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オーストラリアではダメダメ!ご存知ですか? 保育事情①

「お父さん指がここよ、お母さん、お兄さん指がここ、そして開いたり、閉じたり。はい、チョキチョキ」と、オーストラリアの保育園で子ども達に声がけをしていたら、注意が入りました。わたしにです。なぜ?

子ども達に初めてハサミを持たせる。心配ですよね。
ケガをしないだろうか? 髪の毛、洋服切らないか、よく見ていないと’怖いですよね。
あなたはどう指導していますか?

わたしは日本とオーストラリアで、幼児教育者として20年以上携わってきました。初めて、オーストラリアの保育園で子どもの様子や、保育士との関わりを見た時、わたしが今まで経験した日本の保育事情と大いに違いがあり、衝撃的でした。「ハサミの指導」もそうです。
今回は、そのおはなしをさせていただきます。

日本では、おいしいラーメンづくり

日本での初めてのハサミ指導は「ラーメンづくり」でした。
まず、持ち方の説明をして、紙をわたす。その紙を細く、チョキン、チョキンと切っていく。
たくさん切れたら入れものにいれて麺の完成。先生が用意した、なるとやチャーシューを入れてラーメンのできあがり!
そのあと、みんなで食べてみる。お箸の使い方の練習にもなるし、自分で作った達成感もあり、楽しいあそびでした。

オーストラリアでは?

さて、オーストラリアでは、どんな特別な指導をしているのでしょう。
指導はありません!
初めてハサミの活動を見た時は以下のようでした。

3歳児さんの部屋に入ると、テーブルの上にハサミと広告の紙が。2人だけ座れるように、椅子が2つ。子どもがそこに座ると早速ハサミを使い始めました。ひとりは両手で、もうひとりは片手で持って。
置いてあった広告の紙を切ろうと、立たせて持ち、ハサミは上から切る。あるいは、テーブルに置いたまま、端っこだけパツンパツンを切る。
途中で、ハサミを持っている手を変えてみたり、指の入れ方を変えてみたり、紙をハサミに絡ませ、ツゥーと紙を裂いたり。
色々なことが起きていました。一見するとテーブルの上はゴミだらけ。
なにかを作る目的もありません。

好きなように持ち、好きなように切る(4歳児ルームより)
この後、紙ふぶきになりました

なぜ、教えない?

「自分でみつける」ここにフォーカスしているからです。
ラーメンを作ることが目的ではなく、ハサミを使えるようになることが目的。それを自分で試行錯誤しながら、ハサミが上手く使える方法を自分で見つけていくのです。ハサミで何ができるのか、それも自分で創作していきます。
達成感は見本と同じものが作れた達成感ではなく、自分で何かを作りあげた達成感です。
通常、部屋には「アートコーナー」の場所があります。そこにはえんぴつ、色鉛筆、カラーペン、のり、テープ、絵の具、ハサミ、紙等が置いてあり、子ども達が自由に使えるようになっています。見本があるわけではなく、作りたいものを作っていくのです。
もちろん、ラーメンを作ることで、ハサミが使えるようになるという、目的もあるのですが、子ども達はラーメンができたことを嬉しく思うでしょう。ハサミが使えたことではなくて。

だからこそ

ですので、ハサミの持ち方、切り方はあえて教えていないのです。
模倣によって学ぶ。わたしは日本の折り紙のように、見本を見ながら学んできました。それも大事だと思います。しかし、自分で考える力は模倣ばかりではできませんよね。
過去にわたしが子ども達に折り紙を教えようと、紙を渡したら、その時点で好きなように折り始めていました。わたしは作るものを伝えましたが「わたしは違うもの作る」とはっきり言われてしまったのです。

まとめ

それぞれ目的が違うので、指導方法も違うのは当たり前です。また、文化のちがいもあることでしょう。
しかしながら、オーストラリアの子ども達に ”自己肯定感が低い子” はあまりいないように思います。なぜなら、小さいころから「自分の選択、自分でみつけだす」ことをしているからだと思います。
毎日の保育で少しづつ、「自分でみつける」ことも取り入れていくのも、子ども達の自己肯定感を高める、いい経験になるかもしれないですね。

P.S. 「ラーメンづくり」は随分むかしの話です。現在日本ではどのような指導や製作をしているのか、興味があります。コメントで教えていただけたら嬉しいです。







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