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読書記録:ラブコメ漫画に入ってしまったので、推しの負けヒロインを全力で幸せにする3 (角川スニーカー文庫) 著shiryu

【推しと過ごす初めての夏は、恋心に熱い火を灯す】


【あらすじ】

夏が近づき、聖との恋人生活も一層に楽しみな季節が巡ってくる。

司は、これからの日々に向けて、デート代の為にバイトを始める。
そのバイト先で出会ったのは、『おじょじゃま』に登場するおっとり系の大学生ヒロイン・飛世茉莉乃。

「私のことおねえさんだと思って、気軽に話してねー」

距離感の近い茉莉乃を意識しながら、仲良く働いていた司。
そんな姿を見かけた聖に嫉妬の感情が芽生える。

「司くんカッコいいなー」「司は……私の、か、彼氏です!」

推しとの秘密の恋人関係に、大きな変化の時。
漫画のメインヒロインの恋は成就なるのか?

あらすじ要約

季節は夏を迎え、聖とのデート代を稼ぐ為にバイトを始めた司が出会った茉莉乃の影響で、関係に変革が訪れる物語。


良い感情であれ、悪い感情であれ、想いを胸の裡に秘め続けるのは、苦しい物である。
聖の意向で隠しているこの恋は、このまま隠しておけると思われるであろうか?
答えは否、と言ってもいいかもしれない。
この熱い感情を秘密にしたくない。
言いたい、伝えたい。
そんな想いはどんどんと膨れ上がるのは、もはや自明の理である。

憧れだった推しの居る世界に転生を果たした司は、推しに直接貢ぐ事が出来る幸福を噛み締める。
勇一と歌織、詩帆がお弁当を巡って火花を散らすのを傍観しながら。
自分も聖とイチャイチャしたいと思いながらも、それは出来ない。
ひとまず司は、聖とこれからも仲良くする為、デートの資金を得るべく。バイトする事を決めて、個人経営のカフェのバイトに応募する。

これから素敵な夏を聖と送る為には何はなくともお金が必要で。
難なく採用されたバイト先、新たな出会いがそこにあった。
漫画にも登場するおっとり系の大学生ヒロイン飛世。
一念発起して、バイトした先で出会う年上の茉莉乃の魅力に、司が呑み込まれないよう、嫉妬して予防線を張る聖。

無論、聖一筋である司にとっては意識する相手でもなく、茉莉乃の方にもフラグは立たず。
だが、彼女を目撃した聖の内心は穏やかではなく。正体を隠してバイト先に訪問し、司の思いを聞き出して、茉莉乃に釘を刺す行動を見せる。
自分にはない魅力を持つ茉莉乃に司が惚れるのではないかと心配するも、何とかそれは杞憂に終わる。
しかし、嫉妬という感情は聖にとって初めての感情で。

『宝物を自分の物だけにしたい』
だからこそ、嘘をついてまで関係を隠す事はしたくないという複雑な乙女心を垣間見せる。

彼女が司と一緒に働く姿を想像して居ても立ってもいられなくなった聖は、司の妹、凛恵を交えての勉強会で無自覚に惚気けてみせる。
奥ゆかしかった心境もだいぶ様変わりした聖。
その心の動きに焦点が当てられる。
秘密にしたいけど、嘘は吐きたくないという聖の葛藤がさめざめと描かれる。
凛恵と聖が仲良くなって妙な心配をする司。
そんな中、巡ってくるのは夏の花火大会。

司の記憶の中にあるのは、これが歌織の仕掛けるイベントであり、前世で何かイベントがあったという事。
だがその詳細を思い出す事は出来ない。
何かの予感を感じさせる中、それぞれにとって意味を持つ花火大会の幕が上がる。

その場で待っていたのは、司と聖が付き合っているという事実の露呈というアクシデント。
はぐれてナンパされていた凛恵を回収した後で、聖の元へ戻った時。
級友と彼女が話していた場に出てしまった事で、あわやという危機を迎えてしまう。

思わず、口についた嘘、それはお互いの心を傷つける刃。
それに違和感を覚える、心が無性にざわめく。
ならばもう、隠してはおけない。
隠したくないと言う想いは、決壊の時をもう迎えている。
隠しておけない恋心、ならば明かすべきは、きっと、この素直な気持ち。

だからこそ、今こそ。
踏み出す一歩は必然である。
級友達に向けて、司は高らかに宣言する、付き合っていると言う事実を。

恋の花火が打ち上がる中で、更なる関係性が深まり、熱い絆が結ばれる。

一つの出会いが転機となり、想いを明かす事で確かに進む関係性が、温かくて尊い優しさをくれる。
口にした違和感の先で、かっちりと嵌る関係性。
新たな段階へと確かに進んだ二人の恋路。

その一歩を以ってして、確かに今、新たな段階へと踏み出していく二人。

まだ、物語は夏始まったばかり。
一足先に花火大会は終わったが、二人の関係が周りの周知を得て、迎える夏休みでの水着回や秋に行われるであろう学園祭は一体どんなハプニングが巻き起こるのか?
こうして、秘密を解き放ち、司への想いをさらに増した聖は次はどのような行動を見せてくれるのか?

そして、司の記憶の喪失は新たなる嵐の予兆だろうか?







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