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【『行動経済学が最強の学問である』相良奈美香】

行動経済学。

10年ほど前か、私が学生の頃にもちょっとだけ聞いたことがある経済学の一分野。

私自身が経済学を専攻しているわけではなかったため、その時はなんとも思っていなかったのだけれども、人気の本を眺めていると本書が目に飛び込んできた。

「そういえばあの時聞いた行動経済学ってどんな分野なんだろう?」と思い、いざ行動経済学の門を叩くことに。

本書によると、行動経済学は近年非常に注目されている学問ではあるものの、学問としては若すぎるため、体系化ができていないとのこと。そこで本書では行動経済学で用いられる理論を初めて整理・体系化することを試みている。

さて、本題に入るが、行動経済学とはどのような学問なのだろうか。本書では「人間の『非合理的な意思決定のメカニズム』を解明する学問」と紹介されている。

「経済(活動)」とは「人間の行動」の積み重ねであり、だからこそ「人間の行動」を理解することこそがキモになるからです。
B to B企業であれ、B to C企業であれ、あなたの企業の顧客は紛れもなく「人間」で、あなたを取り巻く上司や同僚、取引先も皆「人間」です。「経済(活動)」とは結局のところ、こういった「人間の行動の連続」で成り立っているのです。

相良奈美香『行動経済学が最強の学問である』 P.19~P.20

「人間の行動」は非常に不安定なものである。合理的なこともあれば、非合理的なこともある。健康的によくないとわかっていながらも、つい小腹が空いて夜食にケーキを食べてしまう。必要がないのに、レジの近くにあるお菓子を買い物かごにいれてしまう。使っていないサブスクを面倒だからといって解約せずにだらだら続けてしまう。すべて私の実体験。

経済学は人間が合理的に行動をする前提で展開されるが、上記のように非合理的に行動をするものだから、そもそも非合理的に行動するよね、という視点で経済活動を観察するのが行動経済学、というらしい。

先ほど体系化の話が出たが、人間が行動するにあたって非常に重要な三要因がある。人間は「認知のクセ」「状況」「感情」これらが絡み合って行動を起こしている。

「認知のクセ」は直感のシステム1と、熟考のシステム2という呼び方をされる脳の情報処理の仕方がある。非合理的になりやすいのがシステム1、合理的になりやすいのがシステム2。これらの情報処理は脳内で起こっているものの、脳と身体はつながっているため、五感や身体的認知によっても「認知のクセ」が生じてしまう。

「状況」は人間の意志決定に影響を与えるものとして挙げられている。毎日何かしらの意志決定を行うが、「主体的に決めている」と思いきや実は周囲の「状況」に「決めさせられている」ことを示す理論が出ているという。
現代は周囲に情報や選択肢が溢れすぎているため、適切に選ぶことが難しい。

「感情」も意志決定に影響を与えるものとして捉えられている。「認知のクセ」や「状況」は常について回るものだが、「感情」はフラットなときだと意思決定への影響は小さくなる。しかし「感情」が高ぶったときで言えば、意思決定への影響度合いは一番高くなる。喜怒哀楽のようなはっきりとした感情だけでなく、好きなものを目にした時のちょっとした高揚感のような、名前がつかない小さな感情もたくさんあり、それが影響を与えることが多々ある。

行動経済学はこれらの三要素を分析していく学問で、心理学と経済学をかけあわせたような視点を持つ学問である。

本書に記載されている「非合理的な行動」の例を見ていると、確かにこういう風に判断しちゃうときあるよなぁと共感できる。さらにそういう風に行動させられるように、周囲の状況(お店のディスプレイやWebサイトのUI)が考えられているのだと思うと、ものの見方が変わってくる。

今はざっくりとした知識でしか得られていない行動経済学の知見だが、それこそnoteをやっていく上で生かすことができればよいと思う。

それではまた、次の本で。

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