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【ジブリ考察③】 海がきこえる

観たことありますか?

「海がきこえる」は1993年に、小説を原作にアニメ化された作品である。
ジブリで作られた作品だけど、宮崎駿作品ではない。
徳間書店から出ているアニメ雑誌「アニメージュ」で連載されていたいわゆる青春恋愛小説で、高知県の高校へ、東京から転校してきた美少女と地元の少年の物語だ。
この美少女、里伽子がとんでもない性格で、我儘で気の強い性格なのが一番の見どころだ。

エモい描写
「エモい」ということで話題になっているようだけど、確かにそれは共感した。
単純に高校生の青春にエモいを感じる気持ちもあるけれど・・・
ラジオを聴いている姿や90年代のファッション、髪型、文化など、
そういったものの描かれ方に、今だからこそ、おしゃれさを感じた。
ファッションのリバイバルというものかな?

最大の魅力は、思春期特有の人間臭さだと思う。

主人公の杜崎は、真面目で気持ちのいい青年で、私の印象としてはとってもおじさんくさい。
友達思いであるが人と群れたり周りの目を気にしたりしない。
納得いかないことがあれば、教員にも物おじせず発言する。
進学校に通っているが勉強だけでなくアルバイトにいそしむ。
里伽子が離婚した父に会うために東京に行くときも、人助けの気持ちで一緒に付き添う。
高知出身ということもあり、そういう男気みたいなものがある少年像があったのかなと思う。

対する、里伽子の我儘さが良い。
転校してきた学校の他の生徒に群れない。
スポーツも勉強も一切手を抜かず、負けん気が強い。
輪を乱すことを複数の女子につめられても、逆に言い負かす。

口が悪すぎるのは、さすがに「おお~汗」って思うレベルですが・・・

近しい時代に大流行した「東京ラブストーリー」の赤名リカ的なパワーワードが炸裂。(とはいえ赤名リカの「セックスしよう」には負けるかな(笑))
そんな強い、個性的な女性が求められる時代だったのだろうか???

松崎の親友で、里伽子に想いを寄せる松野がちょっと気持ち悪い!
松野は優等生で、大人びている雰囲気。
他の生徒より冷静に物事を見れるようで、今しか見れない!思春期のまっすぐさはなく、俯瞰的に未来を見据えた発言をする生徒のよう。
でも、そんな松野が里伽子に対して、好意を表現する様がちょっと気持ち悪かったです。
興奮しているんだろうけど、落ち着いたキャラということもあり、ちょっと変態ぽかった。
時代のせいかな?と思うんだけど、東京からの美少女の転校生を別校舎?の窓から男子二人で見て外見について話をするなどの場面も、なかなか気持ち悪い。
杜崎が竹を割ったようなまっすぐな少年だからこそ、インテリっぽい松野の賢いんだけど、うじうじが気になりました。

その他の登場人物たちも人間味に溢れている。

小浜 裕実は大人しい女の子で、里伽子の唯一の友人だけど、意志が弱く頼りにならない。でも人の良い感じが、いるよね、こういう子となる。気の強いお姫様タイプの女の子とのんびりほんわかペアってあるあるだよね!

清水 明子は、リーダータイプの気持ちの良い女の子で、一匹狼の里伽子とは対極に位置しているようだ・・・。
彼女が高校を卒業した後の同窓会で、「あの頃の自分たちはすごく狭い世界を生きていた。だから人との距離もうまく保てず、干渉してた」などと、思春期のあるあるを語る様にもとても共感した。

ところどころ、笑えたし、わかる~ってなったので、金曜ロードショーで放送してほしいなと思いました!!



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