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魔法・魔女・魔法使いのコトバを英語の語源から読んでみる

どうも、ザムザ(@dragmagic123 )です。今回は英語の語源について書かれた本を取りあげます。『英語に強くなる本』というのですが、これは英語学習者に向けた勉強のコツやテクニックを語ったものです。1961年刊とはいえちくま文庫で再び世に出たくらいですので、かなり効能のある本。そんな本から当記事ではわたしの独断と偏見により magic 、witch 、wizard の三つの単語をチョイスし、何が「魔力」と呼ばれているのかについて、書いております。

この記事で取りあげている本

岩田一男『英語に強くなる本』,筑摩書房,2014

語源フェチのための英語学習入門書

岩田一男の著書に『英語に強くなる本』って本があります。英語を学ぶうえで語源に目を向けるといいよ〜ってことに注目した(たぶん)初期の人。
当記事ではそんな語源フェチのための英語学習入門書である『英語に強くなる本』の、とある語源の話題に目を向けます。

語源から言葉を解読する:魔法・魔女・魔法使い

語源に注目することの楽しみは、単に同じ語源グループの単語を覚えやすくなるから、だけではなく、語源からある言葉に込められた暗号を解読するところにもあります。
今回わたしが『英語に強くなる本』の中で興味を引かれたのは “magic” の単語に関する記述でした。
magic は「魔法・魔力」の意味ですが、その語源は古代ペルシアの僧侶が Magi (メージャイ)と言われ、「魔術のような力」を持っていたとされていたことに端を発するとのこと。「──ic」というのはラテン語の「 -icus」 に由来する名詞化の働きを持つ接尾辞で、「magi+c」で「魔法・魔力」という意味の語になるのだとか。
はたまた「魔女」を意味する witch を考えるときには「魅力」を意味する charm の語と関連させられています。charm はラテン語の「助けたり、傷つけたりする魔力をもっていたとされた歌や文句」を意味する carmen (カルメン)に由来するのですが、「魅力のある」という意味の語には bewitching もある。ここから「魔女」を意味する witch には、魅惑的な人物という響きがあることがわかります。
対して「男の魔法使い」の方は wizard と言いますが、こちらは「賢い」という意味の wise に「人」を意味する ard が合わさった語です。「賢者」のイメージが相応しいでしょう。
以上のことを踏まえると、「女の魔法使い( witch )」が感性的に人を惑わす魔性の者を思わせるのに対して、「男の魔法使い( wizard)」の方は知性的で人を導く賢者のごときニュアンスを読み取ることができます。

「感性ー女性/知性ー男性」

あるいは

「魅惑の魔女/博識な賢者」

以上の「感性ー女性/知性ー男性」の図式は『英語に強くなる本』には書かれていません。わたしが独断で取り出したイメージです。……ということを踏まえても、男女の性差を表す言葉に割り振られた暗号を解読する自由は、『英語に強くなる本』を読む読者のうちには許されています。
魅惑の魔女と博識な賢者。いずれにせよ、卓越した力を持っているのなら「魔術のような力」(=魔力)を行使する者と見做されたのでしょうね。オモチロイ。

_了

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