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サーキュラーエコノミー最先端企業のビジョンとビジネス|スタートアップ/上場企業が語る、事業のリアルとこれから|イベントレポートvol2

この数年でサーキュラーエコノミー(CE)という言葉が広がりを見せ、産業界でもスタートアップから大手まで多くの企業が自社の取り組みを拡大させる動きを見せています。今回は、サーキュラーエコノミー特化メディア「Circular Economy Hub」を運営する株式会社ハーチ、アーキタイプベンチャーズが主催し、サーキュラーエコノミーの先進企業(スタートアップ・上場企業)4社が登壇したイベントの内容を紹介します。

この記事は、2022年12月5日に開催された「サーキュラーエコノミースタートアップ/上場企業が語る、事業のリアルとこれから」の公式イベントレポート(中編)です。本イベントレポートは、株式会社digglueが制作し、各社の許可を得て掲載しております。本レポートに関するお問い合わせはこちらまでご連絡くださいませ。​(文責:株式会社digglue 濵田智子)

イベントの開催について知りたい方はこちらをご覧ください。

イベントレポート前編の内容は▶︎

1.  「サーキュラーエコノミー事業を語る」に向けて
|イベント主催CEhub那須さん
今回のイベントの目的とは/サーキュラーエコノミーを理解するために

【Tips】経産省・環境省「「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」」を解説📝

2. サーキュラーエコノミーのマーケットを概観する
|アーキタイプベンチャーズ北原さん

サーキュラーエコノミーはなぜ必要なのか?/世界に広がるサーキュラーエコノミーの潮流とは/サーキュラーエコノミーの市場規模/日本のサーキュラーエコノミーのプレイヤーとは?

【Tips】世界のサーキュラーエコノミーの潮流と、サーキュラーエコノミーのスタートアップのカオスマップを公開!カオスマップの見方の解説も📝

レポートの前編はこちら▶︎

今回の中編では、日本発のサーキュラーエコノミースタートアップや上場企業によるサーキュラーエコノミー事業への挑戦を、4社からそれぞれご紹介します。それではどうぞ!

サーキュラーエコノミーのプレーヤーとして|登壇企業の紹介

那須)ここからは、サーキュラーエコノミー事業会社4社の企業ピッチをお聞きいただきます。こちらが今日登壇する4社です。それでは順にお願いいたします。

📝資源循環をコーディネートする|株式会社TBM

TBM大場さん

💡登壇者紹介
株式会社TBM 資源循環イノベーション部 部長 大場健太郎
大学・大学院で環境分野を専攻し、2007年に新卒でリサイクルワン(現:株式会社レノバ)に入社。株式会社レノバでは、環境コンサルティング事業、プラスチックリサイクル工場の立ち上げ、再生可能エネルギーの新規事業開発に従事。ベンチャーフェーズから東証一部上場までのフェーズを経験。2021年、株式会社TBMに参画し、資源循環のモデル構築、リサイクルプラント事業に従事。

大場)よろしくお願いいたします!TBMの大場と申します。私は2007年に環境系のベンチャー企業、現在の株式会社レノバに入社しました。プラスチックリサイクル、環境系コンサルティング、再生エネルギー事業に携わり、2021年8月にTBMに入社いたしました。現在は新しい資源循環サービスやリサイクルプラント事業に携わっております。

では、TBMの紹介をさせてください。TBMは資源問題の解決、カーボンニュートラルの実現を目指してグローバルに事業展開しています。大きく2つの事業があり、一つは環境配慮素材・製品ビジネス、もう一つは資源循環ビジネスです。

プラスチック、紙の代替素材として使われる環境配慮素材「LIMEX(ライメックス)」

まずは祖業である「LIMEX」について説明します。LIMEXは石灰石を主原料とした素材で、TBMが独自の技術により開発に成功しました。地球上で資源枯渇リスクの少ない石灰石を使うことによって枯渇する資源の保全を実現し、生成過程での温室効果ガスを抑制します。技術をファブレス(製造工場を自社で持たないビジネス展開)にすることで、グローバルにも展開しています。

LIMEXは大きく2つの使い道があり、一つはプラスチックの代替。プラスチックの代替としてLIMEXを使う場合、従来のプラスチックに比べて使用する石油資源量は半分以下で済みます。石油由来の資源使用を抑えられるために、素材の生成から消費、処分に至るライフサイクルにおけるCO2排出量も抑制できるのです。

また、LIMEX活用例の2つ目は、紙の代わりにLIMEXを使うことです。実は紙の生産には多くの水資源が必要です。これを、LIMEXを利用すると抑制できます。一般的な印刷用紙を1トン生産するにあたり、水資源は80トン以上使用します。気候変動もありますが、グローバルに見ていくと水の問題は非常に大きく、2050年には人口の51%が安全な水にアクセスできない状態となるといわれています。

また、使用したLIMEXは、マテリアルリサイクルして、プラスチック代替の用途で使える原料にすることができます。

具体的な導入事例を、こちらの2枚のスライドで見ていただければと思います。

LIMEXの導入事例(プラスチックの代替として)
LIMEXの導入事例(紙の代替として)

資源循環をコーディネートするサービス「MaaR(マール)」

次に、TBMが提供している別事業、資源循環をコーディネートするサービス「MaaR」について紹介します。資源の枯渇を守る、プラスチックの流出防止、リサイクル率向上に寄与する事業です。

この資源循環コーディネートサービスでは、特に現在プラスチックの資源循環に対し、「モノからモノへ」循環させていく、マテリアルリサイクルを支援するさまざまなソリューションを提供しています。

まずは背景を見ていきますが、世界人口が伸びていく中で、プラスチックの原料となる石油由来の資源の使用量は、地球上の資源を必要以上に使っている状態です。プラスチック使用量は、2050年には3倍に伸びていくという試算があります。海洋プラスチックごみ問題も深刻です。

国内のプラスチック問題でいきますと、廃棄の問題があります。燃やして熱回収するサーマルリサイクルの割合は高いのですが、モノからモノへリサイクルするマテリアルリサイクルの割合は20%程度です。これは一般廃棄物、産業廃棄物いずれもです。

プラスチックのマテリアルリサイクル促進の課題

しかしこの現状を変えていこうにも、国内のプラスチックのマテリアルリサイクルの実態には課題があります。それが、マテリアルリサイクルをしていくにあたって、ラストワンマイルの物流までを含む経済合理性の担保をすることです。つまり、リサイクルを、経済合理性の合うようなビジネスにしていくことには、大きな課題があるのです。

これに向けて、私たちは先ほどの「MaaR」のソリューションを提供しています。

第一のソリューション。TBMが自社工場を作っていきます。先日、横須賀市で日本最大級のリサイクル新プラントを運営開始しました。

第2のソリューションは、独自サプライチェーンの構築とマッチングです。商圏を狭くすることで、物流効率を上げていくのです。たとえば、神奈川県横須賀市では、地域で使えるLIMEX製の地域振興券を、独自の物流網で回収していき当社で資源循環を行うような取り組みを行っています。

第3のソリューションは、定額での資源循環促進パッケージサービスです。現在提供しているのは、事業所向けの、資源循環と環境配慮型のオフィス用品の提供、環境意識醸成をパッケージにしたサブスクリプション型のサービスです。こうした活動も含めて、経済合理性を担保していこうとしているのが、「MaaR for business」です。

さらにマテリアルリサイクルにはもう一つ課題があります。それは、ものを提供する主体と、廃棄あるいは再生する主体が違うということです。

私たちはLIMEXのように物も提供しつつ、回収された廃棄資源を自社工場でリサイクルしつつ、さらに自社工場で再生した資源から新たな製品を生み出すプロデュースまで、一気通貫で行っているのが特徴です。

こうして、私たちTBMは資源循環「モノからモノへ」というマテリアルリサイクルを進めていく事業を行っています。先ほどあった45兆円の市場に対して挑戦していきつつ、最終的には「世界中のあらゆる場所で、資源保全に対応した製品・サービスが利用され、使用済み製品がリサイクル、活用される世界を創る」ことを目指しています。

📝循環型社会実現のためのデジタルインフラを目指す|株式会社CBA

CBA宇佐見さん

💡登壇者紹介
株式会社CBA 代表取締役 宇佐見 良人

株式会社アトラクス(日商岩井100%)にてDB(データベース)を使った商品企画・営業を16年間実施し、DBの可能性について認知。双日株式会社にて新規環境関連事業として産業廃棄物管理システムの立ち上げに参加、株式会社JEMSに転籍して日本のリーディングカンパニー中心に約400社へ管理システムの導入を行う。その後、株式会社CBA設立、資源循環を推進するプラットフォームの構築により業界のDX実現を目指す。

宇佐見)株式会社CBA代表取締役の宇佐見と申します。本日はお集まりいただきましてありがとうございます!

大量生産・大量消費社会が環境・社会に深刻な影響を与えている今、循環型社会への移行は必然、というふうに私たちは思っています。ですが、現在、「いつ、誰が、どのようなゴミをどれだけ出し」「いつ、誰が、どのように処理しているのか」は廃棄物処理の観点からはある程度把握できていますが、資源循環の観点からはあまり把握ができていないのが実態です。

そこで私たちがやろうとしていることが、まずは「データの収集」集めたデータを分析し「可視化」。そこから「最適解の提供」です。これを実現していくためのデジタルインフラの構築が、私たちが目指していることです。

ここで私のこれまでの経験の紹介なのですが、日商岩井(現・双日)にてデータベースを扱う企画・営業を16年やってきて、データベースやプラットフォームの可能性について認知致しました。その後、新規事業で廃棄物管理システム構築に携わりまして、そのまま廃棄物管理の業界大手JEMSに転職しました。JEMSでは、400社あまりの国内大手企業に、廃棄物管理システムの導入をご支援しました。そしてその後、国内資源、特に地域の資源循環のプラットフォーム構築を目指して、CBAを立ち上げました。

少し話は変わるのですが、私の趣味は熱気球なんです。空から見る日本は本当に美しく、この美しい日本を維持したいという思いが、今の事業のモチベーションの一つになっています。

CBAのミッションとビジョンをご紹介させて頂きます。
ミッションは「次世代に美しい地球環境を引き継ぐ」ビジョンは「循環型社会実現のためのデジタルインフラになる」
として活動しております。

廃棄物処理DXプラットフォーム「CBA-wellfest」

CBAのサービスは、先ほどの「データの収集」「可視化」「最適解の提供」を3つのフェーズに分けて考えています。

具体的に見ていきますと、まずはフェーズ1。廃棄物データの収集です。

現状、企業の廃棄物担当者の業務は、遵法性の担保から、非常に集計・報告業務まで非常に幅広く対応が必要な業務です。この中でシステム化されているのが「マニフェスト」という伝票管理を中心とした部分です。

ここに、サーキュラーエコノミーのさまざまな要請が加わってくるとどうなるでしょうか。現状の業務にプラスして、ますます負荷がかかってくるわけです。

そこでCBAが提供しているのが、廃棄物の発生からリサイクルの情報開示まで一連の業務をシステム提供し、担当者の負荷を軽減すると同時に廃棄物の可視化を行って、資源循環を促していく、「CBA-wellfest」というサービスです。

環境業界全体のビッグデータベースを目指すCBAの今後

続いてフェーズ2。ここからは今後の展望ということになります。
また、このフェーズ2の環境与信データベースサービスは最初は、リサイクルに積極的なリサイクル事業者のデータベースを構築し、リサイクルに積極的な排出業者とマッチングし、資源循環率を高めていくようなサービスです。

同時に、資本提携している株式会社リスクモンスターから企業与信の情報も提供する予定です。その後、排出事業者の環境に対する姿勢を示すデータを取り込み、将来的には環境白書のような統計データを出せるようなデータベースを作っていきたいと考えています。

フェーズ3では、資源化プロセスサービスを展開します。廃棄物を資源化するのに大きな課題の一つが回収費です。廃棄物処理法に基づいて、企業は自社の責任に基づいて廃棄物を処理することが規定されているのですが、これにより、企業同士が提携して共同で回収をするなど、効率的な方法で回収することがあまり進んでいないのが現状です。

これにより、廃棄資源を回収して運ぶ際に、輸送トラックの掲載率が低いまま回収することになり、回収コストが割高になっていると考えています。結果少量の資源であれば他の廃棄物と一緒に廃棄してしまった方が安くなり、では廃棄しましょうという意思決定をすることに繋がります。ここで、企業間の連携を推進していくことができれば、資源循環を推進していくことができます

さらに、家庭から出る一般ごみについてもデータ収集していき、環境業界全体のビッグデータを作り、循環型社会に向けたデジタルインフラを目指していきます。

最後に、資源循環の重要性を認識して、資源循環に貢献していきたいとお考えになる方は、いろいろな形で弊社のステークホルダーになっていただき、一緒に資源循環を推進していけたらと思っています!ありがとうございました。

📝テクノロジーの力で持続可能な世界を実装する|株式会社digglue

digglue原

💡登壇者紹介
株式会社digglue 代表取締役CEO 原 英之

カリフォルニア州立大学卒。商社の営業、ERPシステムエンジニアの経験を経て、digglueを創業。エンタープライズ向けブロックチェーンの開発や新規事業などを行う。現在はサステナビリティ課題の解決に向け、サーキュラーエコノミーのDX領域に携わる事業を展開。

原)株式会社digglueの原です。digglueは「テクノロジーで持続可能な世界を実装する」というパーパスを掲げて、サーキュラーエコノミーのDXをやっている会社です。

具体的にやっていることを紹介しますと、まずは東京都実証プロジェクト「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」。日用品プラスチックボトルの、Bottle to Bottleリサイクルの実証事業をやっています。花王、ユニリーバ、P&G、LIONなど、多くの方にとって馴染み深い日用品大手メーカーと一緒に行っているプロジェクトです。

このプロジェクトでは、誰もが使ったことのあるシャンプーやポンプ式のボトルのようなもの、そうしたプラスチックボトルを、自治体と協力して回収し、破砕し、再生材料にして、もう一度ボトルとして利用する。そのための実証を行っています。この中で弊社はトレーサビリティシステムの開発や、データ分析をしています。

それから、環境省実証事業「太陽光パネルリユース・リサイクルプロジェクト」。こちらは丸紅の事業で、弊社はやはりトレーサビリティシステムなどのシステム開発を担当しています。

実は太陽光パネルは、15〜20年ほど前に助成金の制度が整って大きく普及した時期があるのですが、そこから時間が経過して、数年以内にこの頃に普及したパネルが、いっせいに劣化し、交換の時期が来ると言われているんです。この、いっせいに廃棄される太陽光パネルを処理できる仕組みが国内でまだ整っていません。サーキュラーエコノミーの考え方に基づき、リユースやリサイクルも進めていきたい。そうした仕組みづくりを進めるプロジェクトです。

次のプロジェクトは、東京都実証事業「建設現場の廃プラスチック可視化・マテリアルリサイクルプロセス確立プロジェクト」。こちらは高砂熱学工業、ダイキン工業、Veoliaと協働して進めるプロジェクトです。このプロジェクトでは、弊社メンバーが今日も日本中の現場に足を運んで、現場プロセスや作業、そして廃棄物の見える化を進めています。

最後に紹介するのが「日本産農作物・日本酒トレーサビリティシステム」。SBIトレーサビリティと一緒に進めるプロジェクトで、弊社はトレーサビリティシステムを開発しています。

現在、海外で日本酒ブームが起きているのはご存じでしょうか。ブームの裏で、海外では非常に日本酒の偽装問題も発生しているんです。最も多い偽装の手法は、日本酒の空き瓶を安く集めて、中に安い酒を入れて高値で売る、というものだそうです。これに対する解決策として、日本酒のボトルのキャップに、IoTセンサーを埋め込み、開封するとその記録が自動で書き込まれる仕組みを作るのです。輸出時にスマートフォンをかざすだけで、未開封であることを確認できるようにして、偽装を防ぐ。そういうシステムを開発しています。

サーキュラーエコノミーDXの「MateRe(マテリ)」

今日これからご紹介するのは、自社プロダクトの「MateRe」です。MateReは、資源循環を支えるデジタルプラットフォームとして開発中のものですが、サーキュラーエコノミーの全体像を3つに分けて進めています。「Visualization」「Traceability」「Procurement API」の3つです。

まずは排出物を資源に変換していくための「見える化」。現在、産業の現場においては、産業廃棄物の管理のために、日本産業廃棄物処理振興センター(JWネット)の提供する電子マニフェストという「電子化された情報」が存在しています。ただしこれは廃棄物管理のためのシステムです。

廃棄物とされていたものを資源へ「MateRe」

MateReの見える化でやっていきたいのは、廃棄物の管理のためではなくて、廃棄物とされているものを資源に変えていくためのシステムを作るということです。廃棄物の処理をするためにはコストがかかりますが、資源として取り扱える場合には、有価で買取される対象になるという、コストメリットも生みます。また、サステナブルレポートを出す企業も増えている昨今、資源循環への取り組みに関心を持つ企業も増えてきました。

弊社はコンサルティングも行っているのですが、その中で製造業の工場現場に入らせていただくことが結構あるんです。MateReの見える化は、この経験が起点となっています。

工場の中の実態として私たちが知ったのは、さまざまな廃棄物が工場から出ていくわけですが、実はリサイクルできるものが廃棄されていることが結構多かったんです。それも結構な量のことも多く、それが単純に「もったいない」

それから別の現場では、一つの工場で素材AはリサイクルしてBは廃棄していた。同じ会社の別の地方の工場では、逆にAは廃棄してBはリサイクルしていた。そんなこともありました。これはロジの関係で、やはり工場から廃棄物・資源を出していくにあたって、その引き取り手として、周辺のリサイクル事業者にしか声をかけないんですね。そこをロジを少し伸ばすだけで廃棄物が有価物になるのですが、それを知らなかったりするんです。

可視化したものをトレーサビリティをとって、排出されたものの出処やルートが明確に追跡可能な状態で、工場から直で出たものを卸せるようにしていく、もう一度資源化しましょうというのがこのプロダクトです。

そして左上の「調達」の部分です。海外では現在、プラスチックをはじめとして、質の良いリサイクル材料の争奪戦が起きているんです。排出側の課題としては可視化できていない、本来資源化できるものを廃棄してしまっているという課題がありましたが、一方で調達側は、高品質なリサイクル材料を調達できない、由来がわからないので安心して利用できないという課題を抱えているんです。

そうした課題に対して、MateReの考えているビジネスモデルはこうです。まず、排出事業者がこれまでコストをかけて排出していた廃棄物を弊社が有価買取します。そしてパートナーシップを結んだリサイクル工場へ委託して再資源化していくのですが、その際にトレーサビリティをしっかりとるための仕組みをシステムで構築します。そして再生資源を製造業の調達側のニーズのあるところに対して販売していくというものです。

欧州最先端のDPPに対応したトレーサビリティをカバーする

さて、少し話が変わるのですが、ここで、現在話題になっているDPPについても紹介します。DPPは2022年3月に欧州で採択されたエコデザイン規則の一つです。2024年春に実現されていくのではないかと言われています。

欧州4億人の市場にリーチしようとすると、エコデザイン規則に則っていないと販売することができなくなります。これまでは2009年のエコデザイン指令というものがあったのですが、これは「お願い」というものでした。一方で、今回は規則です。その中で対応していかなくてはならない目玉となるものが、DPPなのです。

DPPは、ありとあらゆる製品に、消費者がその製品について知ることのできる情報を付与しなくてはならないというルールです。例えば製品から二次元コードを読み取れるようにします。ではその情報の中身はというと、トレーサビリティ情報、廃棄情報、CO2排出量などが含まれていくんです。これはサプライチェーン上の情報なので、情報を安全に適切に取得し管理するのが難しい領域なのですが、MateReがテクノロジーでカバーしていこうとする領域でもあります。

多くのグローバル企業が、再生プラスチックの利用量の定量目標を公にしている中で、グローバルに製品を流通させていこうとする企業にとって、DPP対応のために再生資源のトレーサビリティを担保していくことはもはやNice to haveではなくて、Must haveといえると思います。

今後必ず必要とされていくサーキュラーエコノミーのDXを、このMateReのプロダクトに込めて推進していきます。digglueは、「みせる・つなぐ・まわす」をキーワードにしながら、資源循環の担い手となっていきたいと考えています。

📝創業95年のエネルギー企業が挑む|シナネンホールディングス

シナネンホールディングス池谷さん

💡登壇者紹介
シナネンホールディングス株式会社 成長戦略部 グループ連携推進チーム チーム長 池谷 和樹

シナネンホールディングスグループの事業会社にてLPガスや石油製品の卸売営業、新電力小売事業の立ち上げ経験を経て、昨年度シナネンホールディングスへ異動。グループ内の事業連携を進めながら、今年度から旧本社ビルを活用したシェアオフィス「seesaw」の運営に従事。シェアオフィスでは入居者と共に再生可能エネルギーや地域資源循環分野での事業創出を目指す。

池谷)まずはシナネンホールディングスについて紹介いたします。シナネンホールディングスグループは、創業95年のエネルギー販売を中心とした総合サービスを展開するグループです。今年4月の東証市場再編に伴い、プライム市場に移行しています。本社は東京都港区にあり、純粋持株会社です。従業員数3,200名弱、連結子会社で37社、関連会社7社となっています。

事業内容については、3つのセグメントがあります。まずはBtoC事業エネルギー小売、周辺事業です。各エリアに事業会社を設立し、「ミライフ」という名前で展開しています。分散型エネルギーのプロパンガス、家庭向けエネルギーの供給をしています。

2つ目はBtoB事業でエネルギーソリューション。これはシナネンという事業会社が広域的に石油の販売または法人向け電力販売を行っている事業です。3つ目が非エネルギー事業で、多岐にわたります。自転車の販売、シェアサイクル、建築廃材を木材チップ化する環境リサイクル会社、ガスや電力などのシステム会社、ビルの保守メンテナンスの会社など。

このように、創業以降、私たちは化石燃料を扱う事業を続けてきましたが、今後経済成長と環境負荷を考えていく上で、新しい事業領域に進んでいく必要があるため、今年組織を改組し、「成長戦略部」が生まれました。

この部署で、新規事業の推進と、本日のイベント会場にもなっています、シェアオフィス「seesaw」の運営、グループシナジーを生かしたグループ業務効率化を行っています。またこの事業部にはサステナブル推進チームも入っていて、TCFD対応を含めた温室効果ガスの排出量算定や、カーボンクレジットの購入による温室効果ガス削減施策などを行っています。

サーキュラーエコノミーに向けた弊社の取り組みは始まったばかりで、その第一歩目がこのシェアオフィス「seesaw」です。

脱炭素×コミュニティがテーマのシェアオフィス「seesaw」

2022年4月からスタートしまして、脱炭素・地域資源循環をテーマにした企業や団体に入っていただいています。もともとは私たちの本社があったビルなのですが、遊休資産の活用も兼ねて、8、9階を使ってシェアオフィスにしています。

今いらっしゃるこの場所がコミュニケーションスペースで、下の階が執務スペースとなっています。入居者同士のコミュニティを組成することに力を入れています。入居企業の規模は問わず、脱炭素や資源循環というテーマに取り組む企業に入っていただきたいと考えています。

再生エネルギーの発電所の建設、廃棄物処理、太陽光の建設や施工をやっている企業などが入居しています。また、シナネンのグループ企業も入っていて、「挑戦×プレイフル×脱炭素」をテーマに、サーキュラーエコノミーに向けた課題に対し、コミュニティとして持続的に解決していくことを目指しています。

課題解決型のコミュニティを目指して

一つ事例をご紹介します。亜臨界水処理技術を持つ企業の例です。亜臨界水反応というのが分かりづらいのですが、図のように真ん中の圧力容器をおいて、廃棄物を投入し、高温高圧の水の力で分解していく処理技術です。

生活系ごみ、農業や漁業からの廃棄物、ダイオキシン含有物質や医療廃棄物、紙オムツなどの有害物質を含むような廃棄物も投入することができ、堆肥や有用物質(アミノ酸)を抽出したり、メタン発酵を活用した発電をしたり、有害物質を無害化することができるという処理技術です。

この技術を用いたプロジェクトとして、滋賀県の琵琶湖での実証があります。現在、琵琶湖で水草の繁茂が問題になっていることはご存じでしょうか。年間で6,000トンほども発生し、環境を脅かしています。この処理が厄介なのですが、これを亜臨界水処理技術を使って解決するというプロジェクトを進めています。処理した水草を、航空燃料や環境に優しい紙素材に転換して、循環資源として生かしていくという活動をしています。

他にもいくつものプロジェクトがseesawから進んでいます。


イベント後半へ

那須)ありがとうございます。それでは次に、会場やオンラインからの質問にお答えしていきたいと思います。

ここから先はイベントレポート後編でご覧ください。
後編はこちら▶︎


登壇企業情報

登壇4社の企業ページを掲載します!ご興味のある方は、ぜひこちらをご覧ください。

株式会社TBM

株式会社CBA

株式会社digglue

digglueでは、サーキュラーエコノミーをテーマとしたイベントを定期的に開催しています。Peatixのグループをフォローしていただくと最新イベントの情報をお送りします!ぜひフォローしてください。(こちらから▶︎

シナネンホールディングス


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