いろんな働き方があって良い。
選択肢は、個々人自由にあるべきです。

短い時間で働くことがインセンティブになる人には、そういった働き方ができる仕事や職場があるだけで、社会的にメリットが大きい。

だから、是非ともチェーン展開を進めて欲しい。


ただ、もしチェーン展開を進めるのであれば、
「売上を減らそう」ではなく、
「持続可能な働き方のために、必要な売上を目指そう。」

で、僕は良いと思っている。
今の働き方を維持するために、売上は捨てる必要ないのではないだろうか。


売上を伸ばすことは社会的にも意味がある。
売上が増え収める税金が増えれば、社会に還元できる。


企業に余剰資金が生まれれば、社会貢献活動を推進できる。
更に言えば、SDGsへの取り組みなど、投資活動が活発になる。

例えばユニクロは、従来に比べて水の使用量を最大99%、平均90%抑えたジーンズを開発した。

こういった持続可能性への投資も、やはり企業が儲かってないとできない。

佰食屋の国産牛も培養肉に切り替える、テクノロジーを使うほうが、持続可能性があると言える。

となった時に、それなりの投資は必要になるかもしれない。

そして、これからの時代、


社会に貢献しない企業は、生き残れない。


社会に貢献するから企業は存続するし、売上を上げる企業は社会に貢献している。
そんな時代がきっとくる。

本書を読むと、佰食屋の価値や理念は、

「売上を上げないこと、追わないこと。」

と、捉えられがちである。

でも、僕は佰食屋の本当の価値は、

「儲けながらも、新しい働き方を社会に提示したこと。」


だと思う。
それだけで社会的に価値がある、応援したい。

だからこそ、

売上を追わないとか、
業績主義からの解放とか、

目立ちやすい、刺さりやすいワードではなくて、

人々の働き方に新しい選択を、とか

地に着いた、社会にとって価値のある理念を掲げてみてはどうだろうか。
その理念を一人一人の従業員が理解することができれば、

佰食屋のチェーン展開はきっと成功する。


そして、社会にとって価値のあることになるはずである。

■まとめ

さてさて、本日は話題の佰食屋のチェーン展開について考えてみました。

みなさんは、佰食屋のチェーン展開についてどのように考えていますか??

もともとの企業の方針や理念とずれていると、違和感を感じた方。
私も佰食屋のようは働き方をしてみたいので、是非チェーン展開して欲しいと感じた方。

人、それぞれかもしれません。

僕は、佰食屋のチェーン展開を是非とも応援したいと思います。

佰食屋の働き方は、あくまでも働き方の選択肢の一つです。

良い悪い、〇×の話ではりません。
でも、そこにニーズが間違いなくある、であればその選択肢は誰にも平等に与えられるべき。
その意味で、チェーン店展開は社会的に価値があると考えます。

その上で大事なことは、

佰食屋が大切にしている価値観や理念を、全従業員に浸透させること。

人が、全てです。

働かれる方が、頭から足の先までその理念を理解していれば、間違いなく成功すると思います。

そして、最後に。


持続可能な働き方は、売上と両立しうる。

と僕は考えます。

だからこそ、

“売上を減らそう“

というやや過激な表現ではなく、

もっと地に着いた表現で社会と社員の皆さんを魅了する、ことができるのではないでしょうか。

その時に、佰食屋で働くことは、
社会的に価値のある選択肢の一つになっていると思います。


みなさんは、佰食屋のチェーン展開をどう考えますか。



是非、みなさんの考えもコメントで聞かせてください。



僕は、佰食屋を応援します。



ではでは、本日はここまでです。
また、明日のnoteでお逢いしましょう。


P.S:本書は中田敦彦氏がYoutube大学でも取り扱っています。第2部“成功は魔物”の話は、全読者に見て欲しい。結局のところ、原点が大事なんですね。

第2話、17分以降が必見です。

<参考文献>



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