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感想文(映画、本、ドラマなど)

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#映画感想文

映画「あの子は貴族」と駅ビルの美味しかったパスタについて

映画「あの子は貴族」と駅ビルの美味しかったパスタについて

映画「あの子は貴族」を観た。
東京の富裕層の家庭で育てられた女性と地方の少し経済的に苦しい家庭出身の女性の人生が、1人の男性を巡ってほんの少し交差する話。
 
胸がヒリヒリしたのは、私が地方出身で勉強して東京に上京する切符を得た経験があったからだ。
そして劇中で、東京では同じレベルの人としか巡り合わない構造になっているという話も、ヒヤッとした。貴族のような本物のお金持ちに私は出会ったことがないから

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フィンランドと映画「かもめ食堂」私と共に、いい感じに変わろう。

フィンランドと映画「かもめ食堂」私と共に、いい感じに変わろう。

映画「かもめ食堂」を観た。

フィンランドのヘルシンキに行くことになった時、フィンランドと言えば何だろうか?と思いつくものを列挙してみた。

サーモンスープ、シナモンロール、マリメッコ、ムーミン、かもめ食堂

と浮かんだくらい、フィンランドを舞台にした有名な日本の映画。

日本食レストランを切り盛りするサチエという女性と、ワケありな二人の日本人の生活を切り取ったお話。
淡々とした日々の中で、人生に

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【ジブリ考察③】 海がきこえる

【ジブリ考察③】 海がきこえる

観たことありますか?

「海がきこえる」は1993年に、小説を原作にアニメ化された作品である。
ジブリで作られた作品だけど、宮崎駿作品ではない。
徳間書店から出ているアニメ雑誌「アニメージュ」で連載されていたいわゆる青春恋愛小説で、高知県の高校へ、東京から転校してきた美少女と地元の少年の物語だ。
この美少女、里伽子がとんでもない性格で、我儘で気の強い性格なのが一番の見どころだ。

エモい描写
「エ

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【ジブリ考察②】アーヤと魔女

【ジブリ考察②】アーヤと魔女

前評判はあえて見ず、宮崎吾朗監督の新作であること程度。公開時に見たCGとロックなイメージのみ頭の中に。

感想…「なんかあんまだな~」「えっこれで終わり?」でした。

原作をちょっと調べた結果、児童文学らしさいっぱいの楽しい話のようでした。
「魔女の宅急便」「霧のむこうの不思議な街」(千と千尋の要素を感じる作品と言われている)など、児童文学のワクワク感。
ただただ正しいだけではない人間らしい主人公

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『燃ゆる女の肖像』無知、故の無垢な情熱について

『燃ゆる女の肖像』無知、故の無垢な情熱について

プロジェクターとスクリーンを出して、地ビールを凍らせたグラスに注ぎ、トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼとバターたっぷりの炒りたてのポップコーンを用意して、賢く美しい親友との映画観賞会は始まった。

彼女のおすすめを2作品観た。そのうちの一つがこの『燃ゆる女の肖像』だ。ちなみにもう一つは、ウクライナ出身のバレエダンサーセルゲイ・ポルーニンの肉体美を惜しげもなく映したラブロマンス『シンプルな情熱』

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【ジブリ考察①】借りぐらしのアリエッティ

【ジブリ考察①】借りぐらしのアリエッティ

公開当初に鑑賞してから、久しぶりにアリエッティを観た。

初めて観たときは、神木隆之介くんが声優をつとめた翔の不気味な魅力に惹かれつつも、「怖い」と思う気持ちが強かった。
人間に見られて動揺するアリエッティに人間離れした冷静さで声をかける場面と「君たちは滅びゆく種族なんだ」とほほ笑んで言う場面が、高校生の私には理解できなかった。
美しい少年のサイコパスさ…がひどく印象に残った。

それから10年余

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