アフロ・B

Anderson .Paak , HIP-HOP , SOUL , GARAGE PU…

アフロ・B

Anderson .Paak , HIP-HOP , SOUL , GARAGE PUNK|Wes Anderson , Emir Kusturica|ベース初心者|猫|フットサル|福山シティFC|怪人・怪獣 , ブルマァク こじらせた青春自叙伝。

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さらば青春の光

ヤンキーの巣窟として悪名高い、地元の荒れた高校に通っていた。煙草の吸殻がそこらに転がり、窓ガラスは破壊され、廊下にはゴミが散乱。廃墟のような殺伐とした校舎に、入学初日から絶望した。 少しでも目立つ新入生はすぐに先輩ヤンキーの標的となり、理不尽な制裁をくらうか、あるいは一大勢力と盃を交わし、傘下となることでパシリとなった。 そんな横暴が日常的に繰り返されているのだ。新年度を迎える度に1クラス単位で退学者、音信不通者が続出し、卒業の頃には3クラスあった学年が1クラスにまで減少して

    • 波動

      中学時代から深い付き合いのある友人のS。親交がはじまった中学時代、ふたり揃って救いようのない陰気な男子で、存在すら認識されていたのかも危うい日陰者であった。 僕たちの親交は途切れることなく、学生時代から何十年と経過した現在でも関係が続いている。基本的にはアホなままで変わりないが、ここ最近でふと気になったことがある。中学時代はふたりでしか遊ぶことがなく、彼が集団の中でどのような態度で、人間関係を構築していくのか想像ができなかった。僕たちは校舎の隅でひっそりと息を潜め、青春とは無

      • アウトローの星 Ⅳ

        地元の酒好きの友人Uは、とにかく呑む、食う、喋る。乾杯をした瞬間から解散する間際まで、ずっと呑みっぱなしで、狂ったように陽気だ。そんなモンスターとの宴が1軒で終わるはずもなく、2軒目、3軒目と場所を変えることになるのだが、居酒屋をはしごしたがるわりには、財布の中に小銭と砂埃しかない。支払いが微妙に足りず、焦ったことが何回あったか。お互いの財布をひっくり返し、金をかき集めてなんとか支払いをすませた。焦っているのは僕だけで、彼はへらへらしてどこかへトリップしている。 「銭のことな

        • My Favorite Things

          『#私を構成する42枚』で好きなアルバムを選んでみた。熱中しているヒップホップが中心になると思ったが、こうして全体を眺めてみるとロックよりな気がする。ジャンルにばらつきがあり、共通するものはなんだろうかと考えたが、頭がパンクしてすぐに諦めた。 次の10枚は特に影響を受けたアルバム。 1.Anderson .Paak - Malib 2.Kendrick Lamar - To Pimp a Butterfly 3.Guns N' Roses - Appetite for De

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        さらば青春の光

          Record Stabilizer

          高校時代にはじめてアナログレコードを入手して以来、地道に収集を続けている。基本的にはストリーミングで音楽を聴くので、よほど気に入ったアルバムしか買わないが、レコードの存在そのものが魅力的だ。「モノ」としての所有欲が満たされるのか、CDに比べてレコードの方が思い入れが強く、購入当時の懐かしい記憶が蘇る。 レコードを気軽に試聴できる環境ではなかったので、いつも限られた情報の中で悩み悶えていた。それはもう博打のような感覚で、外してしまった時のダメージは計り知れないものがあった。購入

          Record Stabilizer

          アウトローの星 Ⅲ

          ちょいクズ気質な友人U。彼はお酒が大好きで、一緒に飲みに出かけると、解散の瞬間までなにかしらのアルコールを体内に流し込んでいる。それでも酔い潰れることはなく、最後まで陽気だ。かつては彼のいかれた酒豪ぶりに呆れたが、今となってはその冷めた態度を反省している。彼は酒やつまみを豪快にかっ喰らうことで場を盛り上げようとしているのだ。そして、とどまることのないしょうもないトークで僕を楽しませてくれる。年齢を重ねたことで、彼の明るさにようやく感謝できるようになった。 Uは途轍もない記憶力

          アウトローの星 Ⅲ

          死にたくなったらダンスホールへ disc 7

          高校生の頃に60年代のロックに傾倒し、アナログのレコードにも興味をもちはじめた。現代ほど情報が溢れておらず、頼りになるのは専門誌だけで、博打のような感覚で音源を購入していた。 地元の田舎町にはアナログを取り扱っている店がなく、リサイクルショップのジャンク品が放り込んであるような箱の中から、レコードを探すしかなかった。規則性がなく、無造作に陳列されているので、レコードを見るだけで体力が消耗したのを憶えている。 初めてレコードを買ったのも近所のリサイクルショップだ。本当にジャンク

          死にたくなったらダンスホールへ disc 7

          20240101

          大晦日の深夜から元旦の早朝にかけて、神社のお篭もりを体験。正月に向けて年末から国旗やのぼりの掲揚、清掃を進めてきたが、自分はお篭もりを担当することになった。 “おこもり”ってなんだか可愛らしい響きだが、その実態は掴めずにいた。近所の人になにをするのか聞いてもふわふわとした返答で、謎は深まるばかりだ。 「まぁ、あれよ。飲んだり、食べたりよ。それ以上は……」 僕はタブーに触れてしまったのだろうか。バツが悪そうな返答に、それ以上の追求は許されない不穏な空気が漂った。 結局のところ、

          猛スピードで彼は

          先週に引き続き同僚とフットサルへ。 経験者はブランクの期間が長くても、初心者と比較すると基本的な動きが違う。同僚は1ヶ月で勘を取り戻すと宣言したが、2回目のフットサルですでにその兆しが見えはじめていた。初心者の自分からすれば、羨ましい限りだ。 それとは無関係だが、同僚の全力疾走って、なんであんなに面白いのだろうか。見慣れていないだけだと思うが、新鮮でつい笑ってしまう。 足下に収めづらいパスを味方に出してしまった時、普段であれば反省するのだが、同僚に対しては笑ってしまう。全力で

          猛スピードで彼は

          エースストライカー

          同僚と一緒に個人参加型のフットサルへ。 月に数回のペースでフットサルをしているが、その程度の頻度では上達しない。クラブ活動並に鍛えなければ技術は向上しないし、筋肉痛になって終わるだけである。それでもマイペースにゆるく続けているのは、初心者でも楽しめる競技であることと、衰える体力を少しでも食い止めたいという思いがあるからだ。基本的には趣味の範疇で満足してはいるが、無性に虚しくなる瞬間がある。 チーム競技なので経験者とプレーする機会が多くあり、初心者とは明らかに違うフィジカルの強

          エースストライカー

          コントーションズ

          専門学校時代に出会った友人で、Tちゃんという恐ろしくマイペースな男がいる。この時期に仲良くなったクラスメイトとは現在でも親交があり、彼もその中のひとりだ。当時を振り返ると、クラスメイトと打ち解けるのに時間がかかったが、彼とは最初から波長が合い、居心地も良かった記憶がある。 グループで談笑している時に、電話やトイレ、あるいはなにかしらの事情で離席が続いた瞬間に「まずい」と思うことが多々ある。というのも、そういう時に限って、微妙な距離感のクラスメイトと二人きりなるのだ。気まずくて

          コントーションズ

          もぬけのバラッド

          専門学校時代に電車で通学していたのだが、混雑時の不快感や時刻表に合わせた行動に、最後まで慣れることができなかった。それまではバイクでスイスイとそこらを移動していたので、混雑や時間に縛られる電車通学はストレスでしかなかった。 卒業までの2年間、毎日のように電車を利用し、車内で色々なひとを見かけた。当時の記憶はほぼ消滅しかけており、ぼんやりとしか思い出せないのだが、ひとつだけ鮮明に憶えている出来事がある。 漫画みたいに分かりやすく、落胆する男子高校生を見た時のこと。坊主頭の彼は、

          もぬけのバラッド

          昨日に別れの接吻を

          戻りたいと思うほどではないが、高校時代はそれなりに楽しかった。鬱屈した中学時代を過ごしてきたので、なおさらそう感じるのかもしれない。 武闘派のヤンキーがのさばる学校で、先輩が恐ろしくてたまらなかったが、彼らはすぐにドロップアウトする傾向にあった。長期休暇が明けると退学するか、行方知れずとなり、音信不通となるのだ。それはそれで薄気味悪いのだが、おっかない先輩が徐々にいなくなり、ヤンキーの勢力はあからさまに弱体化した。武闘派が全滅したわけではないが、孤立状態になり、卒業までおとな

          昨日に別れの接吻を

          ミッドナイトマッドメン

          専門学校に通っていた頃に、深夜のネットカフェでアルバイトをしていた。深い時間帯ならではの特徴なのか、かなり個性的な客が多かったように思う。 深夜0時を過ぎると、夜行性の人間がぽつり、またぽつりと現れ、予期しないトラブルや、望まない群像劇に発展させていく。特に週末は地獄であった。混雑し、オーダーは狂ったように鳴り響き、重要な備品は切れる。現場は常にパニック状態で、カオスだった。 客も変だったが、スタッフも変だった。独特で癖が強く、やたらと無気力な人間が深夜帯に集結していたのだが

          ミッドナイトマッドメン

          激情[後編]

          しばらくするとオルタナティブも聴くようになるのだが、あまりのめり込めず、早々に飽きた。自分には不向きで、探求するまでにいたらないジャンルだったが、Sonic Youthだけは別格だった。まず男女混合の編成が新鮮で、視覚的なインパクトに魅了された。そして、あのノイジーなギターである。実験的な楽曲も多く、これまで体験してきた音楽と比較すると、明らかに異質であった。 振り返ると、僕の音楽観はここから本格的に狂いだしたように思う。過激な音楽を求め、よりアヴァンギャルドなバンドの音源を

          激情[後編]

          激情[前編]

          中学時代から音楽に夢中になり、中年になった現在でも、変わらず虜になっている。これだけ長く聴いていると、疎遠になったバンドやジャンルも存在するが、原体験となるような凄まじい衝撃を受けた音楽は、何年経過しても色褪せない。 中学時代でいえば「GUNS N' ROSES」。高校時代は「Sonic Youth」と「MAD3」。専門学校時代はサイケデリック、ガレージパンクのコンピレーションアルバム『Nuggets』。社会人になってからは「Anderson .Paak」だ。 音楽に触れは

          激情[前編]