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「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する論点整理(案)」とは? (後編)

前回は、『質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する論点整理(案)(以下、「論点整理(案)」)』の前編として、給与並びに勤務制度の在り方等について確認しました。今回は、前編で取り上げられなかった「論点整理」の3項目について確認していきましょう。

(3) 更なる学校の働き方改革の推進について

  •  学校の働き方改革の推進については、これまでの取組状況や教員勤務実態調査の結果を踏まえ、業務の役割分担・適正化を更に推進する観点から改善を検討すべきである。教師が担う業務の内容や量についても、標準的な職務の例を踏まえながら検討することが重要である。

  •  学校において標準的に取り組むべき内容を示すことを検討し、特に保護者や地域住民等の理解・協力が必要な取組について、学校運営協議会での議題化等を一層促進すべきである。また、上限指針に関し、在校等時間に係る虚偽の記録が残されないように留意しつつ、実効性を高める仕組みを検討すべきである。

  •  近年、IC カードやタイムカード等による客観的な勤務実態の把握が進んでいるが、在校等時間の考え方や客観的な方法による勤務実態の把握の在り方についても改善すべき点を検討することが重要である。また、働き方改革に係る取組状況の「見える化」を進めるための枠組みを考慮することが望ましい。

  •  教師の健康及び福祉の確保の観点から、ストレスチェックや産業医による面接指導、学校管理職のマネジメントや学校管理職・同僚との関係について、実効性のあるメンタルヘルス対策を一層充実していくための取組を検討すべきである。


(4) 学級編制や教職員配置の在り方等について

  •  学級編制や教職員配置の柔軟性を高めることで、子供たちの多様化や教育 DX、少子化などの課題に対応し、持続可能な教職員指導体制を構築することが重要です。義務教育 9 年間を見通すことも留意しつつ、地域や学校の実情に基づく柔軟な仕組みへの見直しを検討すべきである。

  •  市町村では、地域や学校の実情を踏まえ、都道府県の学級編制基準に基づく教員定数の範囲内で、現行制度よりも柔軟な学級編制ができる仕組みを検討することが望ましい。

  •  地域ごとに課題が様々な中、小規模な学校が共同して ICT を活用した遠隔授業などで効果的・効率的な教育を実施できる場合には、地域の実情に応じた特例的な教職員配置を可能とする仕組みを検討することが重要である。

  •  新たな学びの取り組みが各学校で展開されるようにするため、子供や学校、地域の実態に応じた柔軟な教育課程の編成・実施を可能とし、教師の業務の質の向上にも資するよう、標準授業時数の取扱いも含めた教育課程や学習指導の在り方を見直すことが求められる。

  •  35 人学級等についての小学校における多面的な効果検証等を踏まえつつ、中学校も含め、学校の望ましい教育環境や指導体制を構築していくことが重要である。

  •  小学校高学年における学級担任の負担軽減や教育の質の向上のため、教科担任制に関し、中学校教師の活用を含め、さらなる取り組みを充実させることが望ましい。その際、学習評価や多様な教育活動の展開等に伴い、授業準備等に係る業務の実態や、教師間で持ちコマ数の差が存在する実態を踏まえることが重要である。

  •  小学校低・中学年についても、きめ細かな指導や複数の教師による児童理解が重要である中、実態に応じた柔軟な教職員配置について検討することが望ましい。

  •  組織的・機動的なマネジメント体制を構築していくため、学校管理職のみならず、主幹教諭や指導教諭、事務職員の配置の在り方について検討することが重要である。また、多様化・複雑化する課題に対応するため、養護教諭や栄養教諭の配置の在り方についても検討が必要である。

  •  特に、不登校や特別な支援を必要とする児童生徒数が増加し続ける中で、適切に対応できる指導体制の在り方について検討することが重要である。これには、特別支援教育や外国人児童生徒の増加等に対応するための教職員配置や支援体制の見直しも含まれる。


(5) 支援スタッフ配置の在り方等について

  •  教員業務支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学習指導員、部活動指導員等の支援スタッフは、教師が教師でなければできない業務に集中できるようにするため、更なる充実を図るべきである。学校の働き方改革を推進する上で、教員業務支援員の配置は非常に有効であり、これを積極的に進めるべきである。

  •  副校長や教頭などの学校管理職に対し、専門的な支援を行う支援スタッフを配置することが、業務負担の軽減や学校運営の効率化につながるため、積極的に検討すべきである。

  •  学校の実情に応じて、教員業務支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学習指導員、部活動指導員等の支援スタッフを、職種を超えて地方公共団体が柔軟に配置できるようにすることが望ましい。また、学校における標準的な支援スタッフの配置の考え方を示すことも重要である。

  •  支援スタッフ間や教師との間の役割分担の明確化や、教師による支援スタッフの専門性を活用する力を高めるための方策を検討することが必要である。また、支援スタッフの活用が教師の視野を狭めることに繋がらないよう留意することも重要である。教員業務支援員の効率的・効果的な活用の考え方を、例えばガイドラインにより具体的に示すことが有益である。

  •  学校の働き方改革を進めるにあたり、学校管理職によるマネジメントが極めて重要である。次世代型の「チーム学校」の在り方を整理し、学校マネジメント機能の強化に向けて取り組むことが重要である。「チーム学校」の考え方が浸透し、支援スタッフの配置充実など関連する取組が進んでいる状況を踏まえて、更なる改善策を検討するべきである。

  •  事務職員に関しても、学校マネジメント機能の強化に資するような働き方改革を進めることが重要である。総務・財務事務の効率化を支援し、事務職員が担う業務の在り方や共同学校事務室の活用を検討すべきである。また、室長を含む事務職員の資質・能力の向上のための方策も重要である。


前回に続き、論点整理(案)について確認をしてきました。教職の魅力を向上させるための目に見える改善、改革に向けた「論点」がまとめられており、早急に具体的な対策が望まれるところですね。また、こうした制度的なことと共に、教師を大切にする社会的な風土の醸成や教育の重要性を訴えていくことも、「質の高い教師の確保」とこれからの学校教育の充実・発展に必要不可欠だと感じます。
前編はこちら


株式会社エデュテクノロジーでは、DX によって先生方の働き方改革とウェルビーイングを向上する学校環境を整えるため、学習用端末を含めた ICT 機器の環境デザインや活用マニュアル等のハード設計から、ICT の強みを活かした授業デザイン等のソフトウエア設計までトータルに支援する「教育DXコンサルティング」を提供しています。長年培った経験とノウハウで、これからも児童生徒の学力向上に向けた「学びと ICT 」について、学校と教育委員会へのサポートを行っていきたいと考えています。


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