ザムザさん

哲学科卒で詩人で歌人でブロガーです。投稿は考えておきたいことをまとめたものだったり作業…

ザムザさん

哲学科卒で詩人で歌人でブロガーです。投稿は考えておきたいことをまとめたものだったり作業報告的なもの。しくよろ。

マガジン

  • 本棚からの流出

  • 本棚からの逃走

    かつて本棚からの逃走を試みた読書子が運営していたブログから

最近の記事

【意志のために意志を捨て去る】喪神状態のススメ

どうも、ザムザ(@dragmagic123 )です。今回は小説家・五味康祐の時代小説『喪神』を取りあげます。この小説では夢想流という剣術が描かれているのですが、その流派では意志よりも本能を重視するのです。これは欲望を制する克己や勇気などを否定するもので、その点で意志と自由と幸福とを結びつけがちなわたしたちには意外なものだと言えます。この記事ではそんな夢想剣の実態を掘り下げてみます。 この記事で取りあげている本 この記事に書いてあること 小説家・五味康祐の処女作である『

    • 【B'z物語】稲葉浩志と松本孝弘を詩人に見立てる|+萩原朔太郎

      こんちわ、ザムザです。ご存知のかたもいるかと思いますが、B'zという日本の音楽アーティストがいますね。じつは私はかなり、かなり好きなのですよ。たぶん人生で一番聴いているんじゃないかしら……ってくらいの音楽家。で、今回はそんなB'zの軌跡を追った音楽ライター・吹上流一郎の本『B'z物語』を取りあげます。たんなる内容紹介ではなく、B’zの二人──松本孝弘と稲葉浩志を詩人として取り扱うという試みをしています。 この記事で取りあげている本 はじめに 日本に住んでいると「B'z」を

      • 【参加レポ】マルチスピーシーズ人類学研究会:ケアの共異体を巡って

         こんにちは。ザムザです。  今回は立教大学で開催されたマルチスピーシーズ人類学研究会に参加して勉強したことをまとめた記事を書きました。  日時は2019年6月27日。研究会のタイトルは以下。 第29回マルチスピーシーズ人類学研究会「ケアの共異体」   ここではまず、軽ぅく、わたしがマルチスピーシーズ研究会に参加した動機を少し書いておきます。  わたしは「対人不安症」と「社会適応障害」という診断を医者から受けたことがあります。  ようするに他人や社会が苦手だ

        • 10年以上日記を書いてきた俺が「日記をつけることの魅力」を考える

          こんにちは。ザムザ(@dragmagic123 )です。いきなりですが、わたくしは長らく日記を書く習慣を持っていました。2010年から2021年の......最近まで。そう、ザムザの “日記の習慣” は今や失われてしまったことなのです。 これを残念に思っていたわたくしだから、と言いましょうか、このたび『日記をつける』という一冊を読む機会を得ました。詩人である荒川洋治の書いた本です。 今回は自分が日記を書いていた経験を踏まえて、『日記をつける』という本から窺える「日記をつける行

        【意志のために意志を捨て去る】喪神状態のススメ

        マガジン

        • 本棚からの流出
          13本
        • 本棚からの逃走
          6本

        記事

          魔法・魔女・魔法使いのコトバを英語の語源から読んでみる

          どうも、ザムザ(@dragmagic123 )です。今回は英語の語源について書かれた本を取りあげます。『英語に強くなる本』というのですが、これは英語学習者に向けた勉強のコツやテクニックを語ったものです。1961年刊とはいえちくま文庫で再び世に出たくらいですので、かなり効能のある本。そんな本から当記事ではわたしの独断と偏見により magic 、witch 、wizard の三つの単語をチョイスし、何が「魔力」と呼ばれているのかについて、書いております。 この記事で取りあげてい

          魔法・魔女・魔法使いのコトバを英語の語源から読んでみる

          なぜひとは変われないのか?──鏡と他人と自己一致:『カウンセリングテクニック入門

          注意!筆者は専門家ではありません。読者です。この記事は取りあげている本を読みながら、読者でありつつ患者としての自分の自己治癒といった側面があります。繰り返しますが、筆者は専門家ではありませんので、この記事から受け取った情報は、あくまでも非専門家の一意見としてお読みいただきますようお願い申し上げます。 なお、ですます調で書いてあるのは、この記事を書いた時点(数年前)での筆者の流行によるものです。あしからず。 この記事で取りあげている本―― 岩壁茂編著『カウンセリングテクニッ

          なぜひとは変われないのか?──鏡と他人と自己一致:『カウンセリングテクニック入門

          まだ本をマジメに読んじゃってるの?――チャラい読書法指南:『読んでいない本について堂々と語る方法』

          この記事に書いてあること マジメな読者は読んだ本についてしか語れない 本を読むことは大事だけど、本を読まないことも大事 チャラい読者は読んでいない本についても語れる そもそも読書と無縁な人間は読んだ本について語れない 教養があるからこそ、本を読まないでもその本を語れる 教養があれば、本を読まなくてもデジャヴによって読んだことにできる チャラい読者は「あれ? 前におれに読まれたことある?」というノリで本を読む チャラい読書法はそのチャラさのために堂々と語ることを

          まだ本をマジメに読んじゃってるの?――チャラい読書法指南:『読んでいない本について堂々と語る方法』

          【脱獄宣言】アホみたいに本があってツラいのでブログをはじめることにした【自己紹介】

          ごあいさついきなりですが、当ブログは脱獄記録で、本記事は脱獄宣言です はじめまして、ザムザといいます ご覧いただき感謝です このたび【本棚からの逃走】というブログをはじめることにしました この記事では当ブログの紹介をします まず、トップの写真をご覧ください 写真を加工してオブラートに包んでみても、ひどいものです まえに部屋の掃除をしているときに撮影したものなのですが、見事に足の踏み場もないですね 本、本、本です アホみたいにたくさんあります 写真は筆者の部屋なのですが

          【脱獄宣言】アホみたいに本があってツラいのでブログをはじめることにした【自己紹介】

          荒木飛呂彦のストーリー創作術に目配せしつつ諫山創のマンガ『進撃の巨人』を褒めるだけの手短なメモ

          この漫画の構成はマジで劇的。ある言葉からそれを言われた人物にその言葉がじゅうぶんに響くだけの因縁を回想によって物語り、読者を納得させる。その回想をへ巡ってまた元の言葉、元のストーリーラインへと時間軸を戻す。こういうのが何度かあって、それが作家・諫山創の作家性なのかもしれないが、これが巧妙。じつに巧妙。 初読のときはなんであれだけ陰鬱に感じたのだろうか。感情移入するに任せて読んでいくとむちゃくちゃ熱い。興味深いのはこの熱さに身を委ねても、ストーリー展開的には敗北してるのよ、人

          荒木飛呂彦のストーリー創作術に目配せしつつ諫山創のマンガ『進撃の巨人』を褒めるだけの手短なメモ

          「こうなったら人生が最悪なものになってしまう」なんていう “不幸の条件” は少ないに越したことはないよねそれより幸せになれる条件を増やしてこうぜって話

          ちょっと考えをまとめておきたいことがあって、書いてみる。 初めに言っておくと、人生の不幸になる条件を増やすより、幸せになる条件を増やしたほうがいいんじゃないかって話だ。 まず下のツイートをご覧あれ。 ちょっとした会話の中で「家族と同じ墓に入るのが心底嫌だ!」って考えを話されたのよな。家族ひいては親族含めた “血族” が憎いらしくて、そいつらと死んだ後まで同じ空間に閉じ込められるのが嫌なんだそうな。 俺も家族とは当事者しかわからないあれやこれやの因縁があるので、しょーじ

          「こうなったら人生が最悪なものになってしまう」なんていう “不幸の条件” は少ないに越したことはないよねそれより幸せになれる条件を増やしてこうぜって話

          GWにブックオフの20%オフSALEで買った45冊の本の紹介とそれらを購入した理由についてコメントしたって話

          2021年のゴールデンウィーク、終わっちゃいましたね。みなさんはお楽しみになられましたか? ワイは年中休日みたいな暮らしなので、連休のありがたみとは縁遠くなっている身分なのもあって、人混みできる行楽シーズンはちょっぴり憂鬱。 とはいえメランコリックになっていたわけでもなく、古本好きのワイにとってはブックオフが5/2~5/5の期間で20%オフSALEをやってくれるのは毎年の楽しみになってて、もちろん今年も楽しみにしてた! んで、千葉県内のブックオフ5店舗をまわってきて45冊

          GWにブックオフの20%オフSALEで買った45冊の本の紹介とそれらを購入した理由についてコメントしたって話

          身勝手なのはいい。俺だってそうだ。でもな、身勝手なのと他人に対して、しかも尊敬すべき間柄だと互いに認め合ったはずの相手に失礼なのは、違うと思うんだ

          「失礼だな」と感じた、って言うね 高校生の頃だった。中学から高校へ辛苦の色味が繰り上がったばかりのその年に、陽キャ系ヤンキーとの会話の中でワイはこんなことを言った。「失礼だろ」。前後の文脈はよく覚えていないものの、ギスギスした雰囲気ではなかった気がする。しかしワイのその言葉は相手にとっては意外なものだったようで、相手は少しの驚きを込めつつ「失礼ってなんだよw」と、反応した。それは、それを思い返す今現在のワイにとって、何故か妙な手触りを以て記憶され続けている場面なのだ。 あの

          身勝手なのはいい。俺だってそうだ。でもな、身勝手なのと他人に対して、しかも尊敬すべき間柄だと互いに認め合ったはずの相手に失礼なのは、違うと思うんだ

          今現在の怒りや悲しみであなたの人生丸々一個を評価しないために 〜Dayという言葉を手掛かりにして

          メンタルが生存していく上で弱点になっている人ってのがいます。ワイもその類い。ワイの場合はうつになっちゃって、死にたいな〜って考えに支配されちゃう体質。体も重くなるわ、息苦しくもなるわ、夜は眠れないわで生ける負のスパイラルといった感じでした。 これは数年2016年のことだけど、そのときもぐったり・やっぷり・ど〜んよりとメンコリックな気分になっていました。そんな折に、西原理恵子さんの『いけちゃんとぼく』という絵本を読んだのですが、これが良かったんです。 当時のワイはこんな感想

          今現在の怒りや悲しみであなたの人生丸々一個を評価しないために 〜Dayという言葉を手掛かりにして

          ふつうの人を行動力のなさによって定義できる可能性について勇気だして考えてみた

          社会人になってから特に押し付けがましく聞こえる・聞かされるワードに「ふつう」がある。 ……って思いません? 無知の恥 〜ふつうはそんなことしないよねしきたりとか決まり事とか、慣習とか規約とか、場合によってはオフィシャルだったりローカルだったりするフォーマルな言動や所作ってものがあって、そういうことに無知でいると恥ずかしいんだよ、なんてたしなめられたりして。いい大人がさ、なんて付け加えられたりもして。 「ふつうはそんなことしないよね」 なんてことを言われて、無知な自分を

          ふつうの人を行動力のなさによって定義できる可能性について勇気だして考えてみた

          『鬼滅の刃』を読むと「生きていればそのうち幸せになる」なんて言葉に納得することもできるんじゃないかしらと思って筆をとった

          御峠呼世晴による漫画作品、『鬼滅の刃』の最終23巻が発売されましたね。書店では大行列〜なんてところもあったんじゃないかしら。現に、ワイの目の前でも50メートルオーバーの行列ができていて、心底うんざりしながらお会計の順番を待ったりしましたもの。 んで、ワイは無事に発売当日に購入することができ、読書することができた次第だったのです。するとまぁ、ヘミングウェイの短編小説じゃありませんが「何を見ても何かを思い出す」さながらに、「何かを読めば何かを思い出す」わけです。そんなワイが最終

          『鬼滅の刃』を読むと「生きていればそのうち幸せになる」なんて言葉に納得することもできるんじゃないかしらと思って筆をとった

          君を連れて進むのは足を止めて蹲っても止まってはくれない時間の流れで誰かのために強くなれれば悲しみにも胸を張ってありがとうと言いたい鬼滅の刃の映画を見ると

          吾峠呼世晴による『鬼滅の刃』の漫画がアニメのヒットもあって世の中を席巻していることは周知の通りです。ワイはと言うとその流行を冷めた目で見ていたのですが、流行り物というのは流行ってるだけの理由があるものでして、それとなくアニメを見てみたところ、ズッポリ嵌まっちやいやしたのが今年の8月。 アニメのラストがやけに半端な終わり方しとるな〜と思いきや、秋は10月に映画化すると言うではないですか! という流れで、このたび鑑賞する運びとなったのです。場所は池袋、日にちは11月15日。日曜

          君を連れて進むのは足を止めて蹲っても止まってはくれない時間の流れで誰かのために強くなれれば悲しみにも胸を張ってありがとうと言いたい鬼滅の刃の映画を見ると