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子どもたちと、クリエイティブ・リーダーシップと「デザインのとびら」 2/3

こんにちは!
子どもたちに向けた、デザイン思考を活用したワークショップ「デザインのとびら」事務局です。

前回はリーダーシップの話が盛り上がり過ぎてしまい、ここまでたどり着けませんでした。すみません!

今回はちゃんと「クリエイティブ・リーダーシップ」の話に入ります!

前回のリーダーシップの話はこちら


人にとって究極的に必要な二つの要素

先日「教育視察ツアー報告イベント『2020年 オランダ・デンマークに学ぶ 新学問のすゝめ』」という会に参加しました。ものすごく楽しくも熱い会で、参加してすごく良かったです。

後半、オランダとデンマークと会場を遠隔で繋ぐというグローバルな議論の場が用意されており、その中で、以下二つが究極的に子ども、と言うか、人にとって重要な能力という話題になりました。

1、自己肯定感を持てる
2、他人と共に生きることを知っている

つまりは、「自分と、他者の尊重」

自分に対して自己肯定感を持てるかどうかって言うのは、自分の感情や、発言、やっていること、に自信が持てるってこと。そのことを他者に対しても同じように認めることができるから、結果的に心から協力的になれるってこと。

だから、
・自分の目で見つけた問題について、自覚的になれるし、
・誰かのために、と思って行動できるし、
・自分が純粋に好きってことにも没頭でき、
・他者と一緒に助け合いながら物事に取り組むことも出来ます。


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クリエイティブ・リーダーシップ

お待たせしました、いよいよ本題。
実はデザインの領域でも、今挙げたようなチカラがすごく大事だって話になっていて、「クリエイティブ・リーダーシップ」という言葉で研究対象にもなっています。

「自分の言葉と行動に共感ができ、仲間と共に問題に立ち向かえる」

ということだと私は理解していますが、それって先の究極と言った二つのもの;

1、自己肯定感を持てる
2、他人と共に生きることを知っている

とほとんどぴったり一致します。

だから私たちは、デザインの文脈がこれからの教育にもっと活用できると考えていますし、デザイナーが貢献できることって実はたくさんあるのではと考えています。

昨年ロンドンの大学、RCA(Royal College of Art)のThe Helen Hamlyn Centre for Design (HHCD)という所に行く機会がありました。研究責任者であるRamaさんという方からクリエイティブ・リーダーシップについて紹介いただいたのですが、ここからはその内容について私見を織り交ぜて共有したいと思います。(変なバイアスのないピュアな情報が欲しい方は、画像もしくはページ下にリンクを貼っておいたので参照ください)

RCAのクリエイティブ・リーダーシップ

研究では、クリエイティブ・リーダーシップは、以下の3つの要素で構成されているとまとめられていました。

• Clarity
• Empathy

• Creativity

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「Clarity」 : 明確性と透明性

「Clarity」とは、明確に考えを示すということです。
文字通り、自分の考えや、ビジョン、哲学をきちんと明確に理解し、人に伝えることができるということです。

ポイントとなるのは、実は「Clarity」という言葉には明確性だけではなく、透明性っていう意味も含んでいるところです。隠し事無く、オープンに、全てをちゃんと伝えるってことです。

往々にして古い体質のヒエラルキー構造を持つ組織は隠し事がいっぱいで、なかなかこの境地にたどり着けないものです。でも、実際「本当に隠さなきゃいけないものなのか」はしっかりと議論すべきで、中には「ただの慣習」でオープンにしていないだけで、実は全然問題なく開示できるものがたくさんあるものですよね。

そういう検討なしに、ただ忙しい、とか、厄介だから、という管理者側の都合でうやむやにしてしまっていることがいかに多いことか。それによってヒエラルキーの厄介さ具合はますます強化され、誰も手が付けられないアンタッチャブルなものになっていく、という負のスパイラルに陥ります。

組織がクリエイティブ・リーダーシップを発揮するには、ヒエラルキー構造とも戦わなければならないってことかもしれないですね。

こうした慣習という問題に立ち向うのは、生易しいことでは無いとは思うけれど、そこに踏み込まない限り、若くて意識の高い人材はどんどん流出して行きかねません。
なぜならリーダーシップを示さない環境に辟易することの方が、企業や組織のインセンティブの魅力を容易に上回るからです。

「Design Thinking」から、「Design Doing」へ

そしてこの「問題へ踏み出すという行動」こそが、クリエイティブ・リーダーシップそのものであると考えるべきです。

やっぱり「行動すること」は何よりも重要ですね!
「Design Thinking」とか言って机にへばりついてばかりじゃ絶対ダメで、「Design Doing」しなさい、とRamaさんも言っていましたが、その通りだと身にしみて感じています。

教育の問題は、社会の問題そのもの

なんか仕事の鬱憤を晴らすように、企業の問題に焦点を当てて文章を書いてしまいましたが笑、実はこの話は、家庭しかり、あらゆるコミュニティに共通のものだと思います。

先日小学校で行われた性教育の授業参観に行かせていただきました。
櫻井さんという助産師の先生が、すごくわかりやすく「性」について語ってくれたのですが、性教育についても、これまでは勝手な「大人と子ども」や「マジョリティとマイノリティ」という力関係のヒエラルキーによって曖昧にされてきた世界でもあります。

櫻井先生もおっしゃっていましたが、こういった問題は、情報化された今の世の中では隠そうとしたところで隠し切れるものじゃないし、ブロックしようとすれば、子どもたちによって大人がブロックされてしまうものです。

そうして本当に必要なコミュニケーションの機会が失われ、子どもたちが時に大きなリスクと対面しなければならなくなったりする、ということにも繋がりかねない。

だからやっぱり力を持つ大人側が、まずこの構造を壊して「Clarity」を示さなきゃいけないと思います。本当に隠さなきゃいけないことってなんなのか、なぜ隠す必要があるのか、そういうことにちゃんと向き合って判断していく必要があります。

次回は、クリエイティブ・リーダーシップのその他2つの要素「Empathy」、「Creativity」について話します。そして3つの要素の中心にあるものについても紹介します!
●参考:
The Helen Hamlyn Centre for Design (HHCD)
Royal College of Art
http://ldoc-cdt.ac.uk/creative-leadership/
http://ldoc-cdt.ac.uk/wp-content/uploads/2018/09/LDoc-Poster-print-2.pdf
Text by 儘田大地  Edit by 東郷りん
デザインのとびら

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