『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか』×『教育論の新常識』×『ニューコンセプト大全』

こんにちは。

日々様々な書物を読み漁っています。

合成しながら新たな知見の提供を目指します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーA. 辻太一郎・増和利光『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか』講談社 2021年

B. 松岡亮二『教育論の新常識ー格差・学力・政策・未来』中央公論新社 2021年

C. 電通Bチーム『ニューコンセプト大全 仕事のアイデアが生まれる50の思考法』KADOKAWA 2020年

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A. 早慶を中心として、GPA上位5%の方の生き方を取材し、まとめた本

B. 教育格差について、実証研究を基盤に、マクロ・ミクロで考察した本

C. アイデアの生み方について、電通の現場からまとめあげた本

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 Aでは、結果論として、GPAが高い方が内定を貰えるという事実から、その原因を、人事の方がインタビューを通して突き止めています。往々にして、「自主性」「主体性」が共通項だと考えられているようです。

 そのことを「単なる真面目とは違う」と表現されていましたが、「真面目」という言葉には何故か負のイメージがあるように感じました。

 それは、「ただ勉強をコツコツやる人」というイメージではないでしょうか。本書のまとめでは、人事がもっと広い視野で人を評価しないといけない、そのように述べられておりましたが、学歴フィルターに関しては言及されておりませんでした。

 Bでは、『教育格差』の続編として、なぜ格差が生じるのか、シラバスについて実証的に研究を行ったことが印象的でした。日本の教職課程において、シラバスにはほとんど「格差」を勉強する機会がないそうです。つまり、現場では生徒に教える教師自身が「教育格差」をあまり理解していないのだと語られています。僕もそう思いました。

 処方箋としては、構造の問題であることに変わりはないはずです。国をあげて「教育格差是正」を見直していかないとミクロではいつまでも現状維持に留まってしまうと感じさせられました。

 C. では発想の転換をどう行っているのか、分かりやすく説明してくれました。全体的に、カードに文字を書いて、シャッフルして繋げる、「概念 ≒ アイデア」の再結合のようなお話が盛りだくさんで、実際は「0から新しいアイデアは生まれるものではないな」、ということを実感させられました。

 ABCで思うこと、それは「好奇心」を大切にする事ではないでしょうか。GPAを上げるにはテクニック、効率が求められるのは確かです。しかし、背後にあるのは、それを「楽しむ余裕があるかどうか」にも思えます。やりたいことがあるから「効率を求めざるを得ない」。僕はそう考えています。

 Bは、確信は持てませんが、「教育」によって個々の好奇心が圧力をかけられているようにも思えました。できる子は「好奇心」が強くなりどんどん進む。しかし、できない子は「好奇心」が薄れていく。それは、焦りや苛立ちが原因かもしれません。そんなときは、Cのような発想の転換が大事なのかなと思います。

 できない子に対して、今までの教育が意味のないことは自明なはずです。しかし相変わらず教育の基本は変わらない。

 保護者やまわりが介入するしかないのかなと考えてしまいます。でもやり方を変えねばなりません。それは、子供は「好奇心」が中心で動いているからだと思うのです。つまりは、「できる子にさせたい」「まわりに追い付かせたい」といった、従来の発想ではなく、「まずは受け入れる」ことであったり、「むしろできないことを誇りに思う」ことではないでしょうか。ニューコンセプト大全を読むとそうは思わずにはいられません。「多様性」もカギだと思うのです。

 以上ABC書評でした。

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