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五年後、十年後の理想【参加記事まとめ】

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#毎日note

小説 死に至る病

小説 死に至る病

 足の方から、キャラメルにも似た甘いにおいが漂ってきているのに気付いて、私は左足をソファの上に乗せた。電気ストーブで温まった左足のズボンを触ると、思わず手を引っ込めてしまうほどに熱くなっていた。

 おそるおそる部屋着のズボンを脱ぐと、帰宅した時青紫色だった脛の外側は、青っぽい線をもやもやと残しながらも、オレンジ色のような、黄色のような色に変わっていた。私はその箇所に今度は小さい保冷剤を当てる。も

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自分の企画記事について考える

自分の企画記事について考える

 毎日更新やめようかなと言いながら、続けています。とりあえず、連続投稿をやめるにせよ、キリのいい数字までは続けようかな、だし……。

 noteにエッセイを書くのがいいのか、それとも創作千本ノックの場にすればいいのか、いつも揺れ動いている私ですが、しばらく(少なくとも一週間くらい)はエッセイというか、自分の思考整理をここですることになる気がします。

 自分でも「こんなことやってる場合か」と思いな

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掌編小説 『十年後の未来予想図』

掌編小説 『十年後の未来予想図』

 次に書く小説のために、デスクに積み上げた資料の整理をしていると、スーツケースから無造作に取り出した資料の束から一冊のノートがはみ出しているのが見えた。
 雑誌の切り抜きなどをコラージュしたノートの表紙を見ただけで、それがいつ頃使っていたものかはおおよそ見当がつく。
 そのノートは東京で二度目のオリンピックが開かれた年に使い始めたものだった。

 「五年後、十年後の理想」という内容に沿って短い文章

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五年後、十年後の自分

五年後、十年後の自分

 朝。そっと布団を抜け出て、コートを羽織って外に出る。東の空からほんのり光が射しているだけの世界。新聞はもう配達されているけれど。

 この時間に書いている時もあったけれど、最近は歩く時間にしている。誰もいないわけではない。車はまだ走っているし、もうスーツ姿の人がいる。歩いている間はあまり何も考えないようにしている。それでも湧いてくる言葉、街を眺めていて気付いたことを、ポケットに入ったままのメモと

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